さよなら歌舞伎町
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さよなら歌舞伎町 | |
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TOKYO LOVE HOTEL | |
監督 | 廣木隆一 |
脚本 |
荒井晴彦 中野太 |
製作 | 藤岡修 |
製作総指揮 | 久保忠佳 |
出演者 |
染谷将太 前田敦子 |
音楽 | つじあやの |
主題歌 | meg with SWEEP「Believe in love」 |
撮影 | 鍋島淳裕 |
製作会社 |
ギャンビット ハピネット |
配給 | 東京テアトル |
公開 |
カナダ 2014年9月7日(トロント) 日本 2015年1月24日 イタリア 2016年6月 |
上映時間 | 135分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
﹃さよなら歌舞伎町﹄︵さよならかぶきちょう︶は、廣木隆一監督による2015年公開の日本の映画︵製作は2014年︶。歌舞伎町のラブホテルでの1日を描いた群像劇である[1]。
主演は染谷将太と前田敦子。
あらすじ[編集]
一流ホテルで働くことを夢見る徹︵染谷将太︶は、自分が実際にはラブホテルの店長であることを、家族や恋人には伏せていた。ある日、彼の勤めるホテル・アトラスにアダルトビデオの撮影隊がやって来る。彼がピザを届けに部屋へ入ると、そこには妹の美優︵樋井明日香︶の姿があった。故郷の塩竈市で保育士を目指していた彼女は、東日本大震災で実家の工場が潰れたのち、東京でAV女優の職に就いたのだという。撮影後、帰途につく美優は徹に呼び止められ、最初の相手もAVだったのかと聞かれる。美優は首を横に振り、2人のあいだのわだかまりは消えてゆく。 徹と同棲している恋人の沙耶︵前田敦子︶は、音楽家としてメジャー・デビューを目指しているが、枕営業のため、音楽プロデューサーの竹中︵大森南朋︶とホテル・アトラスに入室する。沙耶は部屋の外で徹と口論したのち、竹中と関係をもつ。その後、竹中は﹁あまり無理するなよ﹂と沙耶に言い残し、部屋を出て行く。 里美︵南果歩︶は、駆け落ち相手の康夫︵松重豊︶をアパートメントに匿いながら、ホテル・アトラスの従業員として働いている。傷害事件で指名手配中の2人は、あと1日で時効成立を迎える。そんな折、夫と子供のいる刑事の理香子︵河井青葉︶が、同僚の竜平︵宮崎吐夢︶と入室する。里美の正体に気づいた理香子は、寿司を届けに来た里美を取り押さえ、部屋に引き入れる。逮捕に乗り気でない竜平は、里美と理香子を残して帰ってしまう。トイレに入った里美は康夫に電話し、ひとりで逃げるよう伝えたのち、携帯電話を破壊する。非常ベルが鳴らされた隙に、里美は理香子を振り切り、ホテルを飛び出して行く。 ブティック店を開業するという夢をもつヘナ︵イ・ウンウ︶は、不法残留により、近日中に韓国へ帰るつもりでいる。一方、蕎麦と日本酒の店の開店資金を貯めている恋人のチョンス︵ロイ︶は、もうしばらく朝鮮料理店で働くつもりでいる。チョンスは、眠っている彼女のバッグを探り、コールガールである彼女の名刺を見つける。日本での最後の出勤日に、ヘナはホテル・アトラスに入室する。ヘナは男の客に目隠しをさせられる。浴槽で体を洗われているうち、ヘナは男がチョンスであることに気づく。泣いて謝るヘナに、チョンスは、自分も女性客から金を受け取って関係をもったと告げる。2人は抱擁を交わし、お互いの嘘を許しあう。ホテルからの帰り道で、チョンスはヘナにプロポーズする。2人は一緒に韓国へ帰ることを決心する。 風俗のスカウトの正也︵忍成修吾︶は、家出少女の雛子︵我妻三輪子︶とホテル・アトラスに入室する。雛子の不幸な生い立ちを聞いた正也は、眠りについた彼女をその場に残し、この仕事から足を洗うために組織の元へ向かう。所持金を持たない雛子は、正也が退室したことによって、従業員控え室で正也の帰りを待つ羽目になる。その頃、正也はバッティングセンターで組織員たちから暴行を受けていた。無銭宿泊として従業員たちが警察への通報を検討する中、傷だらけの正也が雛子を迎えに戻ってくる。2人はファストフード店へ行き、山盛りのチキンナゲットを食べるという雛子の夢が叶えられる。 廊下で羞恥プレイを繰り広げているカップルに絡まれた徹は、業を煮やし、非常ベルを押す。客が一斉に部屋から出て来る。徹は今まで心に秘めていた思いをぶちまけて、自転車で夜の街へと走り出す。大通りを走っていた里美は、徹から自転車を譲り受け、感謝の言葉を述べて走り去る。途中で合流した里美と康夫は、街を自転車で駆けつづける。やがて、ビルの電光掲示板が時効成立の0時を指し、それを見た2人は抱き合って喜ぶ。 早朝の神社で、徹は境内の階段に腰掛けていた。そこへ沙耶がやって来るが、徹は振り返りもせずに沙耶を残して立ち去る。ひとり部屋に帰った沙耶は、ギターを爪弾きながら歌ううち、涙をこぼす。 徹は故郷の塩竈市へ向かうバスに乗り込む。そのバスには美優も乗っているが、2人はお互いの存在に気づいていない。バスは高速道路を走って行く。キャスト[編集]
●高橋徹 - 染谷将太 ●飯島沙耶 - 前田敦子 ●イ・ヘナ - イ・ウンウ ●アン・チョンス - ロイ ●鈴木里美 - 南果歩 ●池沢康夫 - 松重豊 ●高橋美優 - 樋井明日香 ●福本雛子 - 我妻三輪子 ●早瀬正也 - 忍成修吾 ●藤田理香子 - 河井青葉 ●新城竜平 - 宮崎吐夢 ●久保田正志 - 田口トモロヲ ●雨宮影久 - 村上淳 ●竹中一樹 - 大森南朋スタッフ[編集]
