行動主義(読み)コウドウシュギ(英語表記)behaviorism

翻訳|behaviorism

デジタル大辞泉 「行動主義」の意味・読み・例文・類語

こうどう‐しゅぎ〔カウドウ‐〕【行動主義】

 
11913
2 9193410  

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精選版 日本国語大辞典 「行動主義」の意味・読み・例文・類語

こうどう‐しゅぎカウドウ‥【行動主義】

 

(一)  
(二) =
(一)[]︿(1935︿)
(三) 
(一)[]︿(1935︿)
(四) 1937
(五) 
(一)[]駿(1938︿)
 

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最新 心理学事典 「行動主義」の解説

こうどうしゅぎ
行動主義
behaviorism

 
1913Watson,J.B.

 James,W.Loeb,J.Jennings,H.S.Thorndike,E.L.Yerkes,R.M.

 1913Pavlov,I.P.conditioned reflex

 logical positivismoperationismunified science退Ryle,G.Wittgenstein,L.J.philosophical behaviorism

 Stevens,S.S.methodological behaviorismHull,C.L.axiomatic behaviorismneed reductiondriveTolman,E.C.cognitive behaviorism-means-end relationlatent learning

 Skinner,B.F.behavior analysisradical behaviorismbehavioral modificationbehavioral pharmacologyschedule of reinforcementSkinner boxsuccessive approximationshapingwithin subject design

 ontogenetic contingencyphylogenetic contingency  
   

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「行動主義」の意味・わかりやすい解説

行動主義
こうどうしゅぎ
behavio(u)rism

心理学の対象を意識としないで、人および動物の客観的な行動とする立場。ブント以来の意識心理学に対し、「内観」を退け、もっぱら刺激と反応との関係、それから構成された体系を扱う。1913年、アメリカの心理学者ワトソンは『行動主義者からみた心理学』という論文により、この立場を主張し、以来、アメリカ心理学の主要な潮流となっている。

[小川 隆]

初期行動主義

狭義の行動主義はワトソンに代表される初期行動主義で、19世紀に発達した動物心理学の成果、パブロフの条件反射学、ジェームズの機能主義などに育成されたものである。その主張の要点は、(1)意識内容の構成要素を明らかにしようとした構成心理学に対し、生体の機能を行動を通じて明らかにしようとする。(2)特殊な器官の機能を研究する生理学と異なって、生体の全体の機能を問題にする。(3)内観法によらないで、観察者の影響をできるだけ除いた自然科学的方法による。(4)行動を複合的なものとみ、刺激―反応の最小単位である反射、条件反射から明らかにしようとする。(5)行動は環境内の刺激に対する条件づけの結果であるとし、生得的面より習得的面を重視する。

 こうして、感覚は刺激に対する差別反応、感情は内臓器官の活動、思考は発声を伴わない言語反応などとみなされ、すべての意識は刺激―反応の関係に置き換えられる。

[小川 隆]

新行動主義

初期行動主義は、生体の全体の機能を扱うとしながら、あまりにも刺激―反応の関係が直接的である点、刺激―反応の関係を受動的にだけ扱っている点、反射・条件反射の単位を要素として、行動の全体をそれらの複合として扱う点などが反省され、1930年ごろから、新行動主義といわれる動向が現れることになった。広義の行動主義はこの動向を総称する。

 行動主義は、人と動物とに共通な行動の性質を考究する道を開き、主観主義、擬人主義の偏見を正したし、習得行動の重視によって教育の可能性についての示唆を与えたといえるが、生得的行動、本能や発達についての知見では、西欧に淵源(えんげん)する精神分析学や比較行動学(エソロジーethology)の立場と対照的である。

[小川 隆]

『B. F. SkinnerAbout behaviorism (1974, Alfred A'knopf, New York)』

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改訂新版 世界大百科事典 「行動主義」の意味・わかりやすい解説

行動主義 (こうどうしゅぎ)
behaviorism

J.B.ワトソンが1912年に提唱した心理学理論のもとに形成された学派。古代ギリシア以来心理学の伝統は,人間の心とその働きについて思索し,主観的な意識現象を内観法によってとらえ記述するものであった。ワトソンはこれに反対して,科学としての心理学は意識とか内観を排除して,対象を客観的な行動に限定すべきであり,それを観察可能な刺激-反応の側面からだけ扱い,そこに行動の法則を組織的に求めていくべきだと主張した。そこで心理学の研究対象も生物全般,人間ならば胎児から精神障害者にまで広がった。初期の行動主義は,彼が〈意識なき心理学〉を戦闘的に主張したことからワトソニズムWatsonismともいわれる。こうした考えはすでに19世紀末ドイツの生理学者や生物学者も提唱しているが,彼に決定的影響を及ぼしたのはロシアのセーチェノフI.M.Sechenovから始まりパブロフの条件反射学に実った業績である。先行するいま一つの大きな流れは,同じアメリカのE.L.ソーンダイクに始まる動物を使った学習心理学である。ワトソニズムは伝統的心理学に不満であった学者たちに広く影響を及ぼし,大衆にも強く訴えた。しかしその後はゲシュタルト心理学,精神分析学,哲学のウィーン学団,物理学の操作主義などからの影響・批判のもとに多くの新行動主義理論が分岐していく。トールマンE.C.Tolman,ハルC.L.Hull,B.F.スキナーなどの理論がそれである。このようにワトソンの業績は現代心理学の形式と本質とに決定的影響を及ぼし,彼の著書は現在の基礎から臨床にわたる心理学研究の出発点となった。
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百科事典マイペディア 「行動主義」の意味・わかりやすい解説

