高等法院 (イングランド・ウェールズ)
高等法院︵こうとうほういん、英: High Court of Justice︶は、刑事法院及び控訴院とともに、イングランド・ウェールズ高等裁判所︵Senior Courts of England and Wales︶の一部門をなす裁判所である。High Court of England and Wales、あるいはそれを略してEWHCとも呼ぶ。
高等法院のある王立裁判所︵ロンドン︶
高等法院は最重要事件を一審として取り扱うほか、すべての下位の裁判所に対する監督権限を有する。高等法院からの上訴は控訴院、更に連合王国最高裁判所へ行く。
高等法院は、ロンドン中心部のストランド地区にある王立裁判所に置かれている。もっとも、イングランド・ウェールズ全域に地方登記所があり、高等法院におけるほぼすべての手続を地方登記所で行うことができる。高等法院の長は首席判事︵Lord Chief Justice︶である。慣例により、高等法院の男性裁判官は全員ナイトに叙せられ、女性裁判官は全員デイムに叙せられることとなっている。
高等法院は、国王座部、大法官部、家事部の三つの部に分かれている。高等裁判所費用局は訴訟費用を取り扱う高等法院の部局で、これらの3部には属しない。
高等法院のほとんどの手続は1人の裁判官によって審理されるが、特に女王座部において、一定の種類の手続は2人以上の裁判官から成る合議法廷 (Divisional Court) に割り当てられる。
イングランド及びウェールズの裁判所制度
赤装束の高等法院裁判官たち︵2013年、ランダフ大聖堂にて︶
高等法院の裁判官は、正式には﹁国王陛下の高等法院の裁判官﹂(Justices of His Majesty's High Court of Justice)、略して高等法院裁判官︵判事︶と呼ばれる。正式には、また司法関係の書物では﹁The Hon. Mr(s) Justice︵名︶姓﹂との称号で呼ばれる︵ある姓の裁判官を"Mr Justice Smith"と呼んだ場合は、その後に出てくる同姓の裁判官は"Mr Justice John Smith"、"Mr Justice Robert Smith"のように区別する。また女性の裁判官は結婚しているか否かにかかわらず"Mrs Justice Jones"のように呼ばれる。︶。社会的には、任命時に取得するナイト又はデイムの称号によって呼ばれ、"The Hon."との敬称は付けられない。