人間（読み）ニンゲン

デジタル大辞泉 「人間」の意味・読み・例文・類語

にん‐げん【人間】

 
1ひと。人類。﹁人間の歴史﹂
2 ある特定の個人。ひと。﹁私という人間﹂﹁東北の人間﹂﹁社の人間﹂
3 人柄。また、人格。人物。﹁人間がいい﹂﹁人間ができている﹂
4 人の住む世界。人間界。世の中。じんかん。
﹁―五十年下天のうちをくらぶれば﹂︿幸若・敦盛﹀
[補説]書名別項。→人間
[類語]︵1︶人(ひと)・人類・人倫・万物の霊長・考える葦(あし)・米の虫・ホモサピエンス・人物・人士・仁(じん)・者(もの)・現生人類・原始人・新人・旧人・原人・ジャワ原人・北京原人・直立猿人・猿人・ピテカントロプス／︵3︶人(ひと)・人柄・為(ひと)人(となり)・人物・人格・器量・度量・器(うつわ)・人(にん)・人間性・品性・品格・徳性・徳・人品  
 

じん‐かん︻人間︼

 
人の住んでいる世界。世間。にんげん。
﹁老人に身をやつしまして暫く―に住んでおりました﹂︿中勘助・鳥の物語﹀
[類語]世間・世(よ)・世の中・天下・江(こう)湖(こ)・社会・実社会・世上・世俗・俗世・人(じん)世(せい)・俗間・民間・巷(こう)間(かん)・巷(ちまた)・市(しせ)井(い)・浮き世・娑(しゃ)婆(ば)・塵(じん)界(かい)・世界・人中・浮き世・一般  
 

ひと‐ま︻人間︼

 
1人のいない間。人の気づかぬすき。
﹁―にも月を見ては、いみじく泣き給ふ﹂︿竹取﹀
2 人との交わりが絶えること。
﹁少し契りのさはりある、―をまことと思ひけるか﹂︿謡・女郎花﹀  
 

にんげん︻人間︼﹇書名﹈

 
文芸雑誌。昭和21年︵1946︶久米正雄、川端康成らにより創刊、昭和26年︵1951︶廃刊。短期ながら戦後の日本文学発展に大きな役割を果たした。  

ひと‐あい〔‐あひ〕【人▽間】

人づきあい。交際。
「―、心様、優に情けありければ」〈平家・八〉

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精選版 日本国語大辞典 「人間」の意味・読み・例文・類語

にん‐げん【人間】

 

(一)[1] 〘 名詞 〙
(一)① 仏語。六道の一つ。人の住む界域。人間界。人界。人間道。→じんかん。
(一)[初出の実例]﹁人間はくさくけがらはし。まさによき香をたくべし﹂(出典‥観智院本三宝絵︵984︶下)
 (二)[その他の文献]︹法華経‐法師品︺
 (二)② 人界に住むもの。ひと。人類。
(一)[初出の実例]﹁天人は目不瞬かず、人間は目瞬く﹂(出典‥今昔物語集︵1120頃か︶五)
 (三)③ 人倫の道を堅持する生真面目な人。堅物。
(一)[初出の実例]﹁人間で一生仕廻ふ不器量さ﹂(出典‥雑俳・続折句袋︵1780︶)
 (四)④ 見どころのある人。人物。人柄。
 (二)[2]
(一)[ 一 ] 文芸雑誌。玄文社、のち人間社発行。里見弴、久米正雄、吉井勇、田中純らによって大正八年︵一九一九︶一一月創刊され、当時の社会主義的風潮に対し、人間の個性、趣味などを重視する編集傾向を示した。大正一一年六月廃刊。
 (二)[ 二 ] 文芸雑誌。鎌倉文庫、のち目黒書店発行。久米正雄、川端康成、高見順らが中心となり昭和二一年︵一九四六︶一月創刊。第二次世界大戦後の日本近代文学の復活と新進作家紹介に貢献した。昭和二六年八月廃刊。
  
 

ひと‐ま︻人間︼

 

