デジタル大辞泉 「暗記」の意味・読み・例文・類語 あん‐き【暗記/×諳記】 [名](スル)文字・数字などを、書いたものを見ないでもすらすらと言えるように、よく覚えること。「英単語を―する」「丸―」「―力」[類語]棒暗記・丸暗記・覚える・記憶・銘ずる・銘記・牢記ろうき・暗唱・暗譜・諳んずる・拳拳服膺・肝に銘ずる・胸に刻む・心に刻む・心に留める・気に留める 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「暗記」の意味・読み・例文・類語 あん‐き【暗記・諳記】 (一)〘 名詞 〙 文字・数字などを見ないでも言えるようにそらで覚えること。そらんずること。そらおぼえ。 (一)[初出の実例]﹁多く経伝諸史之辞を借用い、学者暗記の便りを計て、間韻語を用いて作り﹂(出典‥敬斎箴講義︵17C後︶) (二)﹁猶あるべけれど、暗記なれば忘れたり﹂(出典‥随筆・胆大小心録︵1808︶一五四) (三)[その他の文献]︹後漢書‐応奉伝︺ 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「暗記」の意味・わかりやすい解説 暗記あんき 機械的記憶mechanical memory、機械的学習、暗記学習rote learningと同義。記銘材料の構造や意味に従って論理的に記憶する論理的記憶logical memoryに対していわれ、材料をただ暗唱して記憶する仕方を意味する。暗記は10歳ごろまでの児童期に著しい記憶の仕方で、年齢が進むにしたがって論理的記憶に移行する。成人の記憶は、暗記を意図しても、すでにもっている知識の枠組みのなかで構成されることが多く、自然に論理的記憶となっている。 暗記の実験心理学的研究は、エビングハウスが、無意味綴(つづ)りを記銘材料として暗唱させ、一定時間の経過後、再生、再認、再学習などの手続で記憶の把持量を調べたのが嚆矢(こうし)である。彼は時間経過による把持量の変化を図示し、1時間後に材料の約半分が失われ、その後は負の加速度をもって緩やかに失われることを明らかにした。 記銘材料の分量が多いほど暗記は困難であるが、同じ分量でも、秩序があって、そのなかで際だって特徴のあるものは暗記しやすく、無秩序で、類似したものが重なっている場合には暗記しにくい。有意味の材料は無意味の材料より暗記しやすいが、有意味のものは熟知の程度に左右される。記銘材料が同じでも暗記の仕方によって影響を受ける。多数回、反復、暗記する場合には、一度に集中して行うか、分散してくぎって行うかで異なり、一般には後者が有利であるが、材料を全体としてまとめて暗記するか、部分に分けて暗記するかによって異なり、有意味材料では前者が有利である。材料を順序を変えずに一定の系列で暗記する場合には、系列の位置によっても異なり、系列の両端はやさしく、中心に近いほどむずかしい。 なお、想起の仕方や、記銘時から想起時までの経験内容の差によっても異なることなどが、現在までの研究で明らかにされている。 ﹇小川 隆﹈ [参照項目] | 覚える | 記憶 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
普及版 字通 「暗記」の読み・字形・画数・意味 【暗記】あんき そらでおぼえる。記。︹後漢書、応奉伝︺︵奉︶少(わか)くして、兒爲(た)りしより長ずるにぶまで、そ經履する、記せざる(な)し。 字通﹁暗﹂の項目を見る。 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
改訂新版 世界大百科事典 「暗記」の意味・わかりやすい解説 暗記 (あんき) 事物や現象のイメージの再生を予想して,その意味,理解と無関係に反復だけで機械的に記憶すること。再生が口述的におこなわれる場合,暗誦とよぶ。一般に,丸暗記,棒暗記のような機械的な記憶よりも,意味づけ,構造化による記憶が効果的で長期間保持される。発達的にみると,機械的な暗記能力は10歳前後が頂点とされ,それ以後は既有のものとの論理的,意味的な関連で記憶する。記憶能力は個人差があるが,その再生の類型は,事物表象型,言語表象型︵さらに視覚型,聴覚型,運動型︶に区分される。学習者の経験や能力を配慮しない教育内容は,暗記中心の学習になるばかりか学習意欲を失わせ,実際的な応用力の乏しい学力を形成する。第2次大戦前の日本の教育でおこなわれた歴代天皇名の暗誦はその一例。しかし,掛算の九九のように暗記による習熟によって演算の速さが向上するものもあり,教育において暗記を一面的に否定してはならない。 →記憶 執筆者‥碓井 岑夫 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報