虚時間
虚時間︵きょじかん、imaginary time︶は、虚の時間、つまり、単位時間の虚数︵純虚数︶倍で表される時間である。
虚時間と特殊相対性理論[編集]
ローレンツ変換の不変量である4次元距離は で表される。ここでは、時間と空間は対称ではない。しかし、虚時間を と置くと、 となり、虚時間︵の 倍︶と空間との間に対称性が成立する。このため、特殊相対性理論を虚時間を使って記述すると、数学的取り扱いが容易になる。たとえば、ミンコフスキー時空は4次元ユークリッド空間となり、ローレンツ変換は回転となる。虚時間と温度[編集]
量子統計力学においては、虚時間は逆温度と融合する[1]。すなわち ここで kBはボルツマン定数、ħ は換算プランク定数である。この観点からは、エネルギーの逆数の次元を持つ複素パラメータが現象として現れる際にその実部が時間に、虚部が温度に分かれると考えることが自然となる。脚注[編集]
- ^ 新井朝雄『熱力学の数理』日本評論社、2020年、155頁。ISBN 978-4-535-78918-0。
関連項目[編集]