小言念仏
小言念仏︵こごとねんぶつ︶は落語の演目のひとつ。上方落語における世帯念仏︵しょたいねんぶつ︶もこの項で説明する。
概要[編集]
ストーリーのない、形態模写の要素が濃い演目。大阪から東京に移入されたいわゆる﹁上方種﹂のひとつ。 上方では3代目桂米朝の、東京では3代目三遊亭金馬、10代目柳家小三治の得意ネタとして知られる。あらすじ[編集]
演者は人々の様々な読経の様子を演じる。その際、扇子で見台︵ない場合は床︶を一定のリズムで叩き、木魚を模する。 演目の主題である小言をこぼしながら読経する老人は、以下のように演じられる。
●朝の読経中、仏壇のホコリやしおれた花が気になり、﹁南無阿弥陀仏﹂ととなえる合間に妻に指摘する。
●﹁南無阿弥陀仏﹂ととなえながら、﹁鉄瓶︵の湯︶が煮立っている﹂﹁飯が焦げているようだ﹂﹁今朝のおかずは何だ﹂と頻繁に妻に尋ねる。
●表をどじょう屋が通るので、﹁南無阿弥陀仏﹂ととなえながら家族に呼ばせ、どじょうを買わせる。妻に﹁鍋に酒を入れて蒸し焼きにしろ。暴れないようにしっかり蓋をしておけ﹂と調理方法を細かく指示する。どじょうによく火が通ったことを聞き、念仏をしながらほくそ笑む︵仏前で殺生の禁を堂々と冒す、という風刺︶。
バリエーション[編集]
●10代目小三治は、声が届かずに通り過ぎようとするどじょう屋に向かって、主人公が﹁南無阿弥陀!﹂と怒鳴り、仏壇に﹁どじょう屋……﹂ととなえるという描写を用いる。[1] ●桂文珍は、時代がかった演出を排し、設定を現代に置き換え﹁新・世帯念仏﹂と題して演じている︵仏壇はフランス製に限る。﹁仏﹂と書くくらいだから…等︶。脚注[編集]
- ^ 1998年3月15日放送の「笑点」の演芸において、大喜利の出演者でもある三遊亭好楽がこの小三治のアレンジした「『南無阿弥陀仏』と『ドジョウ屋』を言い間違える」という所をオチにして演じたことがある。