カースト(英語表記)caste

翻訳|caste

デジタル大辞泉 「カースト」の意味・読み・例文・類語

カースト(caste)

 
1︿casta20001950
2 
3   

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精選版 日本国語大辞典 「カースト」の意味・読み・例文・類語

カースト

 

(一)   ( [] caste  casta  )
(二) 
(一)[]︿(1882︿)
(三) 1928
 

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改訂新版 世界大百科事典 「カースト」の意味・わかりやすい解説

カースト
caste




︿︿castus︿jāti

 vara︿︿︿︿︿使43dvija10upanayana2ekaja4scheduled caste︿5pañcama︿

 420003000

 4︿

1 

 75ipravara

 

2 

3 ︿︿

 

4 

 

1 

 1030jajmānī︿︿dominant caste

 

2 

 33︿Sanskritization

 ︿︿

1 

2 姿︿宿

19

 1000-600200-200︿

 ︿︿︿︿

 46退

 

西20

 


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カースト」の意味・わかりやすい解説

カースト
かーすと
caste

インドの中世(紀元後8世紀以降)には、一般にカーストとよばれる、さまざまな社会集団が形成された。それらのカースト諸集団をなんらかの基準によって上下に序列化することによって形成されたのがカースト制度である。

[小谷汪之]

バルナ社会理論と不可触民概念


800varaBrāhmaaKatriyaVaiśyaŚūdra34()45()


カースト集団の形成

7、8世紀、インド亜大陸各地で中世的社会が形成されはじめたが、その重要な一環として、一般にインド諸語でジャーティ(生まれ)とよばれる社会集団すなわちカーストも形成されはじめた。インド中世において、クシャトリヤという社会階層を代表したのはラージプートとよばれる集団であった。ラージプートという呼称は「王の子(ラージャプトラ)」ということばから派生したもので、北インド各地に勢力を張った武人諸集団の総称というべきものである。ラージャプトラということばは8世紀ごろから碑文などに見られるので、このころにはある程度の集団的結集を遂げていたと考えられる。他方、シュードラという社会階層に属するとされるカーストのもっとも早い事例の一つは北インドのカーヤスタである。カーヤスタは、もともとは、書記という職業を表すことばであったが、それが固定的な社会集団を意味するようになってきたのである。10世紀ごろの『ベーダ・ビヤーサ法典』では、カーヤスタは大工、床屋、牛飼い、陶工、花菜栽培人(マーラカーラ)、農民(クトゥンビン)とともにシュードラの階層に属するとされている。このようにカースト集団形成の一つの大きな契機は職業の共通性であったと考えられる。これらの諸カーストがシュードラの社会階層に属するとされていることは玄奘の記述と一致し、当時の実体を表していると考えられる。中世南インド、タミル地方の石刻文にも、多くのカースト名が記載されているものがあり、その中にはチェッティ、ワーニヤといった商人カーストの名前や、パライヤルという被差別民(不可触民)の名前も見られる。これらは今日にまでつながるカーストである。

[小谷汪之]

