一人称視点 (遠隔操縦)
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遠隔操縦における一人称視点︵いちにんしょうしてん︶とは、﹁一人称視点の映像﹂そのものを指す場合と、﹁一人称視点を用いた遠隔操縦﹂を表す場合がある[注 1]。First Person Viewの頭字語FPVが略称として使われ、FPVを用いて操縦しているという意味で﹁FPVドローン﹂[1][2]、﹁FPV戦車﹂[3]のように表現される。FPVを用いた遠隔操縦では、﹁一人称視点映像の送受信用システム﹂と、﹁遠隔操縦用のシステム︵主にラジコン︶﹂に区別できる。
以下、本項では一人称視点映像の送信用・受信用システムをFPVシステムと呼ぶ。
代表的な製品
[編集]ホビー用
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ホビー用のFPVシステムでは5.8GHz帯の電波を利用する場合が多く、電波法に従いアマチュア無線技士免許の取得後にアマチュア無線局の開局申請や電波利用料の納付などの手続きが必要になる場合が多い[4][5]。
●FPVドローンレース機・空撮機![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7c/71188-fpv-components.jpg/220px-71188-fpv-components.jpg)
FPVドローンレース機の例
無線操縦のクワッドローター機にFPVシステムを組み込み、FPVによる操縦を可能としたもの[6][7]。
飛行の際は電波法のほかにも国土交通省の定める飛行ルールに従う必要がある[8][5]。
●FPV RC Racer
運転席にカメラとマイクを載せたFPV仕様のRCカー[9]。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7c/71188-fpv-components.jpg/220px-71188-fpv-components.jpg)
点検業務用
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●極小空間点検ロボット﹁moogle﹂
住宅の床下点検用ロボット。床下は暗く、狭く、粉塵が多いという劣悪な環境。点検作業員の負担軽減と住宅居住者への安心感提供のために大和ハウス工業株式会社が2008年に開発を開始した。[6]ロボット本体︵moogle︶と操作パソコン、コントローラから構成される。ロボット本体は移動用カメラ、点検用カメラ、LED照明を搭載したクローラータイプ[10]。
第6回 ロボット大賞 サービスロボット部門にて優秀賞を獲得した[11]。
●橋梁点検ロボット
鋼桁橋の維持管理業務の合理化に向け、鋼桁橋の下面検査のみを目的に川田工業株式会社にて開発中の自走式ロボット。鼓状の車輪で下フランジを左右水平方向から挟み込む機構を備え、専用レール等を必要としない。CCDカメラを搭載し、最大約8時間の連続走行が可能[12]。
FPVシステム
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基本的にホビー用FPVシステムは次のような原理で作動している[14][15]。
●作動原理
(一)まず、FPV用カメラにて一人称視点映像を取得し、映像信号に変換する。
(二)次に、映像信号は送信機(Transmitter、TX)に送られ、送信機は映像信号を電波に乗せて送信する。
(三)FPVシステムは、送・受信機間の映像信号の伝達に電波を利用する。
(四)送信機からの電波を受信機(Receiver、RX)が受信し、映像信号に変換する。
(五)受信機からの映像信号はモニターあるいはゴーグルに送られ、一人称視点映像として映し出される。
FPVシステムではその特性上、映像の遅延が無い事が重要になる[16]。
次項以降はホビー用FPVシステムについての詳細説明となる。
FPV用カメラ
[編集]![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/81/Runcam_Eagle_black_FPV_camera_with_bracket.jpg/220px-Runcam_Eagle_black_FPV_camera_with_bracket.jpg)
OSD
[編集]![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d2/FPV_OSD.png/220px-FPV_OSD.png)
送信機
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入力された映像信号を、送信用電波に乗せて送信する。Transmitter、TXと呼ばれる事もある[24][25]。
用いられる電波には主に2.4GHz帯[25]と5.8GHz帯[24]がある。
