生涯教育(読み)ショウガイキョウイク

デジタル大辞泉 「生涯教育」の意味・読み・例文・類語

しょうがい‐きょういく〔シヤウガイケウイク〕【生涯教育】

生涯にわたって学習や教育の機会が備えられるべきだとする考え方。また、学校・社会・家庭を包括するその教育。受益者の側からは、生涯学習

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精選版 日本国語大辞典 「生涯教育」の意味・読み・例文・類語

しょうがい‐きょういくシャウガイケウイク【生涯教育】

 

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生涯教育」の意味・わかりやすい解説

生涯教育
しょうがいきょういく

人々の生涯にわたる学習を支える教育構造(制度、行・財政、教育内容など総合的編成)全般の働きをいう。lifelong educationの訳語として日本でも1970年代以来盛んに用いられている。この英語の用例は第二次世界大戦前にもみられるが、多くの国で流行することになるのは、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が国際教育行政の視野で新しい角度からこの語の意味内容を定義づけるようになってからである。これに対して、生涯学習lifelong learningは、人々が生涯にわたり、主体的に続ける学習活動のことをさす。

[藤原英夫]

理念の成立


19651969Division of Continuing Education1969Paul Lengrand調Frank Jessupvertical integrationhorizontal integration調lifelong66lifelongintegratededucation

 the principle of integrated lifelong educationideaarticulation退沿調shift調調1972apprendre à êtreLearning To Be


学校教育との関係


調1971Henri Janne調使沿調

 20Council of Europe1970L'Éducation PermanentePermanent Education15recurrent education


各国への影響


19601958l'éducation permanentel'éducation permanente

 NGOnon-governmental organizations1970

 

 school boardslifelong educationlifelong learning


生涯教育論の展開


調

 19704516717273853131

 調19886390298200113

 1970()non-formal education1972Ettore Gelpi



1990197519831980調20001999Council of EuropePermanent Education1970, Council of Europe, Strasbourg

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改訂新版 世界大百科事典 「生涯教育」の意味・わかりやすい解説

生涯教育 (しょうがいきょういく)
life-long education
éducation permanente[フランス]

現代社会の教育とくに公教育のあり方を〈一生涯にわたる教育〉という見地から広く社会的にとらえなおし,総合的に再編成しようとする新しい教育変革の原理ないし構想の総称。1965年,パリで開かれたユネスコの成人教育推進国際委員会で,P.ラングランが提唱し採択されて以来,国際的に注目され展開されるようになった。このことからも知られるように,今日の生涯教育論は元来,歴史的には学校教育の開放あるいは延長として自覚されてきた社会教育(成人教育)の発展に負うところが多い。その意味では,第1次大戦後に一般化されはじめた学校教育終了後の継続教育としての社会教育の考え方,さらにさかのぼって,18世紀啓蒙思想における人権教育の思想とも,それは歴史的に無関係ではない。

 しかし,今日一般化されつつある生涯教育論は明らかに高度成長の時代の産物であり,現代の技術革新にもとづく社会構造の未曾有な変化に照応して提唱されたものである。その特質は,第1に,既成の学校教育や社会教育のあり方そのものを批判の対象としていること,第2に,そのさい〈教育〉というものを社会の根本機能とみるよりも,むしろ政治や経済や文化の諸活動に内包された再分肢的な機能としてとらえていること,したがって第3に,そうした見地から既成の職業訓練システムや学校教育システム,さらに成人教育システムを再編成し,新たな教育の社会的統合をはかろうとしている点にある。その具体化の様相は各国によって一様ではないが,とくに注目されるのは労働者の新しい権利としての有給教育制度の成立(ILO勧告,1974),さらに,それにもとづく成人の再教育機会の拡充(リカレント教育)や〈生涯学習法〉(アメリカ,1965)の制定などである。しかし,そこには同時に教育の新たな国家統制の危険もあり,多くの論議をよんでいる。1990年日本でも〈生涯学習振興整備法〉(略称)が制定されたが,なぜ教育基本法第7条の〈社会教育〉の語ではなく〈生涯学習〉なのか,さらにはなぜ〈教育〉ではなく〈学習〉なのかといった用語,意義をめぐる論争のみならず,それにともなう施策,とくに教育改革のあり方をめぐって多くの論議をよんでいる。
社会教育
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百科事典マイペディア 「生涯教育」の意味・わかりやすい解説

生涯教育【しょうがいきょういく】

 
1965P.Langrand19711990︿
 

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生涯教育」の意味・わかりやすい解説

生涯教育
しょうがいきょういく
lifelong education

人間は生涯にわたって学び続けなければならないという思想は古くからあるが,1960年代に生涯教育あるいは生涯学習として概念化され社会政策として取上げられるようになったのは,社会の変化の加速化と科学技術の革新,さらには平均余命の延長と余暇の増大からである。 1965年ユネスコ成人教育課長 P.ラングランが,「成人教育推進国際委員会」に提示した éducation permanente (永久教育) と題された調査報告書を契機として,にわかに論議を呼んだが,英語の生涯学習 lifelong learningや生涯教育 lifelong educationのほうが一般的となった。これは新しい画期的な概念で,その基本は,教育を,人間が生涯を通じてやむことなく追求すべき営為であるととらえるものである。従来教育の基本は学校教育であり,その学校教育を補完するものとして,社会教育-成人教育が考えられてきた。この基底には,教育は人間の社会参加への基礎を形成し,その準備を進めるものであり,したがって社会人-成人に到達するとともにその役目は終るべきものとする考えが存在している。生涯教育の概念は,この考えを根底からくつがえすもので,社会参加への準備としての基礎教育と,社会生活を営みながら行う社会-成人教育とを一貫して,総合的にとらえようとするものである。さらに,72年に教育開発国際委員会が発表したフォール報告によって,各国における生涯教育は普及していった。なお,ユネスコでは生涯教育と生涯学習を同一の価値を志向するもので,生涯教育は生涯学習を保障するものと位置づけている。

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知恵蔵 「生涯教育」の解説

生涯教育

生涯学習」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の生涯教育の言及

【教育計画】より

…一定の教育目標を設定しその実現のための段取りを設計するこころみは,一学校規模から一国の教育政策レベル,あるいは生涯教育や文盲解消とか婦人の差別撤廃と権利擁護などの個別課題をめぐる国際的なレベルにおけるものまで多様である。また教育計画には,教育活動の計画化に限定したものにかぎらず,いわゆる村づくり運動から一国の経済社会計画にいたる,産業振興とかかわる社会計画における教育計画,環境や平和の擁護にかかわる,人類の生命と安全を守る思想運動的社会計画の中における教育計画もある。…

【社会教育】より


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