原始美術(読み)げんしびじゅつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「原始美術」の意味・わかりやすい解説

原始美術
げんしびじゅつ

プリミティブ・アートprimitive artの訳語。プリミティブという語には、初期、古風、始原という意味と、未開、素朴という意味とがある。したがって美術史上プリミティブという語は、先史時代の美術、現存の部族社会の美術、ルネサンス直前の美術、近代の素朴派絵画などに冠して用いられる。とくに限定して用いられる場合は、先史時代の美術と部族社会の美術とをさすが、二つは性格が異なっているので、前者を先史美術prehistoric artないし始原美術primaeval art、後者を部族美術tribal artと名づけて区別することがある。

木村重信

ヨーロッパの先史美術


31()Franco-Cantabrian art100姿姿()調()姿()()

 1Levant art4080301()78

 姿


アフリカの先史時代と部族社会の美術




(1)() 

(2)60004000 

(3)1500 Fulbe

(4)200 Garamantes

(5) 200TifinaghTuaregs

(6)Arabo-Berber 11

 19

 500200Nok artYoruba10001400()BiniBenin13001897NupeEsie

 ()


インドの先史美術


西1


オセアニアの部族美術

オーストラリア先住民のアボリジニーAboriginesは、古くから狩猟採集生活に基づく岩面彩画・刻画を制作し続けてきたが、現在はユーカリの樹皮絵画を描く。主題は神話的存在やトーテム動物などを主とし、ときには葬儀や狩猟などの光景を描く。ほかにチューリンガ(祭儀棒)やブーメラン、槍(やり)、盾、頭蓋骨(ずがいこつ)に呪術的な文様を描く。メラネシア、ポリネシア、ミクロネシアの部族美術のおもな主題も、祖先崇拝に基づく神話的存在である。ニューギニア島は部族美術の宝庫で、とくにヘールヒンク湾岸、センタニ湖およびフンボルト湾岸、セピク川の流域、フォン湾岸などに優れたものが多い。これらオセアニアの仮面や祖霊像は、海洋的環境と強い太陽光線のゆえに、奔放な想像力と多彩な装飾にあふれており、触覚的なアフリカ彫刻とは対照的に、非常に視覚的である。

[木村重信]

アメリカの先史時代および部族社会の美術


西TlingitHaidaTsimshianKuwakiutlNootkaSalish西



19711 19731979

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原始美術」の意味・わかりやすい解説

原始美術
げんしびじゅつ
primitive art

 
19  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「原始美術」の意味・わかりやすい解説

原始美術 (げんしびじゅつ)

プリミティブ・アートprimitive artの訳語。プリミティブという語には二つの意味があり,一つには初期,古風,始原を,二つには開化に対する未開や素朴をさす。美術史上プリミティブという語は,先史時代の美術,現存部族社会の美術,児童画,ルネサンス直前の美術,近代の素朴派(素朴画家)などに冠して用いられる。狭義に用いられる場合は,先史時代の美術と,部族社会の美術をさす。
先史美術 →部族美術
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

タコノキ


12m7cm()...


コトバンク for iPhone

コトバンク for Android