周遊券(読み)シュウユウケン

デジタル大辞泉 「周遊券」の意味・読み・例文・類語

しゅうゆう‐けん〔シウイウ‐〕【周遊券】

 
JR301955101998  

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「周遊券」の意味・読み・例文・類語

しゅうゆう‐けんシウイウ‥【周遊券】

 

(一)   便
 

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「周遊券」の意味・わかりやすい解説

周遊券
しゅうゆうけん

鉄道・バス・船舶などの乗車船券で、主として利用客の便宜や誘致のために、運賃割引や乗車船の経路・回数を定めないこと(乗りほうだい)とするなどのルールを設定したもの。狭義には、日本国有鉄道(国鉄)およびJRが1955年(昭和30)から1998年(平成10)まで発売した「周遊券」をさす。

[高嶋修一 2020年6月23日]

第二次世界大戦前の周遊券




 19132()西192019316

 1915()()1915717

 1930

 ()1925()19254231926()19262101933193919402600()橿()6919412201942

 2020623

第二次世界大戦後の周遊券


1955117210120111()119541119649 

 1956195681958619596

 219591965

 197019717 19721972111974197411

 1984便19845

 2020623

「周遊きっぷ」の登場と廃止

1987年に国鉄が分割・民営化されJRが発足したのちも、しばらくの間は国鉄時代の周遊券制度が存続した。しかし1998年にJR各社はこれを廃止し、新たに「周遊きっぷ」を発売した。全国67の自由周遊区間に有効な「ゾーン券」を設定し、発着地とゾーンまでの往復には普通運賃を割引した「ゆき券」「かえり券」が用いられた。3種を同時に発券することと、「ゆき券」「かえり券」それぞれが片道201キロメートル以上であることが条件であった。ゾーンが北海道・九州・四国の場合は片道のみ航空便の利用を認めたが、その場合は購入済み航空券の提示のみで発券可能としたほか、JR以外の会社線は一部の第三セクターを除き認めないこととするなど、発券業務の簡素化が図られた。「周遊きっぷ」はそれまでの各種周遊券を統合したような性質のものであったが、それまでの周遊割引乗車券制度が廃止されたため、制度上は特別企画乗車券(1970年に制度化)に分類された(『朝日新聞』1998年2月11日朝刊)。

 しかし、JR各社においては顧客や発売時期、あるいは地域をより限定した各種の割引乗車券(特別企画乗車券)を独自に発売する傾向が強まり、それらの人気が上昇するのと入れ替わりに「周遊きっぷ」の売上は低迷した。2002年(平成14)には制度の見直しで多くの「ゾーン」が解消され(『朝日新聞』大阪版2002年9月26日朝刊)、2013年には「周遊きっぷ」そのものが廃止された。

 21世紀に入り、インターネットによる乗車券販売が普及すると、購入日時や残座席数に応じた値引きがなされるようになるなど鉄道運賃割引のあり方そのものが変化した。また、鉄道よりも安価な高速バスやLCC(格安航空会社)の航空便が普及する一方で、通常の運賃よりも割高なツアー商品の購入を通じてのみ乗車可能な豪華観光列車(クルーズトレインなど)も人気を博すなど、観光旅客誘致のあり方は多様化している。

[高嶋修一 2020年6月23日]

外国人向けパスおよび外国における割引乗車券

1981年、国鉄は訪日外国人観光客向けに「ジャパン・レール・パス」の発売を開始した(『国鉄線』1981年6月号所収:吉田修「ジャパン・レール・パス新発売」)。これはヨーロッパにおける「ユーレイルパス」、イギリスの「ブリットレイルパス」、アメリカの「USAレイルパス」などといった外国人観光客向けの乗りほうだいパスに触発されたもので、JR発足後も継続して発売されている。

 ヨーロッパ諸国などにおいては、日本の周遊券に類似したフリーパスや、乗車券とホテル宿泊券がセットになった旅行商品などが盛んに発売されている。日本と異なるのは家族向け割引券の存在である。さまざまな事例があるが、4人以上の家族であれば大幅な割引を享受できることが多い。

[高嶋修一 2020年6月23日]

『鉄道省運輸局編・刊『国有鉄道国際連絡運輸史』(1937)』『近藤喜代太郎・池田和政著『国鉄乗車券類大事典 115年の乗車券・運賃料金・旅客サービス』(2004・JTBパブリッシング)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「周遊券」の意味・わかりやすい解説

周遊券 (しゅうゆうけん)


JRJR201km211998︿

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周遊券」の意味・わかりやすい解説

周遊券
しゅうゆうけん

JRが発行していた割引乗車券の一つ。一定区間の往復に加え,決められた期間内の一定エリアであれば自由に乗り降りできる。周遊割引乗車券とも呼ばれる。日本国有鉄道が 1955年に発売開始,1998年3月に廃止した。一般周遊券と均一周遊券に大別され,ワイド周遊券,ミニ周遊券などの種類があった。一般周遊券は,JRを 201km以上乗ること,出発と同じ駅に戻ってくること,周遊指定地を最低 2ヵ所(特定指定地は 1ヵ所)回ることが条件で,JRの乗車券と船車券(JRの乗車券と航空券以外の総称)がともに定率割引された。均一周遊券は,往復乗車券に北海道,東北,九州といった一定エリア内の乗り放題券を組み合わせて割引したもの。廃止後の 1998年4月からは代わりに「周遊きっぷ」を発売。目的エリアを周遊できるゾーン券と,ゆき券,かえり券の 3枚セットになった割引切符で,JR以外の一部私鉄などで利用可能なほか,北海道,四国,九州の周遊ゾーンに行く場合は,往復どちらか片道は航空機が利用できる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

タコノキ


12m7cm()...


コトバンク for iPhone

コトバンク for Android