トウモロコシ(読み)とうもろこし(英語表記)maize 英語

改訂新版 世界大百科事典 「トウモロコシ」の意味・わかりやすい解説

トウモロコシ (玉蜀黍)
maize
corn
Zea mays L.




1m8cm14m25cm1212m231322123退610282012退50cm

 320mm10mm1112%

8var.indentata Sturt.dent corn4mvar.indurata Sturt.flint corn1mvar.everta Sturt.popcornvar.saccharata Sturt.sweet cornvar.amylacea Sturt.soft cornvar.ceratina Kulesh.waxy cornvar.amylea-saccharata Sturt.starchy-sweet cornvar.tunicata Sturt.pod corn退

 1︿

10a600kg11kg11kg9kg10a1.36kg6090cm3045cm11210a3700550010cm

使使使使


1570002.5cm506030001000

 10

 15使andenes

 16tacos

 


maízmaizemaïs1618西18A.1615797

 corn17綿西


13600ha5t31

 170%2314

 196515519951660t190%75%


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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トウモロコシ」の意味・わかりやすい解説

トウモロコシ
とうもろこし / 玉蜀黍
maize 英語
corn アメリカ英語
[学] Zea mays L.

イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。トウキビ(唐黍)ともいう。子実を食用や工業原料に、また地上部全体を飼料に利用するために栽培する。茎は直立し、高さ1~4メートル。節数は14~16のものが多く、ほとんど分枝しない。葉は互生し、葉身は大きいものでは幅5~10センチメートル、長さ1メートルを超す。雌雄異花。夏に花を開く。雄花序は茎の先端に抽出して雄穂とよび、雌花序は茎の中くらいの1~3節の葉腋(ようえき)に一つずつ生じ雌穂とよぶ。雄穂は長い穂軸から十数本の枝柄が分かれ、各枝柄に多数の雄性の小穂が対(つい)になってつく。各小穂は2小花からなり、小花には3本の雄しべがある。雌穂は何枚もの包葉に包まれた円柱形で、穂軸(芯(しん))の表面には雌小穂が縦に10~20列並ぶ。小穂は2小花よりなるが、下位の小花は不稔(ふねん)で、上位の小花のみが結実する。上位小花の雌しべの花柱、柱頭は長く糸状に伸び、絹糸(けんし)とよばれる。これが各小花より伸び出して、開花時には雌穂全体の絹糸が束となって包葉の先から現れる。同じ個体では雄花は雌花よりも2日ほど早く開く。風媒花で、他家受精する。開花後、雌穂は長さが14日目ころまで、太さは20日目ころまで発達する。開花後約50日で完熟する。

[星川清親]

分類




(1)()dent corn ()

(2)()flint corn ()()

(3)()sweet corn ()

(4)()pop corn 

 soft corn()waxy corn11()()pod corn

 F1()


栽培

トウモロコシは高温多照の気候に適し、生育最盛期と出穂期には適当な降雨を必要とし、成熟期には乾燥気候が望ましい。土質は腐植に富む排水良好な地が最適であるが、かなりの不良地にも耐え、酸性土壌に対しても比較的強い。草丈の高い作物であるから、風によって倒伏しやすいので、根を深く張らせるように深耕する。平均気温15℃、5月中旬の播種(はしゅ)が標準であるが、播種適期の幅が広く、南西暖地では4~6月に及ぶ。うね間60~90センチメートル、株間30~50センチメートルに播種する。最近はドリル播(ま)き(条(すじ)播き)が普及し、条間40~50センチメートルとしている。青果用には子実が糊(のり)状に熟したころに、飼料、デンプン用原料とする穀実用には子実が硬く熟し、外見からは包葉が黄変する9~10月に収穫する。大規模な栽培では、収穫はコーンコンバインで行う。病気には煤紋(すすもん)病、ごま葉枯病、黒穂病などがあり、害虫にはアワノメイガやアワヨトウなどがおり、適期の薬剤防除が必要である。

[星川清親]

