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研究内容・業績[編集]
●ウォーフは、生涯にわたって言語学を専門にはしなかった[1]。しかしながら、彼の研究成果は現在も意味深く、現在に至るまで大きな影響を及ぼしている。
●ウォーフの言語学における主な研究対象は、ネイティブ・アメリカンと中央アメリカ民族の言語についてであった。彼は後にホーピ語の研究及び彼が言語的相対論と名付けた理論で広く知られるようになった。サピアとの協力によって発展したこの理論[2]は、現在ではサピア・ウォーフの仮説と呼ばれている。彼は講演者としても評価されており、彼の言語学における考え方を一般大衆に講演したり、一般読者向けの紹介記事を書いたりといった活動を数多く行なった。その一方で、多数の学術論文の執筆も行なった。
●ウォーフの言語学や言語的相対論に関する初期の著作は、彼が書いた保険損失に関するレポートがその契機になっている。彼はその中で誤解によって引き起こされる保険事故について述べている。たとえば、英語ネイティブでない従業員が可燃性の液体の入ったドラム缶をヒーターの側に置いてしまう、という事故がある。これは、﹁その従業員が“flammable“︵可燃性︶は燃える可能性があるが、“highly inflammable“[3]と書かれたドラム缶は燃えない﹂と考えていたためである。彼の論文や講義は、こういった保険の立場とホーピ語その他ネイティブアメリカン言語のフィールドワークとの両方から例を採ったものであった。
●初期のサピア・ウォーフの仮説は、﹁言語がその人の考え方に影響する﹂という仮説であった。﹁ウォーフの仮説﹂とも呼ばれるこの理論は、その後ある人が話す言語︵その人の住む地域の文化ではなく︶は、その人の考え方に影響を及ぼす、というものになった。すなわち、言語の構造が、その人の世界の認識のしかたに影響を与える、というものである。
●彼の功績のうち、比較的知られていないが重要なものに、ナワトル語とマヤ語に関する研究がある。彼はナワトル語は少数総合的言語であると主張した[4]。マヤ語については、その筆記法の言語学的特質に注目し、ある意味において音節的言語であると主張した[5]。
日本語訳された著作[編集]
●﹃言語・思考・実在 完訳 ベンジャミン・リー・ウォーフ論文選集﹄ジョン B.キャロル編, 有馬道子訳 南雲堂 1978
●﹃言語・思考・現実 ウォーフ言語論選集﹄J.B.キャロル編, 池上嘉彦訳 弘文堂 1978 講談社学術文庫 1993
(一)^ 彼は学問の世界から独立し、別に収入源がある方が好きな学問的興味を追求できると語っていた
(二)^ サピアは1929年にすでにこの元となる考えを発表していた
(三)^ 非常に強い可燃性。inは通常 not を示す接頭辞だが、inflammable のinは into の意味であり、flammable と同じく﹁可燃性﹂という意味を示す。
(四)^ アメリカの賛否両論ある言語学者、モリス・スワデシュも20年近く後に、最近ではメキシコのヘレーラも同様の主張を行なっている
(五)^ この主張は、1950年代にユーリ・クノロゾフによってその正しさが確認された。詳しくはマヤ文字を参照