カースト制度の成立

さまざまなカースト集団が形成されはじめた中世初期には、村落共同体も形成されはじめた。初期仏典に描かれた村落は農民村落、大工村落、鍛冶(かじ)工村落といったように、それぞれの職業集団が別々に住む村落であったが、中世になると、多数のカーストの者たちが一緒に住み、村落のなかで分業関係を取り結ぶ、すぐれて村落共同体とよぶべき村落が形成されてきた。さらに、これらの村落共同体を数十束ねた地域共同体も形成され、それが各カーストの一次的結集の単位となった。たとえば、一つの地域共同体内の村々の大工が集まって大工カーストを形成し、それが近隣の諸地域共同体の大工カーストと二次的な結び付きのネットワークを広げていったのである。このようにして、地域共同体を場として、多くのカーストが形成されると、それらの間に上下の序列関係が生み出されることになった。そのとき、カースト間序列の大枠となったのが、前述の5バルナ社会理論であった。その頂点には、地域社会の精神的指導者であったバラモンの諸カーストが位置したが、クシャトリヤに属すると認められたカーストは存在しない地域の方が多かった。バイシャに属するとされたのは商人の諸カーストであったが、その数は少なかった。したがって、大部分のカーストはシュードラか不可触民の階層に属するとされていたのである。同時に、それぞれのバルナ内部の諸カースト間の序列関係もバラモン階層と在地の支配的カーストによって支えられた在地の慣習法によって決まっていった。このように、カースト制度は在地社会においていわば自然発生的に形成されてきた身分制度(社会的身分制度)であったから、地域ごとに偏差も大きく、その形成には多大な時間差があったと考えられる。しかし、カースト制度が一度形成されると、中世インドの諸国家は自前の身分制度(国家的身分制度)を制定することなく、カースト制度をもってそのままそれに代位した。そのため、カースト制度は社会のみならず、国家によっても維持される身分制度となったのである。カースト制度がいちおう完成された後でも、多数の新たなカーストが形成された。そのダイナミズムの一つは階層分解で、主として農民層の上層が武装するようになり、母集団から分離して新しい武人カーストを形成した。これらのカーストはクシャトリヤの身分を主張することが多かったのであるが、容易にはそれを認められなかった。その代表的なものが、マラータ王国(1674~1818)を樹立したマラータ・カーストである。また、社会的分業の発達によって、新しい職業に専従する集団が形成され、カーストになっていくということもしばしばみられた(マラータについては現地の発音に近いマラーターと表すケースもあるが、本事典では前者で統一している)。さらに、新しい宗派の形成も新しいカーストの形成につながることが多かった。リンガーヤトはその顕著な一例である。このように、カースト制度の内部はきわめて流動的だったのであるが、大枠としての序列関係には大きな変化をきたさないまま、イギリス植民地支配期(18世紀後半以降)に入った。

[小谷汪之]

植民地支配下の変動

植民地支配下、カースト制度は大きな変動をみせた。1772年、時のベンガル知事、W・ヘースティングズはヒンドゥーにかかわる民事訴訟においては、「シャーストラの法」を適用するという原則をたて、それが植民地領全体に広まった。「シャーストラの法」というのは『マヌ法典』のような古典の法や中世におけるその註釈書をさす。実際にも、『マヌ法典』などに基づいて裁判が行われ、中世においてはまったく意味をもたなかった再生族(学問を始める儀式であるウパナヤナ=入門式を受けることによって二度生まれる者という意)と一生族(ウパナヤナを受けないので一度しか生まれない者の意)の区分が判決を左右したりすることとなった。こうして、理念性の強いバラモン的な規範が一般化するとともに、各カーストのバルナ帰属意識が強まることになった。また、植民地支配下、カーストに広範な自治権(caste autonomy)が付与され、カーストの規制力が強化された。こうしたなかで、サンスクリタイゼーションSanskritizationとよばれる動きが顕著になってきた。これは、上位のカースト、とくにバラモンの社会慣行を取り入れることによって、自らのカーストの地位を上昇させようとする動きであるが、一般的には、肉食・飲酒を禁じるカースト規則をつくって、メンバーに強制することが多かった。また、それまで寡婦が自由に再婚していたカーストで、寡婦の再婚を許さないというバラモン的規則をつくるということも広くみられた。このことは、女子の幼児婚の慣習と相まって、女性に対する差別を強化することとなった。1871年からは、10年ごとに国勢調査が英領インド全域で画一的に行われるようになり、その際には、各人のカーストとそのカーストが属するとされるバルナの調査も行われた(1931年まで)。このことは、さまざまなカーストによる地位上昇運動を誘発し、そのための運動体として広範な地域にまたがる大カースト連合体が形成されるようになっていった。北インドのカーヤスタ大連合はその顕著な一例である。植民地支配下、一定の地方自治体制がしかれ、そのために選挙制度が導入されると、これらのカースト大連合は集票マシンとしても機能するようになった。独立(1947)後のインド政治を特徴づける「カースト・ポリティックス」への動きはこの時期から始まったのである。