生産状況

2016年の全世界での収穫面積は1億8796万ヘクタール余りで、約10億6011万トンの収穫があり、コムギ、イネに次ぐ三大穀物の一つである。最大の生産国はアメリカで、収穫量3億8478万トン、全世界の収穫量の約36%を占めている。ついで中国が2億3184万トン、ブラジルが6414万トン、以下アルゼンチン、メキシコ、ウクライナの順となっている。日本では穀実用としての作付面積は、第二次世界大戦後しばらくの間、3万5000から5万ヘクタールの間で推移したが、昭和30年代末から減少の傾向が著しく、1983年には約750ヘクタールの作付面積にまで減少した。一方、青果用の未成熟トウモロコシ(スイートコーン)の作付面積は漸増し、2016年(平成28)現在の作付面積は約2万4000ヘクタール、収穫量は19万6200トンであり、府県別では北海道、千葉、茨城、群馬、山梨の順である。また、青刈り飼料用は戦後の畜産発展に伴って栽培が増え、作付面積は約9万3400ヘクタール、収穫量は約425万5000トンとなっている。

[星川清親]

起源と伝播


1000TripsacumZ. mexicana Schrad.Z. diploperennis Schrad.

 500030002000

 ()2300沿()140019

 3016171615797


利用

トウモロコシの成熟した穀粒100グラム中の成分は、水分14.5グラム、タンパク質8.6グラム、脂質5.0グラム、炭水化物は糖質が68.6グラムと繊維が2.0グラム、灰分1.3グラムである。これをひき割りや圧扁(あっぺん)(コーンフレーク)して食用とする。また粉にしてパンに焼く。現在、食用には主としてトウモロコシデンプン(コーンスターチcornstarch)にしてから、菓子や練り製品などの加工食品に用いられている。コーンスターチはビールなどの醸造原料にも使われ、また製紙や織物工業では糊(のり)として多量に使用されている。胚(はい)からはとうもろこし油(コーンオイルcorn oil)がとれ、サラダ油などの食用油として良質であり、このほか、マーガリン、せっけんなどの原料にもする。またアメリカのバーボンウイスキーは、開拓時代、ケンタッキー州バーボン郡の農民たちにより、トウモロコシを主材料にしてつくられたもので、現在アメリカンウイスキーの代表格である。

 スイートコーンはおもに未熟果をゆでたり焼いたりして食用とする。甘味は収穫後急に減少するので、すぐに缶詰や冷凍に加工して、家庭の料理材料などにも需要を広めている。未熟な粒100グラム中の成分は、水分74.7グラム、タンパク質3.3グラム、脂質1.4グラム、炭水化物は糖質が18.7グラムと繊維が1.2グラム、灰分0.7グラムである。ポップコーンはおもに菓子用とされるが、とくにアメリカで需要が多い。

 トウモロコシは穀粒も茎葉も家畜の飼料として重要である。粒は破砕して配合飼料の主原料とされ、先進諸国の畜産を支えている。茎葉は青刈り飼料となり、また、サイレージにする。とくに粒が黄熟期になったときに穂ごと茎葉を刈り取ってつくるホールクロップサイレージは飼料栄養価が高く、もっとも重要な自給飼料である。

 茎葉の枯れたものは燃料とされ、またアメリカでは穀粒をとったあとの雌穂の芯(しん)からパイプをつくる。

[星川清親]

 トウモロコシの粒の色(果皮の色)は、黄色以外に白・橙(だいだい)・赤褐・赤紫・黒紫色とさまざまである。黒いトウモロコシからつくったチチャという飲料は、赤い色を呈して美しい。また、ペルーではイチゴジャムに似た色のジャムがつくられる。黒いトウモロコシの色素(コーン色素)はアントシアニン系のシアニジン3グルコシドが主成分で、酸性で赤色、中性で赤~暗赤色、アルカリ性で赤紫~暗藍(あんらん)色を示し、清涼飲料、シロップ、冷菓、漬物などの色づけに使用されるが、酸化すると退色しやすいのが欠点。黄色い色素はカロチノイド系の色素でカロチン類とルチンなどを含む。

[湯浅浩史]

