KJ法
KJ法︵KJほう︶は、文化人類学者の川喜田二郎︵東京工業大学名誉教授︶がデータをまとめるために考案した手法である。KJは考案者のイニシャルに因む。
データをカードに記述し、カードをグループごとにまとめて、図解し、論文等にまとめていく。共同での作業にもよく用いられ、﹁創造性開発﹂︵または創造的問題解決︶に効果があるとされる。
概要[編集]
川喜田は文化人類学のフィールドワークを行った後で、集まった膨大な情報をいかにまとめるか、試行錯誤を行った結果、カードを使ってまとめていく方法を考え、KJ法と名付けた。またチームワークで研究を進めていくのに効果的な方法だと考え、研修方法をまとめ、﹃発想法﹄︵中公新書、1966年︶を刊行した。それ以降、川喜田が企業研修や琵琶湖移動大学などで指導を行い、普及を図った。 次第にKJ法の名称も一般化し、企業研修や学校教育、各種のワークショップなど様々な場面で広く用いられるようになった︵大学で経営工学などを専攻すると、カリキュラムの中で集中的に取り上げられることもある︶。 フィールドワークで多くのデータを集めた後、あるいはブレインストーミングにより様々なアイディア出しを行った後の段階で、それらの雑多なデータやアイディアを統合し、新たな発想を生み出すためにKJ法が行われるのが一般的である。 多くの断片的なデータを統合して、創造的なアイディアを生み出したり、問題の解決の糸口を探っていく。プロセスそのものは川喜田の著作に明確に記されており、一見シンプルで容易にみえる。しかし、プロセスの随所で細かい注意が必要であり、実際に使いこなすためには訓練が必要である。KJ法の進め方[編集]
KJ法は4ステップからなる。 (一)カードの作成 1つのデータを1枚のカードに要約して記述する。︵※1枚に1つのデータだけ。複数書き込まない。︶ (二)グループ編成 数多くのカードの中から似通ったものをいくつかのグループにまとめ、それぞれのグループに見出しをつける。 (三)図解化︵KJ法A型︶ (四)叙述化︵KJ法B型︶ 様々な用途に合わせて色々なサイズのカードが用意されている。注意点[編集]
上記のようにKJ法は様々な場面で用いられており、正しく学んだことがない人が教育・指導していることも多いといわれる。インターネット上にあるKJ法の解説にも不正確なものが散見される。[要出典] ﹁KJ法﹂は︵株︶川喜田研究所が商標登録し︵登録商標日本第4867036号︶、正規の教育・コンサルティングを行うための認定を行っている。コンピュータ用のソフトウエアで、KJ法が使えると称したものが配布・販売されている。﹁KJ法が使える﹂ことを謳うだけならば商標の使用には当たらないものの、川喜田研究所から使用許諾を受けずに﹁KJ法﹂を商標として使用すると商標権侵害になる。参考文献[編集]
- 川喜田二郎 『発想法 – 創造性開発のために』中公新書、改版2017年 ISBN 978-4-12-180136-4
- 川喜田二郎 『続・発想法 - KJ法の展開と応用』中公新書 ISBN 978-4-12-100210-5