ブックマーク / xtech.nikkei.com (79)
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楽天グループがオンプレミス︵自社所有︶環境のプライベートクラウド﹁One Cloud﹂を拡充し、グループ企業の各種事業が用いるIT基盤の統合を進めることが日経クロステックの取材で分かった。現在、パブリッククラウドで稼働させているシステムが多数あるが、原則としてOne Cloudへシフトしていく。グループ全社でIT基盤のプライベートクラウドへの集約を進めてコスト効率を高めるほか、IT基盤のノウハウを蓄積し安定稼働やセキュリティー強化につなげる。 プライベートクラウドは、新たに参入を計画する法人向けITサービスの基盤にも活用する。計画するのは本人確認に使うeKYCやWebサイトのアクセス分析、電子決済の機能などだ。いずれもグループの事業で使うために開発した技術で、従量制のパブリッククラウドサービスとして外販する方向で準備を進めている。 部分的だったOne Cloudの利用、まず楽天市場で全面採
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PCのメインストレージは完全にSSDへと移行した感がある。そのSSDは、PCI Express︵PCIe︶に対応した製品が増えてきている。今回は、現在から2020年にかけてのPC向けストレージの状況をまとめよう。 PCI Express 4.0対応の超高速SSD登場、だが普及はまだ先 PC向けストレージにおける2019年最大のトピックは、PCI Express 4.0︵PCIe 4.0︶対応SSDの登場だろう。PCIe 4.0はデータ帯域がPCIe 3.0の2倍になっており、SSDでよく使われる4レーン︵PCIe 4.0x4︶の帯域は約8Gバイト/秒に上る。 米AMDの第3世代Ryzenとそれに対応したX570チップセットが業界に先駆けてPCIe 4.0をサポートしたことに伴い、PCIe 4.0対応SSDが台湾ギガバイトテクノロジー︵GIGABYTE︶やCFD販売などから登場してきた。 イ
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キングジムが電子ノート﹁Freno︵フリーノ︶﹂を2020年夏頃に発売する。ディスプレーにデジタルペンで手書きする端末だ。2019年12月にクラウドファンディングサービス﹁Makuake﹂でプロジェクトを開始したところ、目標額の12倍に達するほどの人気を集めた。 キングジムから実機を借りてどんな特徴があるのか確かめてみた。使用した実機はサンプル版であり、製品版ではデザインや仕様が変更される可能性がある。 Freno︵フリーノ、右︶と専用カバー︵左︶。本体は4万円台︵税抜き、以下同︶、専用カバーは3000円台の予定で、デジタルペンと替え芯の価格は未定。カバーは3色から選べる フリーノは基本機能として12種類のフォーマットをページごとに選べる﹁ノート﹂、PDF形式の電子書籍を閲覧できる﹁ドキュメント﹂、マンスリータイプの﹁カレンダー﹂を備える。ノートに付けたタグやタイトルで情報を検索できるため
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﹁悪い方が良い﹂原則をご存じだろうか? プログラミング言語﹁Common Lisp﹂の開発に携わったことでも知られるソフトウエア技術者リチャード・ガブリエル︵Richard Gabriel︶氏が1990年に発表した有名なエッセイ﹁The Rise of ``Worse is Better''﹂で主張したソフトウエア開発の考え方だ。 このエッセイでガブリエル氏は、美しく完全に設計・実装されるより、単純で雑に設計・実装されたソフトウエアの方が良いと説く。彼は前者を﹁正しいやり方﹂﹁MIT/スタンフォード式﹂、後者を﹁悪い方がよい原則﹂﹁ニュージャージー式﹂と呼び、ニュージャージー式がいかに優れているか様々な事例を挙げて説明する。 これは一見とても奇妙に聞こえる。 ソフトウエア開発では通常﹁美しい設計﹂や﹁美しいコード﹂が尊まれる。﹁車輪の再発明はするな﹂とか、﹁階層構造に分けて、要素をいつでも
