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民集︵みんしゅう︶とは、特定の判例集の略称。以下のいずれかを指す。
(一)大審院民事判例集
(二)最高裁判所民事判例集
通例として、
●民集を大審院民事判例集の意味で用いて判例を引用するときは、巻数及び頁数でその判例を特定する。
例えば、﹁大審院昭和7年8月29日判決民集11巻2385頁﹂,﹁大判昭7・8・29民集11-2385﹂
●民集を最高裁判所民事判例集の意味で用いて判例を引用するときは、巻数、号数及び頁数でその判例を特定する。
例えば、﹁最高裁平成9年10月31日判決民集51巻9号4004頁﹂,﹁最判平9・10・31民集51-9-4004﹂など︶
最高裁判所民事判例集[編集]
﹃最高裁判所判例集﹄の﹁民事編﹂のことを指す。原則月1回刊行。最高裁判所判例委員会編集。財団法人判例調査会刊行。
事件名、訴訟当事者、判示事項、判示要旨、判決本文、上告理由書、上告受理申立理由書、第1審、原審判決から成る。民集に登載するほど重要でないと判断された事件は、﹃最高裁判所裁判集民事﹄︵﹁集民﹂と呼ばれる︶に登載される︵こちらは、﹁内部資料﹂扱いで公刊されない︶。
最高裁判所判例解説[編集]
民集登載事件については、まず最初に、﹃ジュリスト﹄[1]の﹁時の判例﹂欄に、事件を担当した最高裁判所調査官が解説を掲載する。次いで、公式判例集に登載された最高裁判決については、﹃法曹時報﹄︵一般財団法人法曹会の月刊法曹専門誌︶の﹁最高裁判所判例解説﹂欄に、より詳細な内容で判例解説が掲載されることが慣習となっている。﹁調査官解説﹂とも呼ばれるこの解説は、判示事項、裁判の要旨を摘示し、当該裁判について調査官の﹁個人的意見﹂に基づいて解説したものであり、﹁最高裁としての見解﹂を示したものではない。ただ、学説や判例について詳細な分析や当該事案の事実関係を簡潔に知ることができる上、最高裁における判断過程の一端を知ることができることから、重要な影響力を持っている。判決が出されたしばらく後に、﹁調査官解説﹂は、裁判の年ごとに﹃最高裁判所判例解説・民事編﹄としてまとめられ、一般財団法人法曹会から刊行される。
法曹会の発行した最高裁判所判例解説については平成15年に株式会社LICから昭和29年度から平成11年度までを収録したDVD版が発売されており[2]、その後、ウエストロー・ジャパン株式会社からオンライン版[3]の提供もなされるようになっている。
関連項目[編集]
- 大審院民事判決録(民録)- 大審院民事判例集が刊行される以前(〜1921年)に発行されていた公式判例集。
- 刑集 - 民集が民事判例を登載しているのに対し、刑集は刑事判例を登載している。