デジタル大辞泉 「閉じる」の意味・読み・例文・類語 と・じる〔とぢる〕【閉じる】 ﹇動ザ上一﹈﹇文﹈と・づ﹇ダ上二﹈ 1 ㋐あけてあったもの、あいていたものがしまる。両端を合わせた状態になる。ふさがる。﹁水門が―・じる﹂﹁ドアが―・じる﹂﹁貝のふたが―・じる﹂ ㋑続いていた物事が終わりになる。﹁会議が―・じる﹂ 2 ㋐あいていたもの・部分をふさいでしまう。﹁本を―・じる﹂﹁まぶたを―・じる﹂﹁心を―・じる﹂ ㋑今まで続いたものを終わりにする。﹁店を―・じる﹂﹁会を―・じる﹂ ㋒原稿の、文章中のかなを漢字に書きなおす。→開く 3 とじこめる。こもらせる。 ﹁葎(むぐら)の門に、思ひのほかにらうたげならむ人の―・ぢられたらむこそ﹂︿源・帚木﹀ [用法]とじる・しめる――﹁門を閉じる︵閉める︶﹂﹁店を閉じる︵閉める︶﹂﹁ふたを閉じる︵閉める︶﹂など、開いていたものの空間を埋める意では相通じて用いられる。◇﹁戸が閉じる﹂﹁貝のふたが閉じる﹂のように﹁~が閉じる﹂の形では﹁閉める﹂は使えない。﹁~が閉まる﹂の形になる。◇﹁閉じる﹂と﹁閉める﹂の使い分けは慣用による。目・口や本・傘などは﹁閉じる﹂、引き出・し・門などは﹁閉める﹂を使うことが多い。◇﹁店を閉じる﹂は廃業する意で多く使うが、﹁店を閉める﹂は、1日の営業を終わる、または廃業するのどちらにも使う。 [類語]閉める・閉ざす・ふさぐ・たてる・閉め切る・畳む・封(ふう)ずる・遮(さえぎ)る・阻(はば)む・遮断する・封鎖する・閉鎖する・閉(へい)塞(そく)する 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「閉じる」の意味・読み・例文・類語 と・じるとぢる【閉】 (一)[1] 〘 自動詞 ザ上一︵ダ上一︶ 〙 [ 文語形 ]と・づ 〘 自動詞 ダ上二段活用 〙 (一)① ひらいていたものが、ふさがる。しまる。とざされる。おおわれる。 (一)[初出の実例]﹁あさましくをやみなき頃の気色に、いとど空さへとづる心地して﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶明石) (二)② 人やものが、とじこもる。 (一)[初出の実例]﹁たえだえの木の葉が下の音づれも霜にとぢたる虫のこゑごゑ︿藤原通光﹀﹂(出典‥千五百番歌合︵1202‐03頃︶八四九番) (三)③ 水がこおる。むすぼおる。凝結する。 (一)[初出の実例]﹁つららとぢ駒ふみしだく山川をしるべしがてらまづや渡らむ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶椎本) (四)④ 集会や店などが終わりになる。終わる。 (一)[初出の実例]﹁バーが閉じる時間だ﹂(出典‥明日への楽園︵1969︶︿丸山健二﹀三) (二)[2] 〘 他動詞 ザ上一︵ダ上一︶ 〙 [ 文語形 ]と・づ 〘 他動詞 ダ上二段活用 〙 (一)[ 一 ] ひらいていたものを、ふさぐ。しめる。とざす。おおいつくす。 (一)① 場所をとざす。しめる。おおいつくす。 (一)[初出の実例]﹁城の門を閉(トチ)、街巷に坑を鑿ること﹂(出典‥岩淵本願経四分律平安初期点︵810頃︶) (二)﹁まだ夕暮の霧にとちられて、内は暗くなりにたるほどなり﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶夕霧) (二)② ( ﹁噤﹂の字を用いることもある ) 口や目をあわせてふさぐ。つむる。つぐむ。 (一)[初出の実例]﹁まなことぢ給ひしところにて、経の心とかせ給はんとにこそありけれ﹂(出典‥蜻蛉日記︵974頃︶上) (三)③ 書物などの開いているのを、しめる。 (二)[ 二 ] 中にこめて出ないようにする。 (一)① 人やものを、とじこめる。 (一)[初出の実例]﹁葎の門に思ひの外にらうたげならん人のとぢられたらんこそ、限りなくめづらしくはおぼえめ﹂(出典‥源氏物語︵1001‐14頃︶帚木) (二)② 氷が張って水をとじこめて流れなくする。また、氷が張って池などをおおう。 (一)[初出の実例]﹁冬の池の上は氷にとぢられていかでか月の底に入るらん︿よみ人しらず﹀﹂(出典‥拾遺和歌集︵1005‐07頃か︶冬・二四一) (三)[ 三 ] 集会や店などを終わりにする。 (一)[初出の実例]﹁﹃イースター、モンデー﹄だといふので、又店をとぢる﹂(出典‥倫敦消息︵1901︶︿夏目漱石﹀一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例