手先（読み）テサキ

デジタル大辞泉 「手先」の意味・読み・例文・類語

て‐さき【手先】

 
1手の先の部分。指先。﹁手先が器用だ﹂
2 手下となって使われる者。﹁盗賊の手先﹂
3 江戸時代、捕吏の手下となって働いた者。目明かし。おかっぴき。
4 雁(かり)股(また)のやじりの先端。
5 兜(かぶと)の吹き返しの前のところ。
6 先頭の兵。先(せん)鋒(ぽう)。
﹁五百余騎…、―をまくりて中を破(わ)らんとするに﹂︿太平記・二六﹀
7
㋐扉の釣り元から最も遠い部分。
㋑2枚折りの唐戸で釣り元から遠いほうの戸。
㋒土蔵の扉の幾重かになっている段。
㋓斗(とき)栱(ょう)で、壁面よりも前に突き出ている斗組みの列。その数によって一手先・二手先・三(みて)手(さ)先(き)などという。
[類語]部下・手下・子分・配下・目下・ランニングドッグ  

 

た‐な‐さき︻▽手先︼

 
1手のさき。ゆびさき。
2 鷹狩りで、鷹を止めておく左手のゆびさき。徒(ただ)前(さき)。  

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精選版 日本国語大辞典 「手先」の意味・読み・例文・類語

て‐さき【手先】

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① 手のさき。指のさき。
(一)[初出の実例]﹁袖の長き物を着て、手さきをも見すべからず﹂(出典‥風姿花伝︵1400‐02頃︶二)
 (二)﹁割合に手先の器用ばかりで総身の筋肉が働かない﹂(出典‥吾輩は猫である︵1905‐06︶︿夏目漱石﹀七)
 (三)② 先頭の兵。先鋒。
(一)[初出の実例]﹁五百余騎、東西より相近(ちかづい)て、手崎(サキ)をまくりて中を破らんとするに﹂(出典‥太平記︵14Ｃ後︶二六)
 (四)③ 手下として追いつかわれるもの。
(一)[初出の実例]﹁名を松田肇と呼び︿略﹀常に川岸の手先となりて奔走する﹂(出典‥雪中梅︵1886︶︿末広鉄腸﹀下)
 (五)④ おかっぴき。めあかし。探偵。
(一)[初出の実例]﹁盗賊火附改組之者に而、近頃手先と唱、目明同様之ものを専ら召仕﹂(出典‥法曹後鑑‐享和元年︵1801︶五月︵古事類苑・法律四九︶)
 (六)⑤ 雁股(かりまた)、兜(かぶと)の吹返し、空穂(うつぼ)などの武具類の先端をいう。
(一)[初出の実例]﹁浄妙房が甲(かぶと)の手さきに手をおいて﹂(出典‥平家物語︵13Ｃ前︶四)
 (七)⑥ 建築の用語。
(一)(イ) 扉の釣り元から最も遠い方。
 (二)(ロ) 二枚畳みの唐戸で枠に遠い方の戸。
 (三)(ハ) 土蔵の扉の縁に付けられた幾重かになっている段。
 (四)(ニ) 斗組(ますぐみ)で、壁と直角に外方に突き出している斗と肘木。その出る度合により二手先(ふたてさき)、三手先(みてさき)などという。︹匠明︵1608‐10︶︺
 (八)⑦ 帯の先端部の折り出しの部分。
(一)[初出の実例]﹁帯の手先(テサキ)、はりさしのかたはしにも彼もんを付る也﹂(出典‥仮名草子・都風俗鑑︵1681︶三)
  

た‐な‐さき【手先】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 手のさき。ゆびさき。
    1. [初出の実例]「かい拡げたる手先(タナサキ)の 後髪にも触るるやと」(出典：二十五絃（1905）〈薄田泣菫〉天馳使の歌・なかだえ)
  3. ② ＝たださき（徒前）
    1. [初出の実例]「はし鷹をわがたなさきに引き据ゑてとだちのかたをみよりなりけり」(出典：六条院宣旨集（１２Ｃ前‐中）)

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