料理

未熟果のトウモロコシは生鮮品、冷凍品(全形、カットコーン、粒状など)、缶詰(水煮缶、クリームスタイル)が利用される。生鮮品はおもにそのままゆでたり焼いて食用にする。ゆでて実をこそげたものは、かき揚げにしたり、バターで炒(いた)めて肉料理の付け合せや、サラダ、煮込み物などに加える。また、牛乳を加えてコーンスープにしたり、ベーコン、タマネギなどと炒めて牛乳やスープで煮込んだコーンチャウダーに用いる。粉末にしたものは日本でも古くからまんじゅう、すいとん、お焼きなどにして食べられてきたが、メキシコやペルーでも主要な食料として古くから用いられている。また、北イタリアの伝統的な料理のポレンタpolentaはトウモロコシ粉をマッシュポテトのように練ったものである。粉を用いた加工食品にはコーンブレッド、コーンケーキなどがある。

[河野友美・山口米子]

人間との関係

主作物としての地位を長く保った新大陸においては、トウモロコシの増殖は人々にとって最大の関心事であった。マヤ文明では、トウモロコシの神は青年の姿で表現され、また作物の豊穣(ほうじょう)には雨が不可欠なことから、雨の神が農耕儀礼の対象となった。アステカ人は、ケツァルコアトル神がトウモロコシその他の作物、およびその栽培法を人間に教えたと信じた。ペルーでは、インカの初代の王が文化英雄として農耕を教えたという話があるが、古くはトウモロコシの穂に包まれた神や、トウモロコシとマニオク(キャッサバ)を両手に持つ神が土器などに表現されており、それらは文化英雄あるいは豊穣の神を表すものと考えられている。今日、アンデス高地のケチュア人には次のような民話が伝えられている。昔、コンドルに案内されて天に昇ったキツネが、まだ地上にないトウモロコシなどの食物を食べて満腹になり、綱を伝って地上へ降りる途中、インコの群れをののしったために綱を切られて地上に墜落した。そのとき破裂したキツネの体から作物が飛び散り、以後それらが地上で生えるようになったという。アマゾン流域の森林地帯にも、栽培植物の起源を語る神話が多いが、アピナエ人には、1人の男が星の女を妻にしたが、女が川のそばにトウモロコシの大木があることを教えたので、男とその仲間はこれを切り倒そうと2人の子供に斧(おの)をとってくるよう命じる。ところが子供たちは途中で禁を犯し、オポッサムを殺してその肉を食べたので、たちまち老人になった。しかし人間はトウモロコシを手に入れ、畑をつくることを知ったという。これらの話は、人間は作物と交換に死や老衰を運命づけられたというテーマを基本にしており、ペルーで木を切り倒す祭りが豊穣儀礼となることとも関連しているようである。

 メキシコやペルーでは、トウモロコシはポソル(粥(かゆ))、タマル(蒸しパン)、トルティーヤ(薄焼きパン)、モテ(ゆでたもの)、カンチャ(炒(い)ったもの)などに調理されるが、ペルーはじめアンデス地域では、トウモロコシはチチャという一種のビールをつくるのに欠かせない。チチャは、発芽した実をすりつぶしてその煮汁を発酵させたもので、祭りや儀礼の際に不可欠の飲料である。海抜3500メートル以上の高地ではトウモロコシは育たないが、そこに住む人々は、このチチャのために険しい山を下りて畑をつくったり、物々交換や労働交換の形で谷間の住民から手に入れる。

[大貫良夫]

『菊池一徳著『トウモロコシの生産と利用』(1987・光琳)』『菊池一徳著『コーン製品の知識』(1993・幸書房)』『ゼネックス編著、茅野信行監修『コーンブック――トウモロコシ相場の分析方法』(1998・ゼネックス、星雲社発売)』『戸沢英男著『トウモロコシ――歴史・文化、特性・栽培、加工・利用』(2005・農山漁村文化協会)』


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食の医学館 「トウモロコシ」の解説

トウモロコシ

 


 1使
 1570
 1
︿尿

 B1B2
 ()B1B2
 便()
 

 ()()尿()尿使
 ()()尿()

調


 1
 ()
 
 ()
 ()()
 B1
   

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百科事典マイペディア 「トウモロコシ」の意味・わかりやすい解説