[小谷汪之]

独立インドにおけるカースト制度


Reservation1919Depressed Classes()1935Scheduled CastesScheduled Tribesreserve10Other Backward Classes()



197919872198919891990西1990BR5 1994MK6 1994 519949519951996199719982001 3 2002

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百科事典マイペディア 「カースト」の意味・わかりやすい解説

カースト

 
castajati20003000
 

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カースト」の意味・わかりやすい解説

カースト
caste

 
 15004 ()  ()  ()  () 410141617 2000 3000 ()   

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「カースト」の解説

カースト
caste


()4()847510191950

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旺文社世界史事典 三訂版 「カースト」の解説

カースト
caste

インド特有の宗教的観念と結合した身分階層制度
家系・血統を意味するポルトガル語のcastaに由来。インドでは「生まれ」を意味する「ジャーティ」と呼ばれる。原型はアーリア人のインド侵入の過程で先住民を征服・差別したことにある。バラモン(司祭者)を頂点とし,クシャトリヤ(王族・士族)・バイシャ(庶民)・シュードラ(隷属民)の4種姓(ヴァルナ)を基本とし,上位3種を再生族(ドビジャ)と呼んだ。その後,混血や職業の分化に伴って複雑に分岐し,多くのカーストが生じた。今日では2000〜3000のカーストが存在する。各カーストは閉鎖的・排他的で職業を世襲し,異種カースト間での結婚・飲食は禁止される。ヒンドゥー教とも結合してインドの近代化を妨げた。独立後のインド憲法では禁止されているが,なお根強い影響力を残している。このほか不可触賤民(パリア)と呼ばれる最下層民が存在し,深刻な社会差別を受けている。

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世界大百科事典(旧版)内のカーストの言及

【インド[国]】より

…このことは普通選挙制が実現した独立後の時期にはさらに重要となった。 ネルー時代の国民会議派の選挙における確固とした支持基盤は,彼自身の出身カーストであり知識階層の多くの人々のそれでもあるバラモン,分割後もインドに取り残されて社会的に不安定な立場にあるムスリム,ヒンドゥー社会の底辺を形づくる指定カースト(不可触民)の三つであったといわれる。この3者だけで全人口の30%をこえると推定される。…

【インド】より


 

【スリランカ】より

…イギリスの植民地経営は当初,オランダ同様にニッケイ貿易の独占を目的としていたが,1830年代からプランテーション農業の開発へと転換した。湿潤地帯の山地にコーヒーを栽植し,南インドの下層カーストの労働力を移植した。こうしてプランテーション的生産様式の基本的な経営形態が,19世紀中葉に成立したのである。…

【ネパール】より

…このほか,わずか数家族という言語集団も見られる。 宗教は(1)の人々(および仏教徒(2-a)中のネワールも含む)は多くヒンドゥー的で,カースト社会を成す。ただし,(1-a)の人々の間では中間の地位の諸カーストが欠落している。…

【バラモン教】より


()()

【ヒンドゥー教】より

…したがってヒンドゥー教は,ピラミッドの頂点に立つ極度に発達した哲学体系からその底辺にある最も原始的な信仰や呪術をもその中に取り込んでいる。ヒンドゥー教は高度の神学や倫理の体系を包括しているばかりではなく,カースト制度やアーシュラマ(生活期)制度をはじめ,人間生活の全般を規定する制度,法制,習俗などを内包している。ヒンドゥー教は宗教というよりもむしろ生活法a way of lifeであるといわれるのも,以上のような性格に由来している。…

【村】より

…むらには耕作者にサービスを提供する各種の職人がおり,不足した場合は近隣の職人部落からサービスを仰ぎ,またそこで生産された物が商人によってむらにもたらされた。むらの近くの被征服民(アウト・カースト)や未開の種族民(ときには外敵となる)からは,耕作その他の肉体労働を得ていた。むらには,むらのさまざまな問題を処理するむら人の集会があり,むら人の上には氏族や血縁集団の首長の系譜を引くむら長や長老たちがいた。…

※「カースト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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