日本歴史地名大系 「腰岳」の解説
腰岳
こしだけ
- 佐賀県:伊万里市
- 腰岳
伊万里市街南部にそびえる標高四八八メートルの円錐状の山。中腹三〇〇メートルの高さに緩傾斜地があり、五〇ヘクタールの草原で俗に千畳敷とよばれる。これから頂上にかけての急傾斜面は流紋岩に覆われ、その下底の急冷部が黒曜石で主として北西部に散乱し、現地では烏からすん枕まくらという。
江戸後期彩色手書きの伊万里郷絵図には﹁子思岳﹂と記入されている。もともと石器製作の原石産地であった。山麓には高たか岸ぎし石棺群集地・杢もく路ろ寺じ古墳・平ひら沢ぞう良ら遺跡が分布。千畳敷の近くに日蓮宗の題目を刻んだ法塔碑があり、山頂付近には弁財天が祀られ、江戸時代から水の神さまとして農民信仰の山となっている。地質からみて成層火山ではないが、緩やかな裾野をもつ姿から、松浦富士とも伊万里富士ともいわれる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報