風葉和歌集
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風葉和歌集︵ふうようわかしゅう︶は鎌倉時代中期の物語和歌集。藤原為家とおぼしき人物が、後嵯峨院の后・大宮院︵西園寺姞子︶の依頼を受けて編纂し、文永八年︵1271年︶に成立。もとは勅撰集の如く20巻の部立があったが、現存本は末尾の二巻を欠く。歌の数は1400首︵欠巻を除く︶。
﹃源氏﹄﹃宇津保﹄﹃狭衣﹄をはじめとする平安中期から鎌倉初期にかけての作り物語から、作中の架空人物の和歌を抄出し、大筋を述べる詞書を付した。選歌対象となった二百余りの物語のうち大半が現存せず、僅かに風葉集の詞書によって大概が知られるのみである。﹃みかきが原﹄﹃あさくら﹄﹃海人の藻塩火﹄﹃交野の少将﹄﹃埋れ木﹄のごとき散逸物語はいうまでもなく、﹃寝覚﹄﹃みつの浜松﹄のように不完全な姿で伝来する物語の欠巻を補うのに役立ち、﹃無名草子﹄と共に中古作り物語の研究資料として貴重。
樋口芳麻呂校注﹃王朝物語秀歌選﹄︵岩波文庫︶に﹁物語二百番歌合﹂とともに収録。