出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
﹃試作品神話﹄︵しさくひんしんわ︶は、大塚英志の小説。内容の違う同名の絵本もあり、絵は西島大介が担当している。
この項では﹁小説﹂と﹁絵本﹂の呼称で両方について記述する。
小説
ドラマ版﹃多重人格探偵サイコ﹄の続編で﹃月刊ニュータイプ﹄に﹃MPD-PSYCHO/FAKE 試作品神話﹄のタイトルで連載された。﹁1stシーズン﹂は﹃月刊ニュータイプ﹄2000年9月号から2001年12月号、﹁2ndシーズン﹂は2002年8月号から2003年4月号に連載。2023年9月27日に星海社より﹃多重人格探偵サイコ 試作品神話﹄と改題して単行本化された。
絵本
文は大塚英志、絵を西島大介が担当した作品で、漫画における原作・作画ではなく小説的な文章と︵挿絵ではない︶絵本的な絵の作品。
﹁絵本﹂と紹介されることがほとんどだが、発売時の帯では﹁絵物語﹂と位置づけられている。表紙のデザインは寄藤文平。
ストーリー[編集]
小説
絵本
6人の子供たちは﹃神様の卵﹄を見つける。やがて神様は孵化し、子供たちに﹃牛乳﹄の怖さを教える。﹁給食のミルクには﹃月の砂﹄と呼ばれる毒が入っていて、君たちの心を溶かしてゆく﹂と。
そして子供たちは﹃ミルクタンク襲撃計画﹄を立て襲撃、ミルクタンクを破壊するが、その後、間違いに気づく。
登場人物[編集]
| |
子供たち
僕︵ぼく︶
物語の語り部で名前は出てこない。ライフルを持っている。
ベビー・ディケンズ
14歳だが成長を拒否しているため幼児のような容姿をしている。
サリンジャー
深くフードを被っていて日本刀を持っている。
ナボコフ
眼鏡をかけている。
エズラ・パウンド
長いマフラーを巻いてテディベアを持っている。
ヘミングウェイ
おかっぱ頭。
全員で協力して﹃ミルクタンク﹄を破壊したが、破壊の後には何も残らなかったことで真実に気づき、それぞれの道へ歩み始める。
神様︵かみさま︶
子供たちに﹃牛乳﹄のことを教え、信用を勝ち取ったかのように見えたが、真実に気づいた子供たちに最終的に見捨てられてしまう。
孵化し成長するので描写は一定ではなく、怪物のような状態で生まれ人間のようになり、怪物のような状態に戻り朽ちていく。
桃︵もも︶
﹁台風のようなもの﹂と称される怪物。遠い海で生まれ街を破壊して去っていくことから﹁台風﹂に置き換えて呼ばれ、自然災害とされている。
書籍情報[編集]
小説
●多重人格探偵サイコ 試作品神話︵星海社‥2023年9月27日発売︶
●掲載誌・収録誌。
●1stシーズンは﹃月刊ニュータイプ﹄︵角川書店︶2000年9月号~2001年12月号、2ndシーズンは2002年8月号〜2003年4月号に連載。
●﹃多重人格探偵サイコ FAKE﹄第3巻収録﹁DSM-X.101:Learning Disorder NOS 特定不能学習障害﹂︵1stシーズン第1話、角川スニーカー文庫︶
●﹃サブカルチャー反戦論﹄収録﹁多重人格探偵サイコと突然の平和論﹂︵1stシーズン第15話、角川文庫︶
●﹃サブカルチャー反戦論﹄収録﹁DSM-X-200.4 Schizoaffective Disorder 分裂感情障害﹂︵2ndシーズン第9話、角川文庫︶
絵本
出版社‥角川書店
単行本 ISBN 978-4-048-53868-8︵2006年3月11日発売、44ページ︶
文庫本 ISBN 978-4-044-19128-3︵2009年8月25日発売︶