精選版 日本国語大辞典 「煮染」の意味・読み・例文・類語 に‐しめ【煮染】 (一)〘 名詞 〙 ( 古くは﹁にじめ﹂とも ) 魚、肉、野菜などを味つけした汁で煮込み、多少汁気を残し、照(てり)をつけないで煮上げたもの。煮染物。 (一)[初出の実例]﹁菜者、繊蘿蔔、煑染牛房、昆布、搗布、荒布﹂(出典‥庭訓往来︵1394‐1428頃︶) に‐ぞめ【煮染】 〘 名詞 〙 草・花・樹皮などを煎じて、その熱汁で染めること。また、染めたもの。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「煮染」の意味・わかりやすい解説 煮染 (にしめ) 煮物の一種。サトイモ,ヤツガシラ,クワイ,たけのこ,ゴボウ,ニンジン,れんこん,シイタケ,ダイコン,こんにゃく,焼豆腐などを濃いめの味に煮あげるもの。日もちがよく,正月の重詰などにも用いられる。古く︽庭訓往来︾や︽下学集︾にその名が見える。煮しめに近い煮物に煮つけがあるが,この両者の相違は︽江戸料理集︾などによると,煮あげたあと汁気をきって器に盛るのが煮しめで,煮汁とともに盛るものを煮つけと呼んだようである。江戸後期には,煮しめは川を渡ると味が変わるといわれていたようで,︿重箱の煮染は橋で愚に返り﹀︿大坂は煮染の味の変るとこ﹀などの川柳がある。 執筆者‥松本 仲子 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報