2.4GHz帯
2.4GHzのISMバンドにて、出力を抑えた小電力無線局なら、アマチュア無線技士免許は不要になる[26]。
技術基準適合証明の対象ではあるので技適マークの表示は必須である[25]。
ホビー用途を除く一般業務用としては、2016年8月に無人移動体画像伝送システムが制度化され、2.4GHz帯及び5.7GHz帯等の周波数帯が確保されている。限られた周波数資源を運用者間で運用調整を行いつつ使用する事が想定されている[27]。 2021年3月には中国の大手ドローンメーカーDJIよりアマチュア無線技士免許や無線局の開局を必要としない2.4GHzのFPVシステムを搭載したDJI FPVが発売された。
5.8GHz帯
FPVでは一般的に使用される周波数帯[4][24]。変調にはアナログTV(FM-TV)方式が主に用いられる[4]。デジタル方式は高価なものが多いが[28]、飛行する機体でなければ地上または海上において免許・届出不要で利用できるタイプがある[29][30]。
なお、この周波数帯での運用をアマチュア無線でおこなう場合は、アマチュア無線技士の資格及びアマチュア無線局免許が必要になる。この周波数帯のアマチュア無線局は、二次業務に割り当てられているため、同一帯域を使用する他の一次業務の無線局の運用に妨害を与えないように運用しなければならない。
特に、5.8GHz帯は、DSRC︵周波数‥5775,5780,5785,5790,5795,5800,5805,5815,5820,5825,5830,5835,5840,5845MHz︶に割り当てられており、主として高速道路のETCや駐車場管理等に用いられているので、それら付近での使用は避ける等、運用の際には配慮が必要である[27]。
アンテナ
[編集]![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/72/Anntenna.jpg/220px-Anntenna.jpg)
受信機
[編集]モニター
[編集]ゴーグル
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ヘッドマウントディスプレイに受信機からの映像を表示する。FPV用に受信機と一体化したゴーグルが多い[37][38]。
ダイバーシティについては、複数のチャンネルを選択できることを意味している[37]。
遅延時間の計測方法
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アクションゲームの分野では液晶ディスプレイの遅延が重大な問題になることが知られているが[40]、FPVシステムではその特性上、ディスプレイ以外のパーツでも映像の遅延が発生し、それが累積されていく事になる。各パーツごとの遅延時間を計測する事は難しく、一部には特許が出願されるほどである[注 2]。
そのため、FPVシステム全体としての遅延時間を計測する方法が取られる事がある。﹁ストップウォッチ﹂と、﹁それをFPVシステムを通した映像﹂の両方を同一画面に収めた写真か映像を撮り、表示されている時間の差から遅延時間を求めるという方法である[41]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
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(一)^ “FPV︵ファーストパーソンビュー︶によるドローンの飛行と技術”. FPV Drone Lab. 2016年5月14日閲覧。
(二)^ RC magazine 2016年01月号20頁 JANコード 4910091170161
(三)^ RC magazine 2016年01月号18頁
(四)^ abc“アマチュア無線でRC FPVを楽しむ”. JI1BZN / JA7CME. 2016年5月15日閲覧。
(五)^ ab“FPV入門”. FPV Drone Lab. 2016年5月15日閲覧。
(六)^ ab“FPVレーサーキット”. HOBBYNET. 2016年5月14日閲覧。
(七)^ “DJI PHANTOM 3 PROFESSIONAL︻調整済︼※予備バッテリー付き※ ※SEKIDO特典※”. 株式会社セキド. 2016年5月20日閲覧。
(八)^ “航空‥無人航空機︵ドローン・ラジコン機等︶の飛行ルール”. 国土交通省ホームページ. 2016年5月15日閲覧。
(九)^ “リアルタイムの﹁一人称視点﹂走行が楽しめるラジコンカー”. WIRED.jp. 2016年5月14日閲覧。
(十)^ “狭小空間点検ロボット moogle︵モーグル︶”. 大和ハウス工業株式会社. 2016年5月18日閲覧。
(11)^ “﹁第6回 ロボット大賞﹂受賞一覧”. ROBOT AWARD. 2017年5月13日閲覧。
(12)^ “橋梁点検ロボットの開発 ~維持管理業務の合理化に向けて~” (PDF). 川田工業株式会社. 2016年5月18日閲覧。