(一)〘 名詞 〙
 (二)① 人のいない時。人気(ひとけ)のない間。人目のないすき。
(一)[初出の実例]﹁間(ヒトマ)を得て、逃出でて﹂(出典‥日本書紀︵720︶皇極二年一一月︵岩崎本訓︶)
 (三)② 転じて、間が絶えること。人との交わりがとだえること。
(一)[初出の実例]﹁彼の頼風に契りをこめしに、少し契りの障りある、人まを誠と思ひけるか﹂(出典‥光悦本謡曲・女郎花︵1505頃︶)
  
 

じん‐かん︻人間︼

 

(一)〘 名詞 〙 人の住む世界。現世。世間。
(一)[初出の実例]﹁禅師即誓、永絶二人間一、侍二於山陵一、転二読大乗一、奉レ資二冥路一﹂(出典‥続日本紀‐天平勝宝八年︵756︶五月丙子)
 (二)[その他の文献]︹韓非子‐解老︺
  

ひと‐あい‥あひ【人間・人愛アイ】

  1. 〘 名詞 〙 人づきあい。人に対する愛想。
    1. [初出の実例]「人あひ心ざまゆうに情ありければ」(出典：平家物語（１３Ｃ前）八)

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普及版 字通 「人間」の読み・字形・画数・意味

【人間】じんかん

 
世間。俗人の世界。唐・李白︹山中問答︺詩　桃水、然(えうぜん)として去る　別に天地の人に非ざるり
字通﹁人﹂の項目を見る。
  

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改訂新版　世界大百科事典 「人間」の意味・わかりやすい解説

人間 (にんげん)


1946年1月鎌倉文庫から発行された月刊文芸雑誌。大正期，里見弴，久米正雄らが発刊した同人雑誌︽人間︾の誌名を踏襲して創刊。戦時中，久米正雄，川端康成，高見順ら鎌倉在住の作家が蔵書を持ち寄り開業した貸本屋が鎌倉文庫の前身で，第2次大戦後，製紙会社と提携して出版社となり，社を東京に移して一時活発な出版活動を行った。とくに木村徳三を編集長とする︽人間︾は，多くの新人に舞台を提供して戦後文学の生誕に大きな役割を果たした。母体の経営破綻で，50年1月，発行元が目黒書店に移ったが51年8月号で廃刊。全68冊，別冊3冊。
執筆者‥

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人間」の意味・わかりやすい解説

人間
にんげん

 
文芸雑誌。 (1) 1919年11月～22年6月。4巻24冊。里見 弴，久米正雄，吉井勇らを中心に，﹃スバル﹄﹃白樺﹄などの作家が協力，同人誌として創刊されたが，人脈をたどって広く執筆者を求め，総合文芸誌としての性格が強かった。山本有三の﹃生命の冠﹄，長田秀雄の﹃大仏開眼﹄など戯曲に力作が多く，また随筆を数多く掲載し，このジャンルの確立に寄与した。 (2) 1946年1月～51年8月。6巻68冊，別冊3冊。川端康成，久米正雄，里見 弴，高見順ら，鎌倉在住の作家が創立した出版社鎌倉文庫から創刊された。島木健作の﹃赤蛙﹄，上林暁の﹃聖ヨハネ病院にて﹄，堀田善衛の﹃広場の孤独﹄など，戦後文学を飾る名作が多く掲載され，また，大河内一男，林健太郎，矢内原伊作らを起用したアカデミックな評論による思想問題の追究にも特色があった。  

人間
にんげん

「人類」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉プラス 「人間」の解説

人間

 
1962年公開の日本映画。監督・脚色‥新藤兼人、原作‥野上彌生子、撮影‥黒田清巳。出演‥殿山泰司、佐藤慶、乙羽信子、山本圭、観世栄夫、渡辺美佐子ほか。第17回毎日映画コンクール男優主演賞︵殿山泰司︶受賞。  

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とっさの日本語便利帳 「人間」の解説

人間

 
日本では人、人がら。中国ではこの世、世間、俗世。  

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