デジタル大辞泉 「割れる」の意味・読み・例文・類語 わ・れる【割れる/▽破れる】 ﹇動ラ下一﹈﹇文﹈わ・る﹇ラ下二﹈ 1 強い力が加わるなどして、固体がいくつかに分かれ離れる。こわれて細かくなる。﹁茶碗が―・れる﹂﹁卵が―・れる﹂﹁氷が―・れる﹂ 2 裂け目ができる。また、傷がついて開いた状態になる。﹁地震で地が―・れる﹂﹁ぱっくりと―・れた額﹂ 3 まとまっているもの、組織などが二つ以上に分かれる。分かれてまとまりがなくなる。分裂する。﹁意見が―・れる﹂﹁党が―・れる﹂﹁票が―・れる﹂ 4 そろえた両膝の間が空く。﹁浴衣の膝が―・れて素肌が見える﹂ 5 隠れていたものなどが現れる。秘密などが明らかになる。﹁底が―・れる﹂﹁身元が―・れる﹂﹁犯人︵ほし︶が―・れる﹂ 6 音が濁って聞きとりにくくなる。﹁音が―・れる﹂ 7 ︵﹁われるような﹂﹁われんばかりの﹂などの形で、比喩的に用いる︶物事の程度がはなはだしいさまをいう。﹁場内―・れんばかりの拍手﹂﹁頭が―・れそうに痛い﹂ 8 割り算で、余りのない答えがでる。わりきれる。﹁九は三で―・れる﹂ 9 手形割引で現金化される。﹁手形が―・れる﹂ 10 相場が下落してある値段以下になる。﹁株価が―・れる﹂ 11 ︵﹁縦に割れる﹂の形で︶野球の投球で、上下に大きく曲がるさまをいう。﹁―・れるカーブ﹂ 12 あれこれ思って心が乱れる。 ﹁聞きしよりものを思へば我(あ)が胸は―・れて砕けて利(とご)心(ころ)もなし﹂︿万・二八九四﹀ 13 勝負がつかないままで終わる。引き分ける。 ﹁―・れたるは半月の夜の相撲かな﹂︿伊勢踊﹀ [下接句]御(おか)釜(ま)が割れる・尻(しり)が割れる・底が割れる・種が割れる・ねたが割れる・面が割れる [類語]︵1︶壊れる・破損する・毀(きそ)損(ん)する・損傷する・損壊する・損ずる・毀(こぼ)れる・欠ける・傷付く・拉(ひし)げる・潰(つぶ)れる・砕ける・いかれる・ポシャる・破れる/︵3︶分かれる・離れる・外れる・分離・離脱・分裂・分解・解体・独立・外す・分ける・分割・四分五裂・遊離・隔たる・遠ざかる・遠のく・離隔・隔絶・乖(かい)離(り)・切り離す・断ち切る・ちぎれる・張り裂ける 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「割れる」の意味・読み・例文・類語 わ・れる【割・破】 (一)〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙 [ 文語形 ]わ・る 〘 自動詞 下二 〙 (二)① 力を受けて二つまたはいくつかの部分に分離され、全体の完結性を失う。 (一)(イ) 固形の物体がいくつかの部分に分解する。 (一)[初出の実例]﹁法を聞きつる以後は(かひ)破(ワレ)て出ぬるが如し﹂(出典‥東大寺諷誦文平安初期点︵830頃︶) (二)﹁ツボ、チャワンガ varuru(ワルル)﹂(出典‥日葡辞書︵1603‐04︶) (二)(ロ) 皮膚や爪、また板、地面などに割れ目ができる。 (一)[初出の実例]﹁夏も冬も手足におほきなるあかがりひまなくわれければ﹂(出典‥平家物語︵13C前︶八) (三)② 事柄の全体が二つまたはいくつかの部分に分かれて、一体性を失う。 (一)(イ) 分割・区分けされる。 (一)[初出の実例]﹁瀬を早み岩にせかるる谷川のわれて末にもあはんとぞ思ふ︿崇徳院﹀﹂(出典‥詞花和歌集︵1151頃︶恋上・二二九) (二)(ロ) 組織などが分裂する。人の間柄が不和になる。別れて対立する。 (一)[初出の実例]﹁クニガ varuru(ワルル)﹂(出典‥日葡辞書︵1603‐04︶) (三)(ハ) 勝負がつかないままで終わる。引き分けになる。 (四)(ニ) 座った両膝の間があく。 (一)[初出の実例]﹁たつは︿略﹀、斜め横に倒れる。その膝が割れ、膝小僧が出てゐる﹂(出典‥澪標︵1960︶︿外村繁﹀) (四)③ あれやこれやと思って、心が乱れる。 (一)[初出の実例]﹁聞きしより物を思へば我が胸は破(われ)てくだけて利心(とごころ)もなし﹂(出典‥万葉集︵8C後︶一二・二八九四) (五)④ 事の筋道が明らかになる。秘密があらわになる。犯人がわかる。ばれる。 (一)[初出の実例]﹁破れかぶれ、奥様に知らせ、いっそわれて出よふか﹂(出典‥浄瑠璃・栬狩剣本地︵1714︶三) (二)﹁﹃あの晩の襲撃者は、もう判ったの﹄﹃おお、それが割れていれば、苦労はしないさ﹄﹂(出典‥われら戦友たち︵1973︶︿柴田翔﹀四) (六)⑤ 数量の変動する事物で、数値がある目安の値以下になる。米相場で、相場が下落して、ある値段以下になる。 (一)[初出の実例]﹁譬へば相場弐匁五分で持合て居る時、三匁以上に成るを三匁抜けと言、弐匁以下に成たを割れると言﹂(出典‥稲の穂︵1842‐幕末頃︶) (七)⑥ 女性が処女性を失う。また、初潮を見る。 (一)[初出の実例]﹁おどり子のばっかりいつかわれて居る﹂(出典‥雑俳・川柳評万句合‐明和六︵1769︶松四) (八)⑦ 花札で、一人が集めれば役になる札が、他の者に取られる。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例