行動主義【こうどうしゅぎ】

 
behaviorismJ.B.︿使
 

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「行動主義」の意味・わかりやすい解説

行動主義
こうどうしゅぎ
behaviourism

アメリカの J.B.ワトソンにより 1913年に提唱された心理学上の一主張。ワトソン主義ともいわれる。意識を対象とする伝統的心理学に反対して,心理学が科学として自立するためには,客観的に観察可能な行動にのみその対象を限るべきであるとした。したがって内観法は不要とされる (→内観 ) 。さらにワトソンは刺激=反応説によって行動をとらえ,複雑な行動には I.P.パブロフの条件反射の原理を適用し,極端な環境主義的立場をとった。

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世界大百科事典(旧版)内の行動主義の言及

【機能主義】より

…この問題をさらに厳密に考えぬき質量,力,エネルギー,原子,時間,空間といった近代科学の基本概念を,実体的なものの表現としてではなく,現象相互の関係やその変化を法則的に表現しようとする関数概念と解すべきだと説くカッシーラーの主張(《実体概念と関数概念》1910)なども,〈機能(関数)主義〉とよばれてよい。 一方,個別科学の領域で機能主義的と見られるのは,心理学においてはW.ジェームズの流れをくむデューイやJ.R.エンジェルらの機能心理学,それを継承するJ.B.ワトソン,G.H.ミードらの行動主義心理学,民族学や人類学の領域ではデュルケームの影響下に立つB.K.マリノフスキー,ラドクリフ・ブラウンらの機能学派,経済学におけるベブレンの制度学派,法学ではR.パウンドの社会工学,G.D.H.コールらギルド社会主義者の機能的国家論などである。しかし,この場合も,たとえば心理学における機能主義が,意識をその内容にではなく作用に即して考察し,その生物学的意味を解明しようとするものであり,C.ダーウィンやH.スペンサーの進化論の強い影響下に発想されたものであるのに対して,人類学におけるそれは,むしろ歴史主義や進化主義への批判から出発し,社会や文化を孤立した要素の複合体と見る従来の考え方に反対して,現存の制度や慣習の機能を全体としての文化や社会との関連のうちで解明しようとするものである。…

【思考】より


1J.B.

【社会心理学】より

…その先駆としては,コミュニケーションや相互作用を重視して自我の形成を論じたC.H.クーリーやG.H.ミード,ポーランドからの移民の実証研究にもとづいて価値,態度(ことに状況規定)と社会行動とのかかわりに照明をあてたトマスW.I.ThomasとF.ズナニエツキらがあげられる。また本能論衰退後に盛んになる行動主義の説は,実験的研究を促進するほか,行動に及ぼされる後天的な習慣や環境要因の重要性に注意を喚起した。1930年代以降は,実験的手法を用いての社会行動や集団内行動の心理的諸過程の研究がすすめられ,シェリフM.Scherifの社会的知覚,J.L.モレノのソシオメトリー,のちのグループ・ダイナミクスにつながるK.レウィンの集団行動の研究などが新生面をひらく。…

【心理学】より

…ブントの方向をさらに発展させ,彼が扱わなかった判断や思考などの高等な精神作用をも内観法で研究したのが,O.キュルペなどのビュルツブルク学派である。一方,連合心理学の経験主義と要素主義を忠実に引き継いだのがJ.B.ワトソンの行動主義心理学である。ただ,パブロフの条件反射学の影響を受けたワトソンにおいては,連合心理学における観念という要素が刺激(S)‐反応(R)という要素に置き換えられており,内観法が否定されて,行動という客観的な観察と測定が可能なものだけが研究対象とされた点が違っている。…

【ブルームフィールド】より


1935)193357︿F.de

【ワトソン】より

…アメリカの行動主義心理学の創始者。彼はヨーロッパの生理学や生物学における科学的客観主義,ことにパブロフの業績と,E.L.ソーンダイクに代表される動物を使った学習心理学の業績を結合させた。…

※「行動主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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