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「Copilot+ PC」はセキュリティも万全 ~攻撃面の縮小、ID保護に取り組むWindows 11

「Copilot+ PC」は「Secured-Core PC」、セキュリティプロセッサー「Pluton」も既定有効

公式ブログ「Microsoft Security Blog」

 米Microsoftは5月20日(現地時間)、公式ブログ「Microsoft Security Blog」で、最近になってWindows 11へ導入されたセキュリティ強化を紹介する記事を掲載した。

ハードウェアとIDの保護

 近年のセキュリティ攻撃は、ハードウェアを狙うものが多くなっているのが特徴だ。OSからは検出しにくいハードウェアレイヤーにマルウェアを埋め込む手法は、Microsoftだけの努力では対策が難しく、業界を挙げた取り組みが必要となる。

 その一方で、IDを狙うものも最近は急増している。2015年の段階で、同社のIDシステムは1秒間に約115件のパスワード攻撃を検知していたが、それから10年も経たないうちに、この数字は3,378%も急増し、1秒あたり4,000件を超えるパスワード攻撃を検知するようになっているという。そこで「パスキー」への対応、「Windows Hello」の強化といった対策を講じ、攻撃ポイントを減らす努力が続けられている。

 そこで同社は、「Secured-Core PC」と呼ばれる取り組みを進めている。これはデバイス構を成するハードウェア、そのファームウェア、ドライバーが正規のOEMによって提供されていることを保証するとともに、「TPM 2.0」による保護、ファームウェアの保護、仮想化ベースのセキュリティ(VBS)などを組み合わせて運用することで、高度な脅威に対する多層防御を提供するものだ。

 先日発表されたAI PC「Copilot+ PC」は、すべて「Secured-Core PC」の要件を満たす。同社のセキュリティプロセッサー「Microsoft Pluton」もすべての「Copilot+ PC」でデフォルト有効化される。さらに、Windows Hello 拡張サインイン セキュリティ(ESS)も搭載され、パスワード不要でより安全な生体認証サインインが可能だ。

 これにより商用、個人向けを問わず、どのPCでも高度なセキュリティ保護の恩恵を受けられるというわけだ。サイバー攻撃者がリモートからマルウェアをインストールするのはもちろん、PCを物理的に奪取した場合でも、資格情報、ID、個人データ、暗号化キーを盗み取るのは困難となる。

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Windowsコードの強化

 Windowsの各種コンポーネントでも、多くのセキュリティ強化が行われる。一番の注目は「Windows保護印刷モード」(Windows Protected Print Mode:WPP)と呼ばれる新しい印刷モードで、過去に「Stuxnet」や「PrintNightmare」といったマルウェアによって印刷プロセスが標的になったことを反省し、さまざまな近代化が行われている。

 また、Windowsユーザーに馴染み深い「ツールヒント」(ツールチップ)の動作方法も見直される。従来はデスクトップごとに1つのウィンドウとして管理されており、アプリ間で使いまわされていた。そのため、不正なメモリアクセスに悪用されることがあったが、デスクトップで共有する仕組みは廃止され、アプリごとにツールチップを管理する仕組みへと移行された。デスクトップにツールチップは1つだけなので、表示されて消えるまでの寿命は従来通りカーネルが管理するが、メモリ上の管理はアプリ(ユーザーレベル)で行われるようになる。これにより、ツールチップをアプリをまたいで不正なメモリアクセスに悪用するのは難しくなる。

 最後に、TLS(Transport Layer Security)サーバー認証証明書における1024bit RSA暗号鍵のサポートが廃止される。計算能力と暗号解読の進歩により十分な強度が期待できなくなったためだ。

 そのほかにも、管理者向け機能として以下の機能が提供される。

Config Refresh(構成リフレッシュ) :管理者が「Microsoft Intune」や他のモバイルデバイス管理ツールにチェックインすることなく、定期的にデバイスへポリシー設定を再適用できるようにする
ファイヤーウォール :ルールを適用する際に問題が発生した場合、同じアトミックブロックのすべてのルールがロールバック。一部だけ展開されてセキュリティギャップが生じることがないように
個人データ暗号化(PDE) :個人データを暗号化し、「Windows Hello for Business」でPCのロックを解除したときだけ復号
Zero Trust DNS :現在プライベートプレビュー中。Windowsデバイスがドメイン名によって承認されたネットワークの宛先のみに接続するよう制限