ジッペ(英語表記)Sippe

改訂新版 世界大百科事典 「ジッペ」の意味・わかりやすい解説

ジッペ
Sippe


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジッペ」の意味・わかりやすい解説

ジッペ
Sippe

古代ゲルマン社会の氏族共同体。元来は1人の始祖に始る男系の氏族団体で,宗教的性格をも帯びていた。ジッペは古代ゲルマン民族の根元的な生活単位であり,人々はジッペの保護下で生活の安全を保障され,外部からの加害に対してジッペ成員全員による救済を期待しえた。経済生活もまたジッペを単位としており,成員の私法的権利はジッペの総有権によって包括されていた。移動期のゲルマン人が定住する際に,ジッペは農業生産共同体として機能した。戦時における軍の単位もまた当然ジッペであった。ゲルマン法が根本において団体法であるのは,このジッペに起因する。

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世界大百科事典(旧版)内のジッペの言及

【家】より

…日本の家も西欧のファミリーも,その基本的機能は成員の生活保障にある。だからこそ血縁者のみでなく,他人もいれる必要がでてくる。英語のファミリーfamilyの原義は家の使用人たちであった。歴史とともに社会が安定し,生活が容易になれば,他人を必要とせず,血縁につながる近親者の小集団に縮小してくる。しかし,家の血縁に対する考え方は国によって違う。家族
【日本】

[結合原理としての家――伝統と変容]
 日本の場合,血縁尊重ということがよくいわれる。…

【ゲルマン人】より

…それはすでに長い前史をもつ定着的な農耕と牧畜を主業とする社会であり,地理的な事情もあって北東部諸族の間では,南西部におけるよりも牧畜が重視されていた。氏族(ジッペ)の遺制とその観念は,たとえ擬制的なものであるにせよ,農村の生活,戦闘のやり方,私法上の諸慣習にかなり濃厚にみうけられるが,しかしそれらを越えた政治的なまとまりがあり,その公的な制度と秩序は厳然と保持されていた。そうした政治的まとまりは,全ゲルマニアをうって一丸とした領域国家ではなしに,ローマの著述家によりキウィタスと呼ばれた小国家の分立であり,しかもそれは地縁的なまとまりというよりも,本質的には人的な結合体という性格の強いものであった。…

【私刑】より


 

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【フェーデ】より

…ゲルマン古代ならびにゲルマン法において,違法行為が私人たる当事者の間に発生した場合に,被害者の所属する氏族団体すなわち〈ジッペ〉と,加害者のそれとの間に自動的に生じる敵対関係をいう。そしてこの関係は,基本的には,被害者側による血の復讐の成功をもって終結する。…

※「ジッペ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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