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正準量子化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

: canonical quantization()(c-cclassical)(q-qquantum)

解説

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正準量子化とは、量子力学的な系を扱う際に、古典力学から量子力学での対応則を構成する手法である。その具体的な手続きは、以下のようにまとめられる。

正準量子化の手続き

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(一)()

(二) 

(三)2


2

1自由度の場合

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古典的な正準変数 を、正準交換関係

をみたす演算子 に置き換える。

N自由度の場合

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古典的な正準変数 を、正準交換関係


をみたす演算子に置き換える。

正準量子化における演算子の不定性などの問題については、正準量子化における諸問題の項を参照のこと。

具体例

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1自由度の場合

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1次元デカルト座標の場合の例

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1xt




















古典力学との対応

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交換関係とポアソン括弧

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2c-q-()1925[1]

正準量子化における諸問題

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正準量子化は量子系に移行する一定の規則を与えるが、古典系におけるc-数は可換であるのに対し、量子系のq-数は一般に非可換となり、演算子の積については順序の不定性が残る。また、量子化後にエルミート演算子同士の積はエルミート演算子にはならない。こうした問題を回避する方法として、ワイルの対称化法(Weyl Calculus)や経路積分量子化等の方法が知られている。

また正準量子化をするには、その系に対応する正準形式の古典力学を知る必要がある。一方で経路積分量子化では、ラグランジアンが分かれば量子化することができる。

第二量子化

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()φ(t, x)π(t, x)



脚注

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参考文献

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  • Dirac, P. A. M. (1925-12). “The Fundamental Equations of Quantum Mechanics”. Proc. R. Soc. Lond. A 109 (752): 642–653. doi:10.1098/rspa.1925.0150. 
  • 猪木, 慶治川合, 光『量子力学 1』講談社、1994年。ISBN 978-4061532090 

関連項目

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