デジタル大辞泉 「弁柄」の意味・読み・例文・類語 ベンガラ(〈オランダ〉Bengala) 1︽インドのベンガル地方で産出したところから︾赤色顔料の一。主成分は酸化鉄︵Ⅲ︶で、着色力が強い。塗料・油絵の具や、ガラス・金属の研磨剤などに用いる。また、その色。べにがら。 2 ﹁ベンガラ縞﹂の略。 [補説]﹁弁柄﹂﹁紅殻﹂とも書く。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「弁柄」の意味・読み・例文・類語 ベンガラ【弁柄・紅殻】 (一)〘 名詞 〙 ( [ポルトガル語] Bengala インドの﹁ベンガル﹂で産出したところから ) (二)① 黄味を帯びた赤色顔料。酸化第二鉄を主成分とする。安価で着色力・耐久性が強い。塗料・ゴム・油絵の具の顔料、ガラスや金属板の研磨材として用いられる。べにがら。鉄丹。代赭(たいしゃ)。 (一)[初出の実例]﹁べんがらにて下を染、渋にてとめ、漆をはく安ものなり﹂(出典‥随筆・我衣︵1825︶) (三)② ﹁ベンガラじま︵弁柄縞︶﹂の略。 (一)[初出の実例]﹁べんがらの大嶌のふろしきに﹂(出典‥浮世草子・西鶴置土産︵1693︶一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「弁柄」の意味・わかりやすい解説 弁柄/紅殻 (べんがら) 代赭︵たいしや︶,インド赤,ベネチアン赤,ターキー赤,血朱,鉄朱,鉄丹などとも呼ばれる。酸化鉄Fe2O3を主体とする赤色無機顔料で,硫酸鉄︵Ⅱ︶を加熱焙焼︵ばいしよう︶する乾式法か,硫酸鉄︵Ⅱ︶より湿式法で黄色酸化鉄をつくり焙焼する湿式法によって製造される。べんがらの種類としてα-FeOOH︵黄︶,γ-FeOOH︵だいだい︶,α-Fe2O3︵赤︶,γ-Fe2O3︵褐︶などがある。これら酸化鉄系の顔料の色調,性質は製法,製造条件などにより多様である。色材用としてはα-Fe2O3の赤色系が多く使用されるが,γ-Fe2O3は磁気記録材として録音・録画テープ,および一部色材に用いられる。色材としては耐光・耐薬品・耐熱性が高く,毒性もないため用途が広い。 執筆者‥新井 吉衞 ︿べんがら﹀の名はインドのベンガルに由来し,赤色顔料としては朱とともに,最も古くから用いられた。中国では周口店山頂洞に,ヨーロッパでは後期旧石器時代の墓から見いだされ,日本でも縄文早期の東釧路貝塚などが古い例として知られる。墳墓を彩色したほか,土器や埴輪に塗られ,壁画や寺院建築,また身体装飾にも用いられた。 執筆者‥津村 紘二 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報