ガス機器
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ガス機器︵ガスきき︶とは、都市ガス・LPガスを燃料として燃焼などをさせ、使用される器具の総称である。ガス器具と呼ばれることもある。
ガラストップテーブルコンロ
ガラストップビルトインコンロ
鍋やプライパンを利用した加熱調理を行う際に利用されるガス機器。ガスコンロ、あるいは単にコンロと呼ばれることが多い。固定せずに設置するだけのテーブルコンロ、下部の収納棚やオーブンと一体になったキャビネットコンロ、システムキッチンに組み込んで利用するビルトインコンロの3種類が家庭用としては一般的である。鍋等を加熱するバーナと、魚などを焼くためのグリル機能を持つが、中にはグリル機能を有しないものもある。天板のバーナ数はテーブルコンロやキャビネットコンロでは2口、ビルトインコンロでは3口が圧倒的に多い。
2007年の法改正を受け、2008年10月以降は、生産される家庭用コンロ全てにおいて全口への過熱防止センサーと立ち消え安全装置の取り付けが義務化された。その時点での流通在庫を除き、従来1箇所であったセンサーが複数箇所へとなることで、製品の単価が上昇することとなった。
ガス炊飯器
文字通りガスの火力で主に白米を炊きあげるための機器。ガスかまどは既に1902年には製品化されていたが、これは一般家庭には普及しなかった。現在[いつ?]のような形の炊飯器は1930年代にはすでに製品化されていたものの、価格があまりにも高いためにこれも一般に普及するまでには至らなかった。その後1955年に発売された電気炊飯器︵自動式電気釜︶に対抗して、同年末にはガス自動炊飯器が発売されている。
ガス炊飯器では、米の炊き上がりは釜の温度を利用して感知する。この感知の方法は、合金が一定温度になった時に融解する性質を利用したヒューズメタル方式と、磁性体が一定温度で磁力を失う性質を利用したフェライト方式が主流であった。しかしながら、ヒューズメタル方式は部品の耐用年数が短く一定期間での部品交換が必要となることと、作動温度のムラを無くすことが困難ため現在[いつから?]では生産されておらず、交換用のヒューズメタル︵通称﹁ヘソ﹂︶の部品供給のみが行なわれている。また、近年[いつ?]のマイコン機能を有するものの中には、釜の温度を直接測定して消火させる高機能なものも現れている。
炊飯専用
米を炊いて、飯にする機能のみを有しているものをこう呼ぶ。炊き上がった飯の保温機能やタイマーなどは装備していない。
ジャー付
炊き上がった飯を保温するための電気ヒータが内蔵されている。ヒータによる保温のため、ガス炊飯器であるが商用電源を必要とする。
ジャー・タイマー付
炊飯を開始するための時間設定ができるものをこう呼ぶ。なお、設定時刻に自動的に点火させるためにはガス栓を開放しておく必要がある。このためガスの接続は、ゴムホースではなくガスコードと呼ばれる丈夫なホースでの接続が義務付けられている。
これらの中にはマイコン機能を有し、調理する物の種類や好みの仕上がりにするために、炊き上がりを細かく設定できるようになっているものもある。
ガス回転釜
大量の食材を同時に煮たり炒めたりする際に使用される。通常はバーナの上に鍋を乗せるが、回転釜では逆に釜の下部に加熱用のバーナが固定されている。釜そのものが巨大なため、内容物を取り出す時に人力では傾けられず、ハンドル操作で釜そのものが回転することからこの名称がある。大量かつ同一の食品を調理する目的でしか使用できないため、主に給食センターなどで利用される。
元止式小型湯沸器
湯を使いたい場所に手軽に設置できるため、古くから[いつ?]多くの機種が販売されてきた。しかしながら、近年[いつ?]では戸建に限らず新築物件に採用される設計は皆無に近く、既存品の交換のみの市場となっている。本体を屋内に設置することにより排気が全て室内に流出するため、使用に際しては必ず換気が必要となる。近年[いつ?]の機種においては、全て不完全燃焼防止装置を付けることが義務づけられているため、換気不足で異常燃焼を起こした際には燃焼が停止するが、それでも再点火すると使用が可能になったため、異常燃焼が原因での一酸化炭素中毒事故が発生した。このため現在[いつ?]販売されている機種では、不完全燃焼防止装置が連続して複数回作動した場合には、ある種の操作を行なわないと自動では解除されないインターロック機能が搭載されている。
元止式
