改訂新版 世界大百科事典 「クスノキ」の意味・わかりやすい解説
クスノキ (樟)
camphor tree
Cinnamomum camphora(L.)Presl
クスノキ科Lauraceae
双子葉植物。40属あまり,約2000種からなり,世界の熱帯~亜熱帯を中心に分布する。とくに東南アジアと南アメリカの熱帯に多い。大半は常緑の樹木であるが,暖帯~温帯には日本のクロモジなどのように落葉のものもある。植物体全体に精油成分を含有する組織があり,そのため一般に芳香をもつ。葉はふつう互生し,単葉で,全縁または浅裂する。托葉はない。花は両性または単性,放射相称でふつう小さい。おしべの葯が弁開するのは,この科の特徴の一つである。果実は液果または核果で,種子は無胚乳。ニクズク科やバンレイシ科などの原始的な被子植物と類縁があると考えられるが,花はより単純化している。この科の有用樹木としては芳香成分を利用するクスノキ,ゲッケイジュ,ニッケイ属の数種,果実を食用にするアボカドなどをあげることができる。また,ほとんどが樹木であるこの科では,木材として有用なものが多い。 執筆者‥緒方 健出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報