アンクル・トマホーク
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﹁ アンクル・トマホーク﹂︵Uncle Tomahawk︶は、アメリカインディアンが、白人にこびへつらうインディアン同胞に対して使う蔑称。
解説[編集]
﹁アンクル・トマホーク﹂は、1960年代の公民権運動のなか、黒人たちが﹁白人にこびへつらう黒人﹂につけた蔑称で、従順な黒人奴隷を主人公に白人が書いた小説﹃アンクル・トムの小屋﹄に登場する﹁アンクル・トム﹂をもじったものである。 1860年代、アメリカ西部地方でインディアン部族と白人との﹁インディアン戦争﹂が激化するなか、白人の砦に出入りして、便宜を図ってもらう者も現れた。スー族ではレッド・クラウドやスポッテッド・テイルのような人物がそれである。彼らは同族たちから﹁白人の砦にたかる奴ら﹂と呼ばれ、蔑まれた[1]。 こういった﹁白人にこびへつらうインディアン﹂を、1960年代にインディアンたちが蔑称として呼び始めたのが﹁アンクル・トマホーク﹂である[2]。 ﹁アンクル・トマホーク﹂はこう説明される。﹁アンクル・トマホークは、白人の基準をより良いものとして、インディアンのアイデンティティーや文化を“Sold out”︵売り切った︶した者たちである﹂[3]類似語[編集]
インディアンが同族に使う同様の蔑称としては、﹁アップル﹂︵林檎︶がある。これは文字通り、﹁外身は赤いが中身は白い﹂︵白人のようにふるまうインディアン︶という意味である。 また黒人の﹁アンクル・トム﹂、インディアンの﹁アンクル・トマホーク﹂の他に、同様の意味で中国系アメリカ人は﹁アンクル・トン﹂︵Uncle Tong︶という蔑称を使う[4]。脚注[編集]
- ^ 『Crazy Horse』(Larry McMurtry, A Penguin Lives1999)
- ^ 『Lakota Woman』(Mary Crowdog,Richard Eadoes,Grove Weidenfeld.1990)
- ^ 『Blood Politics: Race, Culture, and Identity in the Cherokee Nation of Oklahoma』(Circe Dawn Sturm,University of California Press,2002)
- ^ 『The Tom Caricature,Jim Crow of racist memorabbia』(David Pilgrim,Ferris State University, 2000)
参考文献[編集]
- 『Blood Politics: Race, Culture, and Identity in the Cherokee Nation of Oklahoma』(Circe Dawn Sturm,University of California Press,2002)