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(一)^ 新しい自由主義(ニューリベラリズム)を唱えたのはレオナルド・ホブハウスであるが、この名称には注意が必要である。ホブハウスの唱える﹁ニューリベラリズム﹂︵New Liberalism︶は、二十世紀後半のフリードリヒ・ハイエク、ミルトン・フリードマンの﹁新自由主義﹂︵Neo-Liberalism、ネオリベラリズム︶とは別物で、まるで反対物である。
(二)^ グリーンに関しては、カント、ヘーゲルの両方の要素を受け継ぐと見なされるが、ボザンケに関してはヘーゲルの要素が強い。
(三)^ ホブハウスの自由主義についての主著は﹃自由主義﹄︵Liberalism, 1911︶である。ホブハウスは影響力ある思想家ではあったが、理想主義の徒と言うわけにはいかない。彼は社会ダーウィニズムの影響も受けており、理論的には折衷家であった。
(四)^ ホブハウスは国家論として、バーナード・ボザンケの﹃国家の哲学的理論﹄︵The Philosophical Theory of the State, 1899︶に対抗して﹃国家の形而上学的理論﹄︵The Metaphysical Theory of the State, 1918︶を著した。それが契機の一つとなって、多数の賛同者からなる多元的国家論が形成されることにもなった。
(五)^ 河合栄治郎はイギリス労働党の哲学的基盤はイギリス理想主義にあると断じたが、青木育志はイギリス理想主義の要素とそうでない要素があるとした。河合栄治郎﹃英国社会主義史研究﹄日本評論社、1938年。河合栄治郎﹃英国労働党のイデオロギー﹄九州書院、1947年。青木育志﹃河合栄治郎の社会思想体系﹄春風社、2011年、124-127頁。
(六)^ 新渡戸にはカーライルについて、﹃ファースト物語﹄﹃衣服哲学講義﹄の著書︵﹃新渡戸稲造全集﹄第9巻、教文館、1969年所収︶がある。
(七)^ この学会の著作として、行安茂編﹃イギリス理想主義の展開と河合栄治郎――日本イギリス理想主義学会設立10周年記念論集﹄世界思想社、2014年がある。
参考文献[編集]
●河合栄治郎﹃トーマス・ヒル・グリーンの思想体系﹄上巻、下巻、日本評論社、1930年︵﹃河合栄治郎全集﹄第1、2巻、社会思想社、1968年所収︶
●行安茂﹃グリーンの倫理学﹄明玄書房、1968年
●行安茂﹃トマス・ヒル・グリーン研究﹄理想社、1974年
●行安茂、藤原保信編﹃T・H・グリーン研究﹄イギリス思想研究叢書、御茶の水書房、1982年
●行安茂﹃近代日本の思想家とイギリス理想主義﹄北樹出版、2007年
●行安茂編﹃イギリス理想主義の展開と河合栄治郎――日本イギリス理想主義学会設立10周年記念論集﹄世界思想社、2014年
政治思想[編集]
●河合栄治郎﹃英国社会主義史研究﹄日本評論社、1938年︵﹃河合栄治郎全集﹄第5巻、社会思想社、1968年所収︶
●北岡勲﹃政治的理想主義――イギリス政治思想史の一研究﹄御茶の水書房、1986年
●北岡勲﹃イギリス政治哲学の生成と展開――オックスフォード学派研究﹄御茶の水書房、1987年
●萬田悦生﹃近代イギリス政治思想研究――T・H・グリーンを中心として﹄慶應通信、1986年
●芝田秀幹﹃イギリス理想主義の政治思想――バーナード・ボザンケの政治理論﹄芦書房、2006年
関連項目[編集]
●理想主義 (アイディアリズム)
●人格主義
●教養主義
●トーマス・ヒル・グリーン
●河合栄治郎
●行安茂