島津珍彦

島津珍彦

島津珍彦（明治2年（1869年）撮影）

島津斉彬が撮影したといわれる斉彬の娘たちの写真。左が珍彦の妻典子、中央と右は相次いで珍彦の兄忠義の妻となった暐子と寧子

島津 珍彦︵しまづ うずひこ、天保15年10月22日︵1844年12月1日︶ - 明治43年︵1910年︶6月16日︶は、幕末薩摩藩の藩主一門。明治期には華族︵男爵︶に列し、侍従、貴族院議員。

生涯

島津久光の四男として薩摩国に生まれる。母は正室の千百子。最後の薩摩藩主島津茂久︵忠義︶の同母弟にあたる。名︵諱︶は紀寛→忠鑑→珍彦、通称は敬四郎→又次郎→周防→常陸→備後と変遷した。名の珍彦は記紀神話に登場する神・椎根津彦の別名である。

父の久光が島津家本家︵薩摩藩主家︶へ復帰したことに伴い、大隅重富を領有し、重富家を相続、忠鑑︵ただあき︶と名乗った。のち珍彦に改名した。元治元年︵1864年︶の禁門の変をはじめとして、慶応4年︵1868年︶の鳥羽・伏見の戦い及び箱館戦争に従軍した。のちに照国神社宮司や鹿児島県立中学造士館館長を歴任︵中学造士館#鹿児島県立中学造士館の項も参照︶。

1890年︵明治23年︶9月29日、貴族院多額納税者議員に任じられ、1897年︵明治30年︶7月10日、貴族院男爵議員に選出された。明治43年︵1910年︶、糖尿病で没す。

家族・親族

妻は、伯父の薩摩藩主島津斉彬の四女・典子︵のりこ︶。2男3女がある。

(一)長女・明子︵1869年 - 1958年︶ - 島津久寛に嫁ぎ、離縁となったのち島津雄五郎︵珍彦の弟島津忠欽の長男︶に再嫁した。子に島津忠夫、大谷文子。長男・忠夫は早世した父に代わって祖父・忠欽の男爵位を継ぎ、玉里島津家分家の2代当主となり、妻に日置島津家15代当主・島津繁麿の妹せつを迎えた。娘・文子は大谷瑩韶︵伯爵大谷光瑩庶子︶の妻となった。

(二)長男・壮之助︵そうのすけ、1871年 - 1925年︶ - 重富家の家督と男爵位を継ぐ。壮之助の最初の妻・鶴は島津雄五郎の妹である。子に長男・島津忠彦、二男・加藤久幹ら。

(三)次女・治子︵1878年 - 1970年︶ - 男爵島津長丸︵宮之城島津家当主︶の妻となり、昭和初期に皇后宮女官長を務めた。
なお、島津久寛・雄五郎・長丸はいずれも珍彦の甥、鶴は姪にあたり、久光から3代続けてのいとこ婚である。

(四)次男・久雄︵大村純久、1885年 - 1917年︶ - 男爵大村武純︵元大村藩主大村純顕の三男、また伯爵大村純英の実父︶の養子。

(五)三女・孝子︵1888年 - 1975年︶ - 三菱財閥の4代目総帥・岩崎小弥太に嫁いだ。そのため、島津家は三菱の創業者一族・岩崎家と姻戚関係で結ばれている。

栄典

●1896年︵明治29年︶10月10日 - 従四位

脚注

参考文献

• 霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成』霞会館、1996年。
• 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

日本の爵位
先代 叙爵	男爵 （重富）島津家初代 1889年 - 1910年	次代 島津壮之助