1972年6月に刊行された『日本列島改造論』で、田中角栄は日本における鉄道の重要性を説いていました。全国を新幹線ネットワークで結ぶ構想を提唱したのが田中角栄であることはよく知られていますが、地方の鉄道路線についてはどう考えていたのか。作家の小牟田哲彦氏が新著、『「日本列島改造論」と鉄道』(交通新聞社新書)でその点を深く分析しました。同書から地方ローカル線に関する部分を抜粋して紹介します。 地方ローカル線はどう記述されているか 『日本列島改造論』が説く鉄道政策の大部分は、新幹線ネットワークの拡大に関することが占めている。在来線に関することは、全国新幹線鉄道網ネットワークを整備して長距離旅客需要を新幹線へ集約させたうえで、旅客輸送力に余裕ができた在来線が貨物輸送や地域密着輸送の主役として機能する役割分担を図るべき、という形で言及している。同書の第Ⅳ章「人と経済の流れを変える」の後半項目「工業再
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日本の新幹線輸出唯一の成功例、台湾高速鉄路(高鉄)が1月20日、日本企業連合の新規車両購入に関する交渉を打ち切り、第三国からの購入も含めて新たな調達を模索することとなった。高鉄の今回の決定は第2次安倍政権以降、国策として推進してきたインフラ輸出にも今後大きな影を投げ落とすこととなろう。 高鉄はこの日、役員会を招集。日立製作所・東芝を中心とする日本企業連合の新規車両購入に関する対応を緊急討議した。高鉄は2019年2月、旅客需要の伸びから新規車両購入を決定、世界の車両メーカーに入札を呼びかけたが応じたのは日立・東芝を中心とした日本企業連合だけ。この時、入札価格と高鉄側希望価格の間に大きな隔たりがあったため、昨年8月に再度入札を行ったが、価格差は埋まらずこの決定に至った。 「なぜN700Sよりも高いのか」 高鉄は12両1編成で12編成の新規購入を予定。このうち8編成を入札にかけた。現地報道によれ
今回から、山崎元氏やかんべえ(吉崎達彦)氏とともに、新たに持ち回り連載を担当することになった小幡績です。これから頑張っていきたいと思います。 さて、世界は新型肺炎に振り回されているが、金融市場ももちろん例外ではない。アメリカの株式市場は史上最高値を更新し続け、「今年はどこまでいくか」、と一般的には期待されていたところだった。それにもかかわらず、新型肺炎による世の中の混乱以上に、株式市場は混乱している。今日は、なぜ、世界的に株価が乱高下しているのか。その謎を解き明かしたい。 「6つの鍵」から出てくる「答え」とは何か? 第1の鍵は、世界的な乱高下ではない、ということである。中国の上海市場は2月頭、最初に暴落が起きたが現在は反発局面が続いており、多少の乱高下はあるものの、回復トレンドをたどっている。 新型肺炎の震源地であり、生産が最も落ち込んでいるのは中国であり、前代未聞の中国の生産指数が約70
前回記事「相鉄『JR直通』、今なら武蔵小杉でも空いている」には大変多くの反響をいただいた。JR線内の路線名を相鉄イメージキャラクターから取って「そうにゃん新宿ライン」にしてはどうかというギャグを気に入ってくれた方が多く喜ばしい限りである。 一方で、直通線を使うかどうかについては様子見といったコメントや、その理由として利便性やダイヤが乱れた際に長時間トンネル内で停車することを危惧する声を多く見かけた。 だが、通勤する場所によっては定期代が横浜経由よりも安くなったり、横浜で乗り換えるよりも西大井乗り換えのほうが楽だったりと、直通線経由のメリットも少なくない。そこで今回は、どこからどこへ行く人がこの直通線を使うべきかについてまとめてみた。 所要時間・運賃については、経路検索サービス(ナビタイム)を使用し、8時30分までに目的地に到着する設定(乗り換え時間は「かなりせかせか」設定)で調査した。 浜
先日、大阪府泉佐野市のふるさと納税制度による2018年度の寄付額がなんと約497億円に達する見通しと報道されました。2017年度に全国でトップだったときの135億円に比べて約3.7倍となる、大きな金額です。同市の一般会計予算は約517億円ですから、実に一般会計予算に匹敵する寄付金を集めたことになります。 ふるさと納税はワンストップ納税、控除条件の拡大などによって一気に拡大し、2018年度には4000億円を超えたと推定されています。総務省は泉佐野市の取り組みを好ましくない事例として位置づけ、異例の指導に入り、すでに「特別交付税減額」という措置を3月に行いました。同市への交付税額は昨年度比1億9500万円減の6200万円となっていますが、別途約497億円を集めたわけですから、痛くもかゆくもないでしょう。 今年はふるさと納税の「逆噴射」が地方を襲う ふるさと納税という仕組みは、当初から「納税者」
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JR東日本の指定券予約サービス「えきねっと」の使いづらさが、たびたびネット上で話題になっている。 実は筆者は「えきねっと」を使いづらいとは思っていない。というのも、自宅のパソコンできっぷを予約するときには時刻表を見ながら検索しており、きっぷのルールもだいたいのところはわかっているからだ。駅できっぷを予約するときにも、駅員のマルス(JRの指定席予約システム)端末操作の動きを観察している。 だがそんな人は例外的であり、世の中一般から見れば「変わっている」のだ。一般の人は、きっぷの規則にもあまり詳しくなければ、駅員のマルスの操作など観察してはいないだろう。つまり「えきねっと」は、きっぷの買い方を熟知していないと使いにくいと言えそうだ。 現状では窓口のほうが楽 それならば、一般の人に使いづらいといわれるのはむしろ当然のことである。高度なシステムであっても、利用するのは一般の人である。 6月下旬、ツ
東京都心部では、「湘南新宿ライン」「上野東京ライン」など、以前はターミナル駅止まりとなっていた鉄道を直通させることによって利便性を高めている。だが、東海道新幹線と東北・上越新幹線などの新幹線は東京駅が終点で、ホームは隣り合っているものの直通はしていない。 直通運転が活発化する中、新幹線も東京駅で相互乗り入れすればいいのに、と思うのは自然な考えである。しかし、現状では直通運転は行われておらず、その話も今はない。 規格に違いはあるものの 東京駅に乗り入れている新幹線は、JR東海の東海道新幹線と、JR東日本の東北・上越・北陸の各新幹線(ならびに秋田・山形のミニ新幹線)がある。後者をいちいち列挙するのは煩雑なので、以下では「JR東日本の新幹線」ということにする。
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