●監督 - 廣木隆一 ●脚本 - 荒井晴彦、中野太 ●撮影 - 鍋島淳裕 ●照明 - 豊見山明長 ●美術 - 山本直輝 ●音楽 - つじあやの ●録音 - 西條博介 ●編集 - 菊池純一 ●主題歌 - meg with SWEEP﹁Believe in love﹂ ●製作 - 久保忠佳、藤岡修 ●配給 - 東京テアトル ●宣伝 - 東京テアトル/ミラクルヴォイス ●制作 - ダブル・フィールド ●製作 - 映画﹁さよなら歌舞伎町﹂製作委員会︵ギャンビット、パピネット︶上映[編集]
2014年9月7日、第39回トロント国際映画祭﹁コンテンポラリー・ワールド・シネマ﹂部門にて上映された[2]。10月6日、第19回釜山国際映画祭﹁アジア映画の窓﹂部門にて上映された[3]。11月23日、第15回東京フィルメックスにて特別招待作品として上映された[4]。日本では2015年1月24日に全国公開された[5]。 2016年6月、イタリアのタッカー・フィルムの配給で﹃TOKYO LOVE HOTEL﹄のタイトルで公開[6]。評価[編集]
﹃Variety﹄のリチャード・カイパースは﹁いくつかの挿話はいささか感傷的すぎるが、ここには、好奇心をそそる状況に置かれた興味深い人物たちが描かれている﹂と指摘した[7]。﹃Twitch Film﹄のクウェントン・ベレットは﹁廣木隆一の現代劇に充満する都会的な不安は本作でも見られるが、かわいらしさと過激な性表現をあわせもつ本作は、他の作品よりもはるかに親しみやすく、観客を満足させる﹂と評した[8]。 ﹃The Japan Times﹄のマーク・シリングは﹁いつもの通り、廣木は女性の主人公との仕事に手腕を発揮している﹂と述べた[9]。﹃Film Business Asia﹄のデレク・エリーは、最も印象的な役者としてイ・ウンウを挙げ、﹁彼女とロイがお互いに秘密を打ち明ける浴室の場面は、本作で最も感動的である﹂と述べた[10]。受賞[編集]
- 第14回ニューヨーク・アジア映画祭・ライジングスター賞(2015年) - 染谷将太[11]
- 第37回ヨコハマ映画祭(2016年)[12]
- 助演女優賞(河井青葉、『お盆の弟』と合わせて受賞)
- 日本映画ベストテン・第10位
- 第25回日本映画プロフェッショナル大賞(2016年)[13]
- 主演男優賞(染谷将太、『ソレダケ / that’s it』と合わせて)
脚注[編集]
(一)^ 高崎俊夫 (2015年1月20日). “歌舞伎町のラブホテルでの1日を舞台に人々の哀歓を謳う群像劇”. 映画.com. 2015年3月3日閲覧。
(二)^ “染谷将太×前田敦子﹁さよなら歌舞伎町﹂がトロントで世界初披露 廣木隆一監督が歌舞伎町への思い語る”. 映画.com (2014年9月11日). 2014年12月19日閲覧。
(三)^ “元AKB前田敦子2度目の釜山映画祭に感激”. 東京スポーツ (2014年10月6日). 2014年12月19日閲覧。
(四)^ “前田敦子 初めてだった﹁1カ月、みっちり練習しました﹂”. Sponichi Annex (2014年11月24日). 2014年12月19日閲覧。
(五)^ “﹁さよなら歌舞伎町﹂前田敦子と染谷将太に聞く AKB48メンバーに一番人気の染谷との共演に…”. マイナビニュース (2015年1月25日). 2015年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年4月13日閲覧。
(六)^ “染谷将太×前田敦子﹃さよなら歌舞伎町﹄、イタリア公開決定!”. シネマトゥデイ. (2016年5月10日) 2016年5月11日閲覧。
(七)^ Kuipers, Richard (2014年10月28日). “Film Review: ‘Kabukicho Love Hotel’”. Variety. 2014年12月19日閲覧。
(八)^ Bellette, Kwenton (2014年10月13日). “Busan 2014 Review: KABUKICHO LOVE HOTEL, A Raunchy Charmer”. Twitch Film. 2015年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月3日閲覧。
(九)^ Schilling, Mark (2015年1月21日). “Sayonara Kabukicho: Life and love in Shinjuku’s red-light district”. The Japan Times. 2015年3月3日閲覧。
(十)^ Elley, Derek (2014年11月11日). “Kabukicho Love Hotel”. Film Business Asia. 2015年3月3日閲覧。
(11)^ “染谷将太がニューヨーク・アジア映画祭でライジング・スター賞を受賞!”. シネマトゥデイ (2015年5月22日). 2015年5月22日閲覧。
(12)^ “綾瀬はるかや広瀬すずも爆笑!樹木希林の爆笑スピーチ”. Movie Walker (2016年2月7日). 2016年2月8日閲覧。
(13)^ “﹁バクマン。﹂が日本映画プロフェッショナル大賞でベストワン&作品賞”. 映画ナタリー. (2016年3月25日) 2016年3月25日閲覧。