アナログ (麻雀)
表示
麻雀において、アナログとは、抽象的な要因を反映させた戦術論のことをいう[1]。この場合の﹁抽象的な要因﹂としては、﹁ツキ﹂﹁流れ﹂﹁勢い﹂﹁運﹂といったものが挙げられる。対極の考え方にデジタルがある。アナログを認めないデジタル派は、アナログを非合理的なものとしてオカルトと呼ぶこともある︵後述︶。
アナログの戦術論においては、自分や対戦相手の﹁運﹂や﹁勢い﹂の状態、﹁ツモの流れ﹂といったものの考察が行われる。典型的な例を挙げると、﹁Aは前の局で大物手を和了した。そのことによってAの運は上昇したと思われる。﹂といった具合である。そしてそうした考察を、たとえば﹁上り調子のAのリーチには逆らわないほうがいい。﹂といった具合に、実際の行動に反映させる。
アナログ思想は、麻雀ブームの立役者となった阿佐田哲也や小島武夫が﹁運﹂や﹁流れ﹂といった概念を常用したこともあり、麻雀論において非常に有力となった。1990年に﹁リーチ麻雀論改革派﹂︵天野晴夫著・南雲社︶が出版されて以降は、麻雀論からの抽象の排除を主張するデジタル論も盛んであるが、現在も井出洋介、金子正輝、土田浩翔、飯田正人などのトッププロをはじめ、アナログ思想にたつ雀士は数多い。
アナログの初出[編集]
麻雀におけるアナログという言葉は、デジタルという言葉の対立概念として同時に登場した。小林剛によると、デジタルという言葉が麻雀の世界に登場したのは、嶺岸信明の漫画﹃勝負師の条件﹄︵1988︶であり[2]、そこでは﹁アナグロ﹂という、今日でいうアナログに相当する言葉もまた用いられている[3]。ここでは、ポーカーはデジタルなゲームであり、麻雀はアナグロなゲームであると述べられており、アナログ・デジタルという言葉の原義に近い用法で用いられている。異論[編集]
ネマタ説[編集]
アナログとは、個別の判断を重視する打ち方。デジタルとは、打牌基準をシステム化して、それを重視する打ち方。重視する部分が異なるだけで、正着に近づくほど両者は一体化する[4]。 抽選︵配牌、ツモなど︶は、選択︵打牌、鳴き、リーチなど︶や結果︵アガリ、振りこみなど︶の影響を受け、選択によって抽選を変えられるとする理論がオカルトであり、その逆はロジカルである[5]。脚注[編集]
(一)^ 鈴木たろう,小林剛,村上淳﹃デジタル麻雀の達人﹄マイナビ出版、2008年、100頁。ISBN 9784839927349。
(二)^ ﹃スーパーデジタル麻雀﹄竹書房、2016年、2頁。ISBN 9784801907393。
(三)^ 嶺岸信明﹃勝負師の条件﹄ 1、竹書房、1988年、196頁。ISBN 9784884754280。
(四)^ 勝つための現代麻雀技術論 洋泉社 2016年3月4日第5刷発行 ISBN 4800303109 P189
(五)^ 勝つための現代麻雀技術論 洋泉社 2016年3月4日第5刷発行 ISBN 4800303109 P117
関連項目[編集]
- 牌賊! オカルティ (デジタル対オカルトの戦いを描いた麻雀漫画)