デジタル大辞泉 「拱く」の意味・読み・例文・類語 たんだ・く【×拱く】 ﹇動カ四﹈︽﹁たむだく﹂の音変化︾両手を組む。両手を合わせて拝礼する。転じて、ある方向に向かう。 ﹁人間の水は南、星は北に―・くの、天(あま)の海(うみ)面(づら)雲の波﹂︿謡・天鼓﹀ た‐むだ・く【×拱く】 [動カ四]《「手た抱むだく」の意》腕を組む。「―・きて我われはいまさむ」〈万・九七三〉 こまぬ・く【×拱く】 [動カ五(四)]1 腕組みをする。「手ヲ―・イテ立ツ」〈和英語林集成〉2 (「腕をこまぬく」などの形で)何もしないで傍観する。「手を―・いて待つ」 こまね・く【×拱く】 [動カ五(四)]「こまぬく」の音変化。「腕を―・いてみている」 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「拱く」の意味・読み・例文・類語 た‐むだ・く【拱】 (一)〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( ﹁手(た)抱(むだ)く﹂の意 ) 両手を組む。手をこまねいて何もしないでいる。たうだく。たんだく。 (一)[初出の実例]﹁平らけく 吾は遊ばむ 手抱(たむだき)て 吾はいまさむ﹂(出典‥万葉集︵8C後︶六・九七三) (二)﹁但だ静かに坐して住して手を拱(タムタイ)て罪を待つ﹂(出典‥大日経義釈延久承保点︵1074︶) 拱くの補助注記 ﹁万葉集﹂の例は﹁たうだく﹂と訓む説もある。 こまぬ・く︻拱︼ (一)〘 他動詞 カ行五︵四︶ 〙 (二)① 腕を組む。腕組みをする。 (一)[初出の実例]﹁この人も、いかにと思ひてむかひゐたるほどに、こまぬきて、すこしうつぶしたるやうにてゐられたり﹂(出典‥宇治拾遺物語︵1221頃︶五) (三)② なにもしないで見ている。手出しをせずに傍観する。→腕を拱く・手を拱く たんだ・く︻拱︼ (一)〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 動詞﹁たむだく︵拱︶﹂の変化した語 ) 両手を組む。両手を前に合わせて拝礼する。また、中心となるものに対して向かう。→たむだく。︹和玉篇︵15C後︶︺ (一)[初出の実例]﹁人間の水南に流れ、天上の星北にたんだく﹂(出典‥叢書本謡曲・千引︵室町末︶) こまね・く【拱】 〘 他動詞 カ行五(四) 〙 「こまぬく(拱)」の変化した語。[初出の実例]「現在では医者すら入手難に陥り、手をこまねいて病人の衰弱を傍観している有様だ」(出典:日本人の良心(1949)〈正木ひろし〉サントニン) た‐うだ・く【拱】 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 =たむだく(拱)[初出の実例]「拱 タウタク」(出典:色葉字類抄(1177‐81)) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例