小型湯沸器の点火は、最終的には水圧で行われる。この水流のオンオフを湯沸器本体で行うものを元止式と呼ぶ。給湯する部分︵出湯口︶の元で出し止めを行うためである。一般家庭で用いられるほとんどの湯沸器がこの方式で、湯沸器本体に押しボタンなどのスイッチを有し、それが出湯スイッチとなっている。
先止式
小型湯沸器の出口に給湯配管を布設し、湯沸器から遠く離れた場所での給湯を可能にしたものをこう呼ぶ。元止式の項でも述べた通り、湯沸器の点火は水流のオンオフであるため、湯沸器の先で出し止めをすることからこう呼ばれる。
給湯単機能型給湯器
給湯栓への給湯のみの機能を持つものをこう呼ぶ。追焚機能がないため本体は安価であるが、経済的では無いために一般住宅のメインの給湯機器として用いられることは少ない。逆に集合住宅では、イニシャルコストの安さから採用されることが多かった。
風呂給湯器
給湯栓への給湯機能だけではなく、浴槽の湯を沸かす風呂釜機能を合わせ持ったものをこう呼ぶ。現在販売されているすべての機種はガス風呂給湯器が自動湯張り機能を持ち、スイッチを押すだけで規定量のお湯を浴槽に溜めることができる。さらに、一定時間ごとに浴槽内の湯を追い焚きすることで、設定温度を保つこともできる。現在では自動湯張り機能のない標準タイプ(過去においては、自動湯張り機能のないものが標準的であったためこの名称)のガス風呂給湯器は販売されていない。
自動湯張り機能には2種類あり、フルオートとオートの区別がある。両者の機能違いは、湯張り完了後浴槽内の水位が下がった際に、自動で足し湯をするかどうかである。フルオート機種は自動足し湯を行うため、常に浴槽内の水位を一定に保つことができるのに対し、オート機種は最初の湯張りのみが自動で、仮にその後水位が下がっても、手動で回復させない限り水位は下がったままとなる。この動作の違いは、湯張り機能の原理の違いによる。この違いが顕著に現れるのが、自動湯張り開始時に浴槽内に水が残っている場合である。いずれの機能の風呂給湯器も、運転開始時に循環ポンプを稼働させ、まず浴槽内に残湯があるかどうかを判定する。残湯がないと判断されれば、あらかじめ設定された量の湯を浴槽内に供給する。このため、浴槽が空の場合の湯張りには、両者の動作にほとんど違いは見られない。
これに対して浴槽内に残湯があった場合には、機能の違いが生じることとなる。フルオートの機種は運転開始時に循環ポンプを稼働させ、その時追い焚き配管にかかる圧力を測定することにより、浴槽内での残湯の高さを計測する︵水位センサー方式︶。このため、不足分を容易に計算することができ、浴槽内に残り湯があった場合でも、ほぼ正確に湯張り機能を働かせることができるだけではなく、水位が下がっても自動で足し湯を行うことで設定水位に戻すことができる。一方オート機能の機種は、循環ポンプを作動させた時に残湯があれば、一旦追い焚き動作に入る。一定の熱量を加えたあとで浴槽内の湯の温度上昇がどれだけであったかを測定し、それをもとに残湯の量を計算するという間接的な方法︵熱量演算方式︶を取るため厳密な正確さには欠け、残湯がある時の自動湯張りの水位にばらつきが生じる。また、浴槽の水位を測定できないため、自動足し湯をすることができない。
設置フリー
風呂給湯器のうち、浴槽と給湯器をφ10~12.5程度の2本の樹脂管や銅管等で接続し、浴槽内の湯をポンプで強制的に循環させることで追い焚きを行うタイプをこう呼ぶ。ポンプで循環させることにより、給湯器本体を浴槽の近辺に設置する必要が無くなるため、この名称が付けられた。浴槽から給湯器まで10m以上の距離を取ることが可能ではあるが、距離が長ければ当然熱の損失も多くなるため、経済的ではなくなる。
ポンプで強制的に循環させるため浴槽内の温度ムラがなく、正確な沸かし上げができる。
隣接設置
給湯器本体と浴槽を壁1枚のみを隔てて設置するもので、浴槽と給湯器を直接φ45程度の2本のゴムパイプなどで接続するタイプをこう呼ぶ。以前は自然対流による追い焚きであったが、近年ではポンプによる強制循環方式のものが主流を占めるようになった。
ガスストーブ
ガスを燃焼させた時に発生する熱を、直接室内に放出させることで室温を上昇させる機器。熱の放出方法により、対流式と反射式に分かれる。形状は石油ストーブに類似しているが、比較すると点火から放熱までの時間が短く、点火・消火時、および燃焼中でも未燃焼ガスによる臭いが生じにくい等の利点がある。構造が簡単で全般的に安価であり、また稼働中に電力を必要としない機種が多いため、災害などによる停電時でも、ガスの供給が可能であれば使用できる。反面、都市ガスやプロパンガスを使用するタイプのものの欠点としては、ガスタンクを本体に内蔵できないため、必ずガスコードと呼ばれるガス種ごとの専用の丈夫なホースで元栓と接続させる必要があり、設置や移動において制約を生じる。