トウモロコシ

トウキビとも。南米アンデス山麓原産のイネ科の一年草。高さ2〜3mで茎は太く円筒形。7〜8月茎の先端に雄花穂,中ほどに多くの場合1個の雌花穂をつける。雌花は絹糸状の長い花柱を出し,受精後,萎縮(いしゅく)褐変する。成熟した種実の色は白,黄〜赤,赤褐,濃褐,暗紫など種々あり,中央がくぼんだ歯形や球形のものが多い。品種は馬歯(デントコーン),硬粒(フリントコーン),軟粒,甘味(スイートコーン),爆裂(ポップコーン),もちなどに大別。一般に温暖適雨の地を好む。種実はデンプンを多量に含み,甘味種は未熟種子を生食とするほか,乾燥種子は製粉してコーンフレークス,コーンミール,パンや菓子の原料とする。しかしトウモロコシは食用作物というよりむしろ飼料作物としてきわめて重要であり,濃厚飼料として利用されるほか,青刈飼料として全世界的に栽培される。世界の畜産を支える作物ともいえる。胚からはトウモロコシ油(コーンオイル)がとれ食用,油脂工業用とする。米国,中国,ブラジル,メキシコなどが主産地。
→関連項目飼料作物リンカン(アメリカ)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トウモロコシ」の意味・わかりやすい解説

トウモロコシ(玉蜀黍)
トウモロコシ
Zea mays; corn; Indian corn; maize

イネ科の大型の一年草。アメリカ大陸の熱帯の原産といわれるが,正確にはわかっていない。現在では全世界の熱帯から温帯にかけて広く栽培されている重要な穀物および飼料の一つである。茎は単一で直立し,中実,円柱形で節があり,高さ2~3mに達する。多数の太いひげ根を生じ,大型の披針形の葉が互生する。葉の表面に毛があり,葉身下部は鞘となり茎を包む。夏に大型の円錐花序をなして多数の花をつける。雌雄異花でいずれも無花被。雌花穂は茎の上部の葉腋に生じ,花柱はひげ状で長く花穂の先から垂れ下がる。雄花穂は茎の頂部に生じる。果実は穎果で大きさ,形,色など変化が多く,多数の優良品種がつくられている。デント,フリント,フローア,スウィート,ポップの5種が北半球での代表的な品種である。日本には明治の中期以後アメリカから輸入された品種が多く,北海道や長野県などの高冷地と阿蘇山周辺などで盛んに栽培されている。地方によりトウキビ,ナンバン,コウライキビなどの呼び名がある。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「トウモロコシ」の解説

トウモロコシ

イネ科の一年草。メソアメリカで前3千年紀までに栽培種として成立し,主要食料となった。アンデス地方には前2千年紀までに伝播し,南に向かって広がったが,食料としてよりも祭祀用のチチャ酒の原料として重要だった。コロンブスがこれをヨーロッパに伝え,主として家畜の飼料として用いられた。16~17世紀にはアフリカの重要な食料源となった。ポルトガル人がアジアに伝え,日本にも16世紀後半に到着した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

栄養・生化学辞典 「トウモロコシ」の解説

トウモロコシ

 [Zea mays].トウキビともいう.カヤツリグサ目イネ科トウモロコシ属の一年草.種実を食料,飼料にし,葉や茎を飼料にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のトウモロコシの言及

【アメリカ】より


1000m()2300m()3300m()4300m()

【米】より


 

 2(193438)15000t9555000t(1995)90()

【栽培植物】より

… いろいろな栽培植物のうちでも,もっとも初期に栽培化されたものは穀類やいも類であろう。ムギ,イネ,トウモロコシなどのイネ科穀類の栽培は,一定の時期に土地を耕し,種子をまき,一定の時期に収穫するという1年を通しての農業活動が要請されるので,人間の生活様式は急速に定着化していくことになった。しかし,栄養繁殖を主とするいも類などを主要作物とした農耕が起源した地域では,穀類栽培にみられるような播種(はしゆ)期や収穫期が厳密に規制されておらず,またいも類は穀類にくらべ長期間貯蔵することはむずかしいものが多いので,人間の定着化はきわめてゆるやかに起こったものであろう。…

【農耕文化】より


 

※「トウモロコシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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