リテラシー
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リテラシー︵英: literacy︶とは、原義では﹁読解記述力﹂を指し、転じて現代では﹁︵何らかのカタチで表現されたものを︶適切に理解・解釈・分析し、改めて記述・表現する﹂という意味に使われるようになり︵後述︶、日本語の﹁識字率﹂と同じ意味で用いられている。
ちなみに、古典的には﹁書き言葉を正しく読んだり書いたりできる能力﹂と言う限定的に用いられる時代もあった。
概説[編集]
元々は﹁書き言葉を、作法にかなったやりかたで、読んだり書いたりできる能力﹂を指していた用語。 英語では、ラテン語の literatus︵教育を受けて字を知っている者︶から派生した literate の名詞形 literacy を用いる[1]。ドイツ語・フランス語などでは、アルファベット (alphabet) から派生した Alphabetisierung、Alphabétisation などを用いる。 その後この用語は、様々に類推的・拡張的に用いられるようになり、一般的には﹁なんらかの分野で用いられている記述体系を理解し、整理し、活用する能力﹂を呼ぶようにもなっている︵例‥﹁会計リテラシー﹂など︶。そしてまた、﹁書かれた︵印刷された︶言語に限らず、様々な言語、コミュニケーションの媒体︵例えば、ボディランゲージ、画像、映像︵動画︶等まで含む︶を適切に読み取り、適切に分析し、適切にその媒体で記述・表現できること﹂などを指すようになってきている。また﹁情報がある形で提示されるに至った経緯や、発信者が隠そうとしている意図や目的まで批判的に見抜く能力﹂まで指すようになってきている。このように、現代には様々な新しいリテラシーがある、と考えられるようになっているのである。 →#現代的なリテラシー 20世紀に放送メディアが発達し、人々はそれらの影響を大きく受けるようになったが、そうしたメディアで情報操作や世論操作が行われ、様々な問題が生じることが増えるにつれメディア・リテラシーの重要性が説かれるようになった。一段高い視点から、﹁送り手の悪しき意図を見抜き、流されている情報をそのまま鵜呑みにせず、その悪影響を回避する能力﹂まで指すようになっている。近年では、社会の情報化が進み︵情報化社会︶、多様で大量の情報が流れ、人々は良くも悪くもそれに影響を受けることが多いため、﹁情報リテラシー﹂の重要性は指摘されている。 各領域の人々は、それぞれの領域で特に必要とされる記述・表現体系を扱う能力を﹁リテラシー﹂と呼ぶようなことが行われている。放送メディアの解読・分析・発信が必要とされる人々の間では﹁リテラシー﹂と言えば、メディア・リテラシーを指し、コンピュータを扱う技術が必要な職場では、リテラシーと言えば﹁コンピューター・リテラシー﹂を指し、会計関係者の間では﹁リテラシー﹂と言えば、財務諸表等の会計情報を扱う能力を指す、といった調子である。 欧米では古典的な意味も新しい意味もどちらもliteracyやAlphabétisationなどと呼んでいるが、日本語では古典的意味はすでに﹁識字﹂という訳語で定着しているので、新しい意味のほうだけが﹁リテラシー﹂と呼ばれ、結果として二つが呼びわけられているような状態にもなっている。古典的なリテラシー[編集]
詳細は「識字」を参照
現代的なリテラシー[編集]
様々な領域・体系がそれぞれに高度化・深化を重ねており、各領域ごとにリテラシーがあると考えられるようになってきている。例えば次のようなものである。 ●メディア・リテラシー︵Media literacy︶ ●ネット・リテラシー︵Net Literacy︶ ●デジタル・リテラシー︵Digital literacy︶ ●コンピューター・リテラシー︵Computer (Digital) literacy︶ ●情報リテラシー︵Information literacy︶ ●ICTリテラシー(Information and Communication Technology)[2][3] ●視覚リテラシー︵Visual literacy︶ ●ヘルス・リテラシー︵Health literacy︶ ●精神リテラシー︵Mental literacy︶ ●金融リテラシー︵Financial literacy︶ ●科学リテラシー︵Scientific literacy︶ ●マルチメディア・リテラシー︵Multimedia literacy︶ ●統計リテラシー︵Statistical literacy︶ ●データ・リテラシー︵Data literacy︶ ●人種リテラシー︵Racial literacy︶ ●文化リテラシー︵Cultural literacy︶ ●環境リテラシー脚注[編集]
(一)^ “literacy”. Online Etymology Dictionary. 2017年4月19日閲覧。
(二)^ “︻教育改革︼ICTリテラシーって何だろう?”. fun.okinawatimes.co.jp. 2020年11月27日閲覧。
(三)^ “総務省|教育情報化の推進|ICTメディアリテラシーの育成”. 総務省. 2020年11月27日閲覧。