(13)^ “ロシアのロボティック戦闘車両﹁URAN-9﹂は、ラジコン操作で完全無人。国際市場で販売予定”. ギズモード・ジャパン. 2016年5月18日閲覧。
(14)^ abcde“FPV System”. 株式会社ジーフォース. 2016年5月15日閲覧。
(15)^ ab“Eagle Tree FPV Overview”. EAGLE TREE SYSTEMS. 2016年5月15日閲覧。
(16)^ ab“FPVドローンレース機搭載の映像用アクションカメラ比較”. BE INTO DRONE. 2016年5月15日閲覧。
(17)^ ab“FPVカメラ関連”. FPV-Japan. 2016年5月14日閲覧。
(18)^ ab“ソニーの半導体”. Sony Japan. 2016年5月14日閲覧。
(19)^ ab“技術情報”. シャープ株式会社. 2016年5月14日閲覧。
(20)^ “CONNEX ユーザーガイド” (PDF). 株式会社セキド. 2016年5月21日閲覧。
(21)^ “The BlackBird 2 - flight stereo camera for fpv”. FPV3DCAM. 2016年5月14日閲覧。
(22)^ “b. Connections”. remzibiosd. 2016年5月15日閲覧。
(23)^ “remzibiOSD”. remzibiosd. 2016年5月15日閲覧。
(24)^ abc“Boscam TS832 32CH 5.8GHz 600mw 映像トランスミッター”. AIR STAGE. 2016年5月15日閲覧。
(25)^ abc“WALKERA TX24D-01-U 2.4GHz 電波法認証取得済品 映像伝送装置 改”. AIR STAGE. 2016年5月15日閲覧。
(26)^ “2.4GHz高精細映像音声ステレオ送受信非圧縮伝送ユニット”. 有限会社ギガ・テクノビジョン. 2016年5月15日閲覧。
(27)^ ab“ドローン等に用いられる無線設備について”. 総務省. 2016年6月4日閲覧。
(28)^ “新型CONNEX(TM) ProSightにより、業界初のFPVドローンレース用全デジタル無レイテンシ無線システムを提供”. JCN Newswire. 2016年5月20日閲覧。
(29)^ “AMIMON CONNEX 5.8GHz フルHD対応 Digital Video Downlink”. 株式会社セキド. 2016年5月20日閲覧。
(30)^ “AMIMON CONNEX mini 5.8GHz Digital Video Downlink”. 株式会社セキド. 2016年5月20日閲覧。
(31)^ “5.8GHz 11dbi指向性パネルアンテナ”. GOOD FPV. 2016年5月16日閲覧。
(32)^ “2.4GHz 8チャネル・ビデオリンク受信機︵ディップスイッチ・タイプ︶”. fpv-japan.net. 2016年5月16日閲覧。
(33)^ “2.4GHz帯無線LANダイポールアンテナ”. 株式会社NATEC. 2016年5月16日閲覧。
(34)^ ハイボルテージ内の﹁FPV・映像送受信﹂より確認。2016年5月16日閲覧。
(35)^ “FPV ゲインアンテナ”. SureHobby.com. 2016年5月16日閲覧。
(36)^ “5.8Ghz TS832 600mW Tx + RC832 32CH Rx コンボセット”. AIR CRAFT WORLD エアクラフト. 2016年5月15日閲覧。
(37)^ abc“ドローンレースに必須!おすすめのFPVゴーグル比較(Skyzone,Boscam,FatShark等)”. BE INTO DRONE. 2016年5月15日閲覧。
(38)^ ab“Goggle3”. WALKERA. 2016年5月15日閲覧。
(39)^ “WALKERA DEVOF7DS 2.4Ghz 7CH送信機 日本語取説付 FPVモニター内臓・テレメトリー対応”. AIR STAGE. 2016年5月15日閲覧。
(40)^ “︻西川善司︼アナタははるか昔の映像を見ている!~ゲーマーの敵﹁ディスプレイ表示遅延﹂の正体に迫る”. 4Gamer.net. 2016年5月19日閲覧。
(41)^ “FPV250レーサー(Mobius導入編)”. RC IMPRESSION AT XAIRCRAFT. 2016年5月19日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 電波に関する所管法令一覧 - 総務省ホームページ
- 航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール - 国土交通省ホームページ
- Open Source FPV - オープンソースで行われているFPVプロジェクト(英語)