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いやぁ、白旗を揚げたくなるような気分だ。この極言暴論などで問題点や将来のリスクを何度も指摘してきたが、もはや多勢に無勢。ITベンダーの人からは﹁木村さんが何と言おうと、大きな流れは止まりませんよ﹂と皮肉られる始末だ。 何のことかといえば、日本企業の間で果てしなく続くRPA︵ロボティック・プロセス・オートメーション︶の一大ブームの件だ。30年以上にわたるIT記者としての長い経験の中でも、これだけのブームは見たことがない。﹁RPA、恐るべし﹂である。 ブームの中心地が日本である点も、これまでのIT関連のブームとの違いだ。従来、IT系の名だたるバズワードの発信地・中心地はほぼ米国と決まっていた。 最近の話でいえば、AI︵人工知能︶やIoT︵インターネット・オブ・シングズ︶は日本企業の間でも大ブームで、﹁ITは分からない﹂と公言していた経営者までがAIやIoTを活用する重要性を語るほど。だが、あく
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2018年12月28日、多くの会社が仕事納めを迎えた日。1年の仕事を終えてホッと緩んだ世間の雰囲気と対照的に、そのビルの1室は真剣な空気に満ちていた。中で行われていたのは、プログラミング講座。受講者は思い思いにPCと向き合ってRubyと格闘したり、他の受講者とディスカッションしたりしている。 一見、一般的な社会人向け講座。だが受講者が独特だ。集まっていたのは全員、企業の経営者。12月23~29日の7日間集中で、経営者限定のプログラミング講座が開催されていたのだ。 プログラミングスクール事業を手掛けるdivが運営する﹁経営者限定TECH::CAMPイナズマ﹂だ。経営者が知識ゼロの状態からRubyを学び、HTMLやCSSの知識も習得する。最終的にはRubyonRailsを使ったWebサービス開発に挑む。 受講者にはネットサービス企業だけでなく、ITとは直接関係のない業種の経営者も名を連ねる
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患者が会計を終えるまで長時間待たされる、後日支払うよう求められる――。東京大学医学部附属病院の外来窓口で2018年初から混乱が続いた。トラブルの元は電子カルテシステムの刷新にあったことが日経コンピュータの取材で分かった。 東大病院は富士通に開発を委託し23年間利用した独自仕様の電子カルテシステムを刷新し、富士通の最新パッケージ﹁HOPE EGMAIN-GX﹂を導入。2018年1月2日に本稼働させた。だが外来診療を始めた4日以降、外来窓口が数日にわたり混乱。会計で長時間待たされたり、後日支払うよう求められたりする患者が続出した。 システム移行を担当する企画情報運営部長の大江和彦教授はトラブルについて、旧システムとの﹁操作性の違い﹂を周知できていなかったことや﹁富士通によるデータ移行作業の手順ミス﹂などを挙げた。日経コンピュータの取材に広報部門を通じて回答した。 東大病院は2017年10月から
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﹁ITに全く関係ない分野からITに飛び込んで活躍しているエンジニア﹂や﹁ITとIT以外の分野の境界を行き来しながら成果を上げているエンジニア﹂などを﹁越境エンジニア﹂と名付け、1カ月に一人ずつインタビューを掲載する。今月取り上げるのは村上原野︵むらかみげんや︶氏。縄文土器にインスピレーションを受けた創作を行っている陶芸家だ。同時にネットでは﹁狂える中3女子ボレロ村上﹂というハンドルネームでC++に詳しいプログラマーとしても知られている。今回は、縄文文化に深く影響を受けた生い立ちやプログラミングとの出会いなどを聞いた。 私の肩書は縄文造形家であり、陶芸の縄文アートを手掛けています。縄文アートとは、日本の縄文時代の造形やスピリットにインスピレーションを受けたアートの総称です。私はその中でも、現代の窯で焼く陶芸とは全く異なる縄文時代の焼き方、土、造形技法といった縄文そのものの技法を再現して創作を