ただし近年は、カセットガスコンロ用の︵ブタンガスの︶ボンベを使う持ち運び可能な小型のガスストーブが発売されており、これは屋内でも屋外でも持ち運びが可能である。この場合カセットガスの容量分しか燃焼は継続できないため、2時間ほどしか使用できない。また一部カフェなどでは冬でも屋外で飲食が可能なよう、プロパンボンベを内蔵した屋外型の比較的大型のパラソル型ストーブがあり、独立して移動可能である。これは元々は欧州などで普及していたものであり、日本でも近年見られるようになった。2020年のコロナ禍以降、いわゆる3密を避けるために、飲食店で屋外の席を活用することが増えたが、冬期間のテラス席などで暖を取るための熱源としても利用されている。
電力を使用しないタイプのガスストーブは、稼動時、自動での細かな燃焼調整が行われない︵多くは火力を手動操作する強と弱の二段階しかない︶ため、ガスファンヒーター等、他のガス暖房機と比較し、燃費は不利である。
また、プロパンガスの単価は都市ガスと比較し、一般的に高いため、ランニングコスト等の問題により、ガスストーブはプロパンガス地域で店頭販売されていることは稀であるが、都市ガス地域ではポピュラーである。ただ、ガスの調整弁を各ガス種のものにすることで、本体部品の多くを共用可能であるため商品ラインナップとしては各ガス種のものが取り揃えられてはいる。
なお、燃焼ガスを常時室内へ放出しているため、屋内では定期的に室内空気を外気と換気することが、燃料ガスの種類にかかわらず必要である。
ガスファンヒーター
ガスを燃焼させた時に発生する熱を、温風として室内に放出させることで室温を上昇させる機器。排気方法により、ファンヒーターとFFファンヒーターに分かれる。いずれの場合も、ファンを稼働させたり、火力の制御を行うための電力が必要であるため、停電時には使用できない。
ファンヒーターは、排気を室内に放出させるため、定期的に換気をする必要がある。FFファンヒーターは強制給排気方式のため、室内の空気を燃焼に使わず、換気の必要がない。ファンヒーターはストーブと同様にある程度の移動が可能であるが、FFファンヒーターは給排気筒が壁に固定されるため、移動させることができない。室温を常時計測して燃焼を自動調整するものが多く、また室内の空気を循環させていることで、燃費低減につながっている。
都市ガス地域ではガスファンヒーターは暖房器具としてポピュラーであるが、︵ガスストーブと同様に︶プロパンガスは、ガス単価そのものが都市ガスと比較し高価であるため、ランニングコスト等の問題により、プロパンガス地域の店頭では、ほとんど販売はされていない。なお、ガスの調整弁を各ガス種のものにすることで、それ以外の本体部品の多くを共用できるため、商品ラインナップとしては各ガス種のものが取り揃えられてはいる。
ガス温水暖房熱源機
ガスを燃焼させた時に発生した熱で不凍液を加熱し、それをポンプで循環させて室内で放熱させることで室温を上昇させる暖房システム。ストーブやファンヒーターに比べると設備が大掛かりになるものの、室内の空気を汚さず、必要な部分だけを効率良く暖めることができ、従来暖房機の設置が難しかった浴室やトイレなどにも設置が可能など、様々なメリットがある。
浴室暖房乾燥機
温水エアコンの冷房機能を除き、浴室暖房として使用できるように設計されている。機種によっては換気機能や冷風機能︵外気を導入するのみで、冷房機能とは異なる︶を備えたものもあり、換気と暖房を同時に行うことで浴室乾燥機として使用できるのは、従前からあった電気の暖房機と機能的に同一である。また、後発商品として天井埋込によって外壁に面しない浴室への設置が可能になったものや、ミスト機能を有するものもある。
壁掛式の浴室暖房乾燥機をさらに小型にしたものを、脱衣室やトイレ用の暖房用として商品化しているメーカーもある。
家庭用ガス衣類乾燥機
ガスを燃焼させて発生させた熱で、回転するドラム内の洗濯済みの衣類を乾燥させる機器。その多くはコインランドリーなど、業務用で使用され、家庭用に関しては、リンナイのみが製造しており、﹃乾太くん[4]﹄の商品名で自社および最大手の都市ガス事業者のブランド名で販売されている。機器代が電気式衣類乾燥機よりも高く、導入コストも嵩むため、都市ガスエリアであっても殆ど普及していないのが実情である。発熱量が大きいため電気式のものよりも短時間で乾燥させることができ、ランニングコストも都市ガス、プロパンガスとも一般的には安価となる。