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梅の栄︵うめのさかえ︶は長唄の曲名。又この曲に振付けをした踊りが、歌舞伎や日本舞踊で上演されることがある。
明治3年︵1870年︶、三代目杵屋正次郎の作詞作曲によるもの。正次郎の結婚祝に作曲されたと云われているが、﹁歳旦﹂と表紙に書かれた本があるので新年の祝に作曲されたと思える。但し岡安喜三梅と婚礼の際新郎新婦で演奏された。この時ワキ三味線を弾いたのは二代目杵屋勝三郎の妹、杵屋ふさである。
曲は梅を主体に初春ののどかさを唄った曲で本調子前弾で始まり﹁鶏が啼く﹂と品よく出、合方あって﹁四方にわたりて﹂、﹁指す手引く手﹂より舞の合方、二上り﹁ほのめく色の﹂のクドキ風の艶麗な手、﹁羽子のこの数々に﹂より手鞠の合方、﹁きみが春﹂の後琴手事合方、﹁梅の栄と世に広く﹂と琴唄風の旋律で終曲となる。新婦の喜三梅を詠み込んで歌詞に﹁千代の声そう喜三が春﹂とあると云われているが、家元岡安喜三郎を指しているのではないかとも云われている。
- 『長唄の心得(正編)』-小谷青楓(1920年、玄文社)
- 『長唄を説く』-小谷青楓(1928年、法木書店)
- 『長唄全集(上巻)』(『大衆日本音曲全集』第5巻)-田村西男、中内蝶二編(1937年、誠文堂新光社)
- 『長唄名曲要説』-淺川玉兎(邦楽社)
- 『邦楽舞踊辞典』-渥美清太郎(1956年、冨山房)
- 故杵屋いそ談[要出典]
- 故杵屋栄藏談[要出典]
- 故日吉小三八談[要出典]
- 野口由起夫談[要出典]
- 故望月太意之助談[要出典]
- 故松島庄十郎談[要出典]
- 町田佳声談[要出典]