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京都市が2014年から81億円を投じて進めていた基幹系システム刷新プロジェクトが失敗した事案が、ついに訴訟合戦に突入する。2017年12月8日、京都市議会︵京都市会︶は門川大作市長名義で提出された訴えの提起を全会一致で可決した。刷新が遅延した原因となったバッチ処理のマイグレーション︵開発言語と業務ロジックを引き継ぐ移行︶を受託したITベンダーのシステムズ︵東京・品川︶に対する訴えである。 システムズは2億円を求め、京都市は8億円を求める 京都市の情報システム部門に当たる総合企画局情報化推進室の担当者は日経コンピュータの取材に対し、訴訟額は約8億円、正確には7億9976万2365円となると回答。内訳は既にシステムズに支払っていて返還を求める額が5億662万5000円、稼働遅延に伴う既存システムの延長稼働などの損害賠償金が2億2043万1696円、弁護士費用が7270万5669円という。 もと
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﹁当店は完全キャッシュレスのため、お支払いはクレジットカードか電子マネーでお願いしています。それでもよろしいでしょうか﹂。入店すると店員がこう話しかけてくる飲食店が開業した。ロイヤルホールディングス︵HD︶が2017年11月6日に東京・日本橋馬喰町にオープンしたキャッシュレスでセルフオーダー型の実験店舗﹁GATHERING TABLE PANTRY﹂だ。
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あまり話題になっていないが、インターネット接続事業者︵プロバイダー︶の提供する光回線サービスが﹁遅くて使いものにならない﹂という声が一部で出ている。﹁モバイル回線のほうがまだまし﹂とさえ言われるほどだ。規格上の通信速度で1Gビット/秒をうたったサービスが主流となっているにもかかわらず、何が起こっているのか。 同現象は、NTT東西の﹁フレッツ光﹂を使ったプロバイダーの一部サービスで起こっている。NTT東西の基幹網﹁NGN︵次世代ネットワーク︶﹂とプロバイダーを接続するネットワーク機器︵網終端装置︶が恒常的な混雑状態に陥っているのだ。顧客の新規獲得を抑えることで対処しているプロバイダーもある。 この問題はNTT東西が設けた網終端装置の増設基準に起因しており、総務省の有識者会議が年内にも一定の結論を出す見通し。筆者が気になっているのは、その先の展開である。プロバイダーはトラフィック増加に長年苦し
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﹁日本の技適マークは付いていないのか…﹂。2年ほど前、そう落胆した新製品がある。Raspberry Pi︵ラズパイ︶が火付け役となった名刺大PCボードの新製品、中国DFRobotの﹁LattePanda﹂だ。CPUとしてx86コアを持つ米インテル製プロセッサを備え、フル機能のWindowsが動くのが特徴。2017年9月に日本の電波法に基づく認証、いわゆる技術基準適合証明︵技適︶を取得して2年遅れの日本上陸を果たした。 LattePandaは、2015年12月にクラウドファンディングサイト﹁Kickstarter﹂でWindowsが動くPCボードとして注目を集めた。資金獲得を経て2016年の3月に出荷を始めた。 ただ発売当時は、日本では使えなかった。LattePandaは無線インタフェースとして無線LANとBluetoothを搭載しており、国内では技適を取得していない状態で電波を発するのは電
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京都市が進めていたシステム刷新の稼働が遅延している件で、京都市とシステム開発を受託したシステムズ︵東京・品川︶の関係が泥沼化している。京都市は開発遅延の責任を巡って2017年10月12日、システムズに対して10月27日までに約7億5000万円の損害賠償を支払うことを求めていた。ところがシステムズはこの支払いに応じなかったことが、日経コンピュータの取材で分かった。京都市とシステムズともに、訴訟に発展する可能性を否定していない。 京都市の情報システム部門に相当する総合企画局情報化推進室は2014年から81億円を投じて、基幹系システムの刷新プロジェクトを進めてきた。この基幹系システムは、国民健康保険や介護保険といった福祉系のほか、徴税、住民基