ハドレー循環
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ハドレー循環︵ハドレーじゅんかん、英語: Hadley circulation, Hadley cell︶とは、赤道付近で上昇した空気が南北に分かれ、緯度30度付近で下降し低空を赤道付近に戻る循環のこと。[1][2][3]。
概要[編集]
1735年にジョージ・ハドレー︵George Hadley︶は偏西風と貿易風の原因として、赤道付近で暖められた空気は密度が低くなって上昇し、上空を両極に向かって移動し、冷却され密度が高くなって下降し、地表付近を通って赤道に戻るという循環を提案した[1][4][5]。地球自転による地表の移動速度の影響により、赤道から極へ向かう空気は地表から見ると西風︵偏西風︶となり、極から赤道へ向かう空気は東風︵貿易風︶となる。 実際の空気の流れを観測してみると、赤道付近で空気は確かに上昇しているが、この空気は緯度30度付近で下降してしまう[1]。ただし、その循環の機構はハドレーの提案したものと合致している。現在では、赤道周辺を起点とし低緯度地域を廻る循環のみがハドレー循環と呼ばれている。 ハドレー循環では、 ●上空では、低緯度→中緯度方向に地球自転速度を加味した向きに流れる。 ●地表近くでは上空とは逆︵中緯度→低緯度、地球自転に抗う向きに偏る︶に流れる。貿易風と呼ばれ北半球では概ね北東の風、南半球では概ね南東の風である。 ●赤道付近には常に強い上昇気流が存在し、これは地表近くでみると低圧部︵低気圧︶であり雨が多い。 ●緯度30度付近で下降する。これは亜熱帯高圧帯と呼ばれ、熱帯を取り巻く低–中緯度地域の乾燥気候の主要原因となる。 ハドレー循環と同様の機構により、やや弱いながらも緯度60度付近で上昇して極周辺で下降する循環が存在する。これを極循環という[1]。脚注[編集]
(一)^ abcd大気大循環とジェット気流,羽田空港 WEATHER TOPICS,東京航空地方気象台,2013年9月
(二)^ 水野一晴﹃気候変動で読む地球史 限界地帯の自然と植生から﹄NHK出版、2016年、195頁。ISBN 978-4-14-091240-9。
(三)^ 小倉義光﹃一般気象学﹄︵第2版補訂版︶、2016年3月、171頁。ISBN 978-4-13-062725-2。
(四)^ 廣田 勇 (2011年5月). “風のいろいろ”. 日本気象学会機関紙﹃天気﹄ (日本気象学会) 58 (5): 55–59.
(五)^ 小倉義光﹃一般気象学﹄︵第2版補訂版︶、2016年3月、168-169頁。ISBN 978-4-13-062725-2。
参考文献[編集]
- 田中博『地球大気の科学』共立出版〈現代地球科学入門シリーズ〉、2017年。ISBN 978-4-320-04711-2。