デジタル大辞泉
「姫飯」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ひめいい【姫飯】
︵甑(こしき)で蒸した強飯(こわいい)に対して︶古く、米に水を加えて釜でやわらかく炊いたもの。現在の普通の飯にあたる。◇﹁かたかゆ﹂﹁弱飯(よわいい)﹂ともいった。⇒こわいい
出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報
姫飯
ひめいい
米を釜で炊く現在の飯に相当する。姫には軟らかいという意味があり,甑(こしき)を用い,蒸して作る強飯(こわいい)に対する呼称。もともとは米を煮て作る粥の一種であり,現在の粥に相当する汁粥に対して,平安時代の記録に高く盛って箸を立てたとある固粥が,姫飯に相当する。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の姫飯の言及
【強飯】より
…︽万葉集︾巻五の山上憶良の︿貧窮問答歌﹀に︿甑には蜘蛛の巣懸︵か︶きて飯︵いい︶炊︵かし︶く事も忘れて﹀とあるように,もともと飯といえば蒸したものであった。今のように水を加えて煮た飯はやわらかいために姫飯︵ひめいい︶,堅粥︵かたがゆ︶などと呼ばれた。姫飯が日常食として普及するにともなって︿こわいい﹀,略して︿おこわ﹀,さらに︿こわめし﹀というようになり,多くもち米を用いて物日︵ものび︶に食するようになった。…
【姫始】より
…とくにこの男女の秘事︵ひめごと︶を始める日という俗説が一般に通用し,江戸時代の文芸などにもしばしばとりあげられている。しかし,姫始は糄
︵ひめ︶始め,すなわちハレの食品である[強飯]︵こわめし︶に対して,日常の柔らかい飯である姫飯︵ひめいい︶を食べ始める日と解するのが妥当と考えられている。︻田中 宣一︼。…
【飯】より
…粥はその固さによって固粥(かたがゆ)と汁粥(しるかゆ)に分けられた。現在の飯はこの固粥にあたり,強飯に比べると軟らかいので姫飯(ひめいい)とも呼んだ。従来は日本の飯が,蒸したものから煮たものに変わったのは室町末期から安土桃山時代にかけてのこととされていたが,弥生時代の土器のあり方からして,古代でも日常的には米を煮て食べていたと推論されている。…
※「姫飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」