削り節
削り節︵けずりぶし︶とは、鰹節やカツオ、サバ、イワシ、マグロ等の干し魚を薄く削ったものである。日本食の調味料の基礎と位置づけられており、出汁の素材として昆布などと共に欠かせないものである。料理の仕上げ︵見た目、香りやコク味の付加︶として最後に振りかけられる場合もある。
かつては使用する直前に毎回削っていたが、近年は、工場で削って窒素封入によって酸化や香りの飛散を防いだ包装の鰹節削り節︵かつおぶしけずりぶし︶や花鰹︵はなかつお︶、鰹削り節︵かつおけずりぶし︶などを利用する場合が多い。
鰹節用鉋
鰹節を削った﹁かつおぶし削り節﹂、かつお荒節を削った﹁かつお削り 節﹂
鰹節などを加工して生産される製品である。
明治時代末、﹁花かつを﹂という名を付け、広島県深安郡福山町(現・福山市)の﹁フジワ安部商店﹂が発売すると、大正時代から昭和時代初期にかけて愛媛県伊予郡郡中町(現・伊予市)と広島県福山市で﹁花かつを﹂業者の創業が相次ぎ、さらに静岡県の業者も参入した[7]。
現在では薄いフィルム状に削られたものに窒素を入れ気密パックの状態で小分けされているのが主流である。カツオを原料とした削り節の小袋︵かつおパックという商品名︶が家庭で手軽に使える商品として、ヒット商品となった。大正時代に広島県福山市の富士ワ安部商が紙袋で包装して出荷する削り節を考案した。削らなくてもよいので労力が省ける反面、劣化により風味が失われる問題が残された。しかし風味を保つことのできる削り節の研究が続けられ、1969年︵昭和44年︶ににんべんが発売したのが﹁フレッシュパック﹂である。包装に3層構造の合成樹脂フイルムを使用するとともに酸素除去のために不活性ガスを充填することで長期間風味を保つことに成功したこの商品は多く売られ、他社からも同様の製品が発売された。様々な需要に応えるため、量などを違えた様々な削り節が市販されている。
製作工程上で出た削り切れない屑節や削り節に不向きな物は粉状にして﹁削り粉﹂として販売したり、だしパック材料として有効利用されている。静岡市周辺では削り粉と青海苔を混ぜたものを﹁だし粉﹂と呼び、おでんなどに振り掛けて食べる地域がある。