CM体
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数学において、CM体 (CM-field) は特別なタイプの代数体 Kであり、虚数乗法 (complex multiplication) 論との密接な関係からこの名前がついた。J-体 (J-field) と呼ばれることもある。
省略形 "CM" は (Shimura & Taniyama 1961) によって導入された。
定義[編集]
数体 KがCM体であるとは、総実な基礎体 Fの二次拡大で、K が総虚なことをいう。すなわち、F の Cへの埋め込みは全て、完全に Rに含まれるが、K から Rへの埋め込みは存在しない。 言い換えると、K の部分体 Fが存在して、K は F上次のようなある1つの元の平方根 によって生成される。β の有理数体 Q上の最小多項式のすべての根は実数でない複素数である。このため α は﹁総負﹂に選ばれなければならない、つまり Kの実数体への各埋め込み σ に対して、σ(α) < 0 である。性質[編集]
CM体の1つの性質は、C 上の複素共役が Cへのその体の埋め込み方によらないその体上の自己同型を引き起こすことである。この自己同型は上の記号で β の符号を変えなければならない。 数体 KがCM体であることと Kが "units defect" を持つこと、すなわち Kの真の部分体 Fであってその単数群が Kの単数群と同じ Z-ランクを持つものが存在することが同値である (Remak 1954)。実は、F は上で述べた Kの総実部分体である。これはディリクレの単数定理から従う。例[編集]
●最も簡単な、そして動機付けとなるCM体の例は、虚二次体であり、その総実部分体は有理数体である。 ●CM体の最も重要な例の一つは、1の原始 n乗根で生成される円分体 である。この体は総実体 の総虚二次拡大である。 は複素共役写像の固定体であり、 はそれに の平方根を添加することにより得られる。 ●すべてのCM体の合併 QCMは無限次拡大であることを除いてCM体に似ている。それはすべての総実体の合併 QRの二次拡大である。絶対ガロア群Gal(Q/QR) は Gal(Q/Q) の位数2のすべての元によって︵閉部分群として︶生成され、Gal(Q/QCM) は指数2の部分群である。ガロア群 Gal(QCM/Q) は位数2の1つの元︵複素共役︶によって生成される中心を持ち、その中心による商は群 Gal(QR/Q) である。 ●V が n次元複素アーベル多様体であれば、V の自己準同型の任意の可換代数 Fは Z上ランクが高々2n である。ランクが2n であり Vは単純であれば、F はCM体の order である。逆に、任意のCM体は同種(isogeny)を除いて単純複素アーベル多様体からこのようにして生じる。参考文献[編集]
- Remak, Robert (1954), “Über algebraische Zahlkörper mit schwachem Einheitsdefekt” (German), Compositio Math. 12: 35–80, Zbl 0055.26805
- Shimura, Goro (1971), Introduction to the arithmetic theory of automorphic functions, Publications of the Mathematical Society of Japan, 11, Princeton, N.J.: Princeton University Press
- Shimura, Goro; Taniyama, Yutaka (1961), Complex multiplication of abelian varieties and its applications to number theory, Publications of the Mathematical Society of Japan, 6, Tokyo: The Mathematical Society of Japan, MR0125113
- Washington, Lawrence C. (1996). "Introduction to Cyclotomic fields" (2nd ed.). New York: Springer-Verlag. ISBN 0-387-94762-0. Zbl 0966.11047