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更生保護︵こうせいほご︶は刑事政策上の一分野である。
仮釈放制度、保護観察、更生緊急保護、恩赦制度などをその主な内容とする。
犯罪や非行といった反社会的な行為をなした者に対し、社会内で様々な働きかけをすることにより、再び社会の順良な一員として更生させ、以って社会を防衛する営みを指す。
更生保護という語の﹁保護﹂が、﹁犯罪者=加害者を保護する﹂、という意に解釈する向きがある。確かに、﹁刑を終え、出所した人﹂の人権を偏見や差別から守り、社会復帰の機会から排除しないようにするのは、更生保護の一側面であろう。
しかし、更生保護法の第一条は、
﹁この法律は、犯罪をした者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うことにより、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員として自立し、改善更生することを助けるとともに、恩赦の適正な運用を図るほか、犯罪予防の活動の促進等を行い、もって、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的とする﹂
と定められている。
このことから、更生保護の﹁保護﹂は社会防衛の意であると解することもできる。
なお、1号から5号まで分類される。
社会福祉士および精神保健福祉士の指定科目としての﹁更生保護制度﹂[編集]
2009年度大学入学者より、社会福祉士の指定科目(精神保健福祉士との共通科目扱い)であった﹁法学﹂が、﹁権利擁護と成年後見制度﹂に変更され、福祉法分野の中でも﹁成年後見制度﹂メインの内容となり、同時に、﹁更生保護制度﹂が新設科目として設置された︵なお、﹁更生保護制度﹂は、精保の指定科目と共通ではない︶。
また、2011年度入学者まで、精神保健福祉士の指定科目の1つである﹁精神保健福祉論﹂の中で、制度面[1]を扱う内容の中に福祉法に関する内容が含まれていたが、2012年度入学者から適用される指定科目のうち、﹁精神保健福祉に関する制度とサービス﹂という科目の中で包括される﹁制度﹂側の部分に、明確に﹁更生保護制度﹂︵保護観察・医療観察を含む︶の内容が包括されることになった︵上述した、社福士の指定科目である﹁更生保護制度﹂と重複する部分があるが、共通科目ではないため、大学の履修科目上も基本的に別科目の扱いとなる︶。