モルヒネに似た毒持つ熱帯魚、鎮痛剤開発に応用も 論文
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︻4月1日 AFP︼太平洋︵Pacific Ocean︶のサンゴ礁に生息する牙を持った小魚に、かみついた天敵をまひさせる珍しい毒があることが分かったとの論文が今週、英国とオーストラリアの研究チームによって発表された。新しい鎮痛剤の開発につながり得る研究結果という。
この魚は﹁ファングブレニー﹂と呼ばれるイソギンポの仲間。体長4~7センチで、観賞魚としても人気だ。米科学誌カレント・バイオロジー︵Current Biology︶に掲載された論文によると、ファングブレニーの毒には天敵に痛みを与えるのではなく、体をまひさせる働きがあるという。
豪クイーンズランド大学︵University of Queensland︶のブライアン・フライ︵Bryan Fry︶准教授は﹁この魚はヘロインやモルヒネのような働きをするアヘン様ペプチドを他の魚に注入する。この毒は、かまれた魚のオピオイド受容体に作用することで動きを鈍くしたり、めまいを起こしたりする﹂と説明している。
マウスを使った実験では、毒を注射された個体から痛みを示す兆候が消えたことが確認された。フライ氏は、この毒は﹁化学的に独特﹂であり、ファングブレニーは﹁私が研究した中で最も面白い魚だ﹂と語っている。
フライ氏によると、ファングブレニーはこの他にも、天敵を恐れる様子を見せず、同程度のサイズの魚と縄張り争いを繰り広げるという興味深い習性を持っているという。(c)AFP