紙本栄一
紙本 栄一︵かみもと・えいいち、1903年8月5日 - 1995年12月6日︶は、日本の剣道家。
人物
山口県熊毛郡田布施町出身。旧制中学卒業後、大正9年現役志願兵として海軍呉鎮守府に入隊。軍務に精励と同時に、堀正平範士九段並びに福島小一範士に指示して、剣道・居合道を修行。明治神宮において、陸海軍対抗試合に3回出場し、活躍した。 1928年(昭和3年)除隊後、中山博道館長率いる東京有信館道場に入門。道場本部及び警視庁道場、三菱道場、市ヶ谷近藤勇男爵猶勝道場で修行。後、芝高輪警察署助教を務め、朝稽古後、粥を食して出勤、夜は有信館道場に通い、練習試合で18人抜きを記録し、警視庁監察官方面試合に三将として出場し、団体優勝を獲得。 1931年(昭和6年)、旧制山口県立宇部中学校剣道教師に就任。当時振るわなかった同中学校を1933年(昭和8年︶の県中学校剣道大会に優勝させ、さらに1935年(昭和10年)の全国中学校剣道大会で二位入賞。 1939年(昭和14年)に岩国中学に転任。同年の全国大会に3位入賞。氏自身も在郷軍人代表で明治神宮出場及び専門家代表対象として大会に出場。 1943年(昭和18年)旧制山口高校の助教授に就任。学徒動員の引率者として長崎三菱造船、下関三井精練所に赴いた。当時の学生に、後の山口県知事平井龍らがいた。 1946年(昭和21年)退官後、1952年(昭和27年)より山口県警察本部技官・剣道師範を務め、1966年(昭和41年)退職後名誉師範となり、山口刑務所、山口大学でも師範を歴任。1968年(昭和43年)からは、山口市湯田温泉の慈教館道場の初代館長に就任。そのほか、白石少年剣友会などにおいても少年剣道の指導にも尽力した。[1]。 古流居合の統合を提唱し1968年(昭和43年)居合道研究委員長、制定居合確立に尽力。 山口市の国宝瑠璃光寺五重塔前に、氏が健在の頃、銅像設立実行委員会により1984年(昭和59年2月)建てられた。碑文﹁撰並書﹂は、直木賞作家、古川薫氏であり、﹃・・・戦後、全日本剣道連盟の結成に動き剣道の復活、隆盛に役割を果した。・・・“居合道の神様”と呼ばれた。・・・その像を建てその不朽の剣名を県都の一角にとどめるものである﹄とある。居合道の普及
全日本剣道連盟は居合道を学ぶことで、刀の操法を知り手の内を修得して剣道の技にそれを生かせるようにと、剣道家にも習いやすい居合道の形を作ろうと昭和三十年代に企画し、1966年(昭和41年)に当時の大谷一雄理事長が中心となって、吉沢一喜︵伯耆流︶・政岡壹實︵無双直伝英信流︶・武藤秀三︵長谷川英信流︶・末次留蔵︵夢想神伝流︶・山本晴介︵無双直伝英信流︶・紙本栄一︵長谷川英信流︶・檀崎友彰︵夢想神伝流︶・山蔦重吉︵夢想神伝流︶・寺井知高︵長谷川英信流︶・額田長︵夢想神伝流︶・大村唯次ぐ︵夢想神伝流︶・沢山収蔵︵伯耆流︶の12名によって研究会が作られた。そして、1969年(昭和44年)3月、﹁全日本剣道連盟居合﹂︵制定居合︶が制定された。 当時は7本目までであったが、1980年(昭和55年)3月に3本追加され、2001年(平成13年)4月に新たに2本追加され、現在は12本となっている。- 一本目 前
- 二本目 後ろ
- 三本目 受け流し
- 四本目 柄当て
- 五本目 袈裟切り
- 六本目 諸手突き
- 七本目 三方切り
- 八本目 顔面当て
- 九本目 添え手突き
- 十本目 四方切り
- 十一本目 総切り
- 十二本目 抜き打ち
賞詞
- 勲五等双光旭日章
- 勲六等単光旭日章
- 体育功労者
- 武道功労賞
段位
- 全日本剣道連盟範士八段・同居合道範士九段
- 夢想神伝流居合道範士九段
- 銃剣道教師七段
主な役職歴
- 財団法人全日本剣道連盟理事・評議員・相談役
- 財団法人全日本剣道道場連盟理事
- 日本中央居合道会最高顧問
- 武講同窓会会長
- 財団法人山口県剣道連盟理事長・副会長・相談役
- 山口市剣道連盟相談役
- 山口県スポーツ振興審議員
- 慈教館道場初代館長
- 山口大学剣道部師範（元助教授）
- 山口県警察名誉師範
- 山口刑務所剣道師範
