炭俵
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炭俵︵すみだわら︶は、俳諧の撰集で、俳諧七部集の一つ。志太野坡、小泉孤屋、池田利牛編。1694年︵元禄7年︶6月28日奥書[1]。京都の井筒屋庄兵衛、江戸の本屋藤助刊[1]。半紙本上下2冊。題号の由来は、柏木素龍の序によれば、芭蕉の﹁炭だはらといへるは誹也けり﹂との言葉による[2]。
概要[編集]
編者3名はいずれも越後屋の手代で松尾芭蕉晩年の弟子である[2]。森川許六は彼らを﹁師の恩に依て炭俵の選者の号を蒙り、名をあらはせり﹂と評している[2]。 上巻は芭蕉・野坡両吟歌仙を巻頭に、服部嵐雪・利牛・野坡の三吟歌仙、孤屋・芭蕉・岱水・利牛の三吟百韻、春夏の諸家発句を収める[2]。下巻は秋冬の諸家発句にはじまり、宝井其角・孤屋の両吟歌仙、天野桃隣・野坡・利牛の三吟歌仙、芭蕉・野坡・孤屋・利牛の四吟歌仙、杉山杉風・孤屋・芭蕉ら13名の連衆による歌仙で終わっている[2]。上下巻の発句の総数は258句[2]。 許六が﹁炭俵のかるみ﹂︵﹃俳諧問答﹄︶﹁炭俵・後猿のかるみ﹂︵﹃宇陀法師﹄︶と評したように、﹁かるみ﹂を形象化した撰集として知られ、芭蕉自身も﹁別座敷・猿蓑のなりわたりおびたゞしく候﹂と述べている[2]。芭蕉晩年の俳風﹁かるみ﹂の代表的撰集である[1]。 ﹃炭俵﹄の素材や構成は、幸田露伴﹃利休箸﹄に影響を与えた[3]。脚注[編集]
- ^ a b c 佐藤勝明 (2011), p. 111.
- ^ a b c d e f g 岡本勝 & 雲英末雄 (2006), p. 325.
- ^ 水田紀久 (1954), pp. 41–43.