デジタル大辞泉
「協定世界時」の意味・読み・例文・類語
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きょうてい‐せかいじケフテイ‥【協定世界時】
- 〘 名詞 〙 地球の自転速度を基準にした時刻系(世界時)の進度は一定ではないので、この世界時を、一定の進度で流れる原子時で近似させた時刻系。現在の日常社会生活はすべてこの時刻系に基づいている。略称UTC
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協定世界時
きょうていせかいじ
Coordinated Universal Time
常用および科学分野で使われる国際的時法。1963年実施。略記 UTC。原子時計が刻む1秒を基準単位とし,電波信号によって広く配信される。この電波があらゆる公的,私的な時計を合わせるのに用いられている。1972年1月1日以降,必要に応じ閏秒を加えて調整されている。UTCは, 原子時計を元にした原子時に基づきながら,原子時と,地球の自転の天文測定値から算出される太陽時を補正した UT1との間に生じる時間差を調整したもので,UT1から±0.9秒の範囲内に保たれている。国際原子時 TAIとの差は常に整数秒である。地球の自転速度は潮汐摩擦やその他の力によって不規則に遅くなるため,現在,1太陽年は原子時計の秒で刻むと,UT1の秒数より約1秒多い。そのため12月または6月の最終の1分を61秒とするなど,必要に応じて UTCに閏秒が加えられる。閏秒の挿入は,パリ天文台の国際地球回転観測事業により少なくとも8週間前に発表される。︵→時間,世界時︶
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協定世界時 (きょうていせかいじ)
coordinated universal time
セシウム原子時計の秒を刻み,その時刻を平均太陽時︵UT1︶の時刻から,つねに±0.9秒以内に収めるよう国際的に管理された人工的な時刻システムである。UTCの記号で表され,世界各国標準時の基礎となっている。セシウム原子時計の進み方に比べて,平均太陽時の進み方は変動を含むばかりでなく,現在のところ1年当り約1秒の遅れ率となっている。協定世界時の時刻と平均太陽時の時刻差が0.9秒を超える見通しになると,全世界一斉に閏秒の挿入によって,協定世界時の時刻の合せ込みが行われる。協定世界時の管理は国際協定に基づいて,パリ天文台構内にある国際報時局が担当している。この協定世界時は1972年の年初から始まり,その後75年にその運用ルールに若干の改訂が加えられ現在に至っている。
執筆者‥飯島 重孝
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世界大百科事典(旧版)内の協定世界時の言及
【国際原子時】より
…この国際原子時の時刻スケールは,わずか1~2台のセシウム原子時計しか利用できなかった1955年半ばごろまでさかのぼることができる。国際原子時に閏秒による整数秒の時刻調整を行い,UT1世界時から±0.9秒以内に収まるよう管理された実用の時刻システムが協定世界時に当たる。このように国際原子時と協定世界時は共通の刻みをもち,ただ時刻だけが整数秒異なる。…
【時刻】より
…そこでこの両者を妥協させ一体化した新しい標準時システムが国際天文学連合などを中心に検討が続けられた。この結果生まれたのが現行の協定世界時(UTC)で,72年から国際的に実施されている。これはセシウム原子時計の秒を刻み,うるう秒を適宜挿入することによって,〈UT1〉との時刻差がある決められた範囲(±0.7秒)に収まるよう人工管理された時系である。…
【常用時】より
…標準時として日常使われている時刻システムをいう。現在は[協定世界]時が標準時の基礎となっているので,常用時といえばこの協定世界時を指す。これ以外の時刻システム,例えば暦表時,国際原子時などは常用時ではなく,学用時の部類に入る。…
※「協定世界時」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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