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﹃叔母殺人事件﹄︵おばさつじんじけん、The Murder of My Aunt︶は、折原一の小説作品。
2004年9月、﹁偽りの館―叔母殺人事件﹂というタイトルで刊行され、2007年9月、文庫化に当たり、﹁叔母殺人事件―偽りの館﹂と改題され刊行される。
あらすじ[編集]
古い洋館で起こった殺人事件。
そこに住んでいたのは一代で財を成した女実業家・清瀬富子とその甥・智樹。相続の資格があるか富子に試されていた智樹は、叔母の死を待てなくなり、また、必ずしも自分が相続者になれるかどうか分からず憂え、叔母の殺人計画を練っていく。
事件後、逮捕された智樹は心神喪失を装い、精神鑑定を受け警察病院に入院していた。智樹の殺人計画書が残されているはず、と確信した︻私︼は、それを入手しようとその洋館に移り住み、智樹がどのようにことを進めていったのかを探っていく。
作品は、︻私︼が洋館に移り住んで以後の手記と、殺人者の﹁甥﹂が隠した手記が交互に書かれている。
登場人物[編集]
私
自称・ノンフィクション作家のタマゴ。智樹の起こした殺人事件に興味を持ち、洋館へ引越し事件の概要を探っていく。
入院中の母がいるが、煩わしく思っている。
長沼 絹代︵ながぬま きぬよ︶
ひょんなことから︻私︼と出会い、︻私︼の依頼で家政婦をすることに。
清瀬 富子︵きよせ とみこ︶
北関東の寒村の農家の出身。一代で財を成した建設会社社長の愛人だった。彼の死により本家は没落していったが、幸運にも没落の影響を受けずに大邸宅を譲り受けた。その後、商才を発揮しブティックを始め、絶頂を極める。
息子が一人いるが、相続者と見なしておらず、智樹を探し出し、相続者に相応しいかを見極めるために呼び寄せる。
名倉 智樹︵なくら ともき︶
32歳でフリーター生活を送っていたが、突如叔母の存在を知らされ、叔母宅へ居候することに。叔母の財産に目がくらみ、叔母の殺人計画を練っていく。
春︵はる︶
清瀬家の家政婦。富子が借金を肩代わりしてくれたため、家政婦をしている。
美咲︵みさき︶
春の娘。同じく、家政婦。智樹と肉体関係を持つようになる。
関連項目[編集]
●伯母殺人事件
●リチャード・ハルの小説。この作品にインスパイアされたと思われる︵巻末解説より︶。伯母を殺害し、多額の遺産を手に入れようとする甥の殺人計画が、甥の手記という形で書かれる。