日本大百科全書(ニッポニカ) 「高橋誠一郎」の意味・わかりやすい解説
高橋誠一郎
たかはしせいいちろう
(1884―1982)
経済学者。新潟県に生まれる。1908年︵明治41︶慶応義塾政治科を卒業、イギリスに留学し、経済学史を専攻、帰国後母校の教壇に立った。イギリス重商主義学説の研究を中心として、その研究領域は中世および古典古代経済学説にまで及ぶが、とくに﹃重商主義経済学説研究﹄︵1940︶とそれに先だつ﹃経済学前史﹄︵1929︶は、重商主義研究の権威としての地位を確立した大著である。47年︵昭和22︶には吉田茂内閣の文相を務め、その後、日本芸術院院長、東京国立博物館館長、文化財保護委員会委員長、映倫管理委員会委員長などの要職を歴任した。
また、浮世絵の収集および研究でも著名で、﹃浮世絵二百五十年﹄︵1961︶、﹃浮世絵随想﹄︵1966︶などの著書もある。79年に文化勲章受章。
﹇飯田 鼎﹈
﹃高橋誠一郎著﹃回想九十年﹄︵1973・筑摩書房︶﹄▽﹃高橋誠一郎著﹃随筆慶応義塾――エピメーテウス抄﹄正・続︵1970、82・慶応通信︶﹄