肥料(読み)ヒリョウ

デジタル大辞泉 「肥料」の意味・読み・例文・類語

ひ‐りょう〔‐レウ〕【肥料】

 
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精選版 日本国語大辞典 「肥料」の意味・読み・例文・類語

ひ‐りょう‥レウ【肥料】

  1. 〘 名詞 〙 栽培植物の生長に必要な栄養分として土壌に施す物質。特に窒素、燐酸、カリウムは植物体に多量に吸収され、収穫とともに運び去られて土壌中に欠乏しやすいので、この三要素とカルシウムや有機物の補給を主目的とする。また、カルシウムや有機物のように土壌の性質を改善して植物の生育に間接的な効果を与える役目のあるものもある。こやし。
    1. [初出の実例]「肥料に充て頗る価あり」(出典:動物小学(1881)〈松本駒次郎訳〉上)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「肥料」の意味・わかりやすい解説

肥料
ひりょう


使25127()使199793VA20122412201131400


歴史




 使使()()()使()尿()使()使使()()使

 西()manure, dung1618使1840使

 19


肥料の消費

日本の単位面積当りの肥料の投下量は、すでに世界的にみてもかなり高い水準にあり、またその大部分が化学肥料で占められている。今後の日本の肥料消費量の増加はあまり期待できそうにない。むしろ1980年代以降は、化学肥料の連用による地力の低下や、硝酸態窒素による地下水汚染、肥料から流出する窒素やリンによる河川・湖沼などの富栄養化による環境悪化が問題となっており、また、資源の面でも長期的にみてリンの枯渇が心配されていることなどから、これまでの多肥多収の傾向が今後は逆に是正される趨勢(すうせい)にある。

[小山雄生]

肥料の三要素


16


肥料の種類とそのおもな性質

窒素質肥料

尿

(1) (NH4)2SO4NH4Cl(NH4)2HPO4使N821528

(2) NH4NO3NaNO3Ca(NO3)2

(3)尿 尿(NH2)2CO4512尿

(4) CaCN2尿使

(5) 尿IB尿

(6) 尿


リン酸質肥料

(1)(2)(3)2

(1) Ca(H2PO4)2H2O+2CaSO42H2O使()湿湿

(2) ()

(3) 使使


カリ質肥料

カリ(カリウム)を主成分とする肥料をいい、硫酸カリK2SO4、塩化カリKClなどがその代表的なものである。ともに水溶性で作物によく吸収利用される。おもに元肥として用いられるが、追肥としても用いられる。草木灰は家庭用のカリ肥料として重宝である。これらのカリ肥料はいずれも速効性であるが、現在ではケイ酸カリ肥料など難溶性の緩効性カリ肥料も開発され市販されている。

[小山雄生]

石灰質肥料

生石灰(酸化カルシウム)CaO、炭酸カルシウムCaCO3、消石灰(水酸化カルシウム)Ca(OH)2、苦土石灰などがある。主として土壌の酸性を矯正するために施されるもので施用量も普通の肥料に比べかなり多い。施用にあたってはなるべく土と均一によく混ざるようにするとよい。

[小山雄生]

苦土質肥料




ケイ酸質肥料

()()


微量要素肥料

232


複合肥料

2使FTE510


有機質肥料

()()()42()()()尿

 使調調()122011231200


特色のある肥料

特色のある肥料としては、物理的なコーティングにより溶出を抑制した肥効調節型の被覆肥料がある。コーティング材料としてはポリオレフィン系樹脂、アルキド樹脂などが用いられる。肥料成分の作物による吸収利用が高くなるので、環境への損失が少なく環境保全的な効果がある。また、施用時の省力を図る目的で、農薬を混合した農薬入り肥料が開発されている。さらに水稲側条施肥の発展に対応して、ペースト肥料や機械施肥に適応性の高い化成肥料の改良も進んでいる。

[小山雄生]

肥料の施し方(用量)






便1962197619771987便 198819911993便51997西199820002001520012002

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改訂新版 世界大百科事典 「肥料」の意味・わかりやすい解説

肥料 (ひりょう)
fertilizer


︿1

尿尿使200100191802A.von30使

 16191804Nicolas Théodore de Saussure1767-1845A.D.︿J.F.von︿4060Julius von Sachs1832-97201954

 J.B.1843H.HellriegelH.Wilfarth86191906=13=185661︿80


8使尿使尿尿1




 331520%

 

 1

1 a NH4NO3NO3H2CN2尿尿尿b c K

2 殿NH4KSiAlOSiOAlOSi4Al3K

3 

23湿︿

 3050%1020%4060%

 231234湿尿湿


1950234161718192223使242526簿2729303133343641


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百科事典マイペディア 「肥料」の意味・わかりやすい解説

肥料【ひりょう】

 
15OHCNSPKCaMgFeBMnCuZnMo()使使()
 

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「肥料」の意味・わかりやすい解説

肥料
ひりょう
fertilizer and manure

 
931 ()  ()  ()   

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化学辞典 第2版 「肥料」の解説

肥料
ヒリョウ
fertilizer, manure


OHCNSPKCaMgFeBMoCuZnMn153NP2O5K2OCa[]

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旺文社日本史事典 三訂版 「肥料」の解説

肥料
ひりょう

作物の生長を促すもの
こやしともいう。古代から刈草を田に踏みこむ刈敷 (かりしき) が主肥。それに平安末期より木草灰・厩肥 (きゆうひ) ・堆肥が加わり,人糞は補助的に使用された。江戸時代,都市・商品作物の発展は多量の施肥と肥料購入を可能にし,油粕や干鰯 (ほしか) などの金肥(購入肥料)が使用された。明治中期以後大豆粕,末期からは化学肥料が用いられるようになった。

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普及版 字通 「肥料」の読み・字形・画数・意味

【肥料】ひりよう

こやし。

字通「肥」の項目を見る

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栄養・生化学辞典 「肥料」の解説

肥料

 植物に栄養素を供給する物質.

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世界大百科事典(旧版)内の肥料の言及

【園芸】より

… 明治時代に入ってからは新宿御苑や小石川植物園などに温室もつくられ,ヨーロッパの花卉や熱帯植物の数々が導入され,育成されるようになった。大正・昭和時代にかけて導入された植物の種類や品種はおびただしい数量になったばかりでなく,化学工業に伴って肥料,薬剤などが発展し,経営も合理化されて大型化し,技術も向上した。また近年では,植物名もとくに和名をつくらず,属名,学名をそのままかたかな読みすることが多くなった。…

【近世社会】より

…農業に必要な資材や,生活に要する道具類はみずから生産しなければならない。農具の木製部分や肥料,生活に必要な家屋・燃料・衣類も,典型的にはみずから生産する。鍬や鎌の供給については,広く各地の初期の状態についての研究はないが,たとえば上田藩や米沢藩では領内の鍛冶屋の製品や,ときには他藩の製品も一度藩の手に集められて,百姓に供給されている。…

【ナタネ(菜種)】より


使 

 1()17綿

【農業】より


()2195060()(3)

【村中入会】より


 ︿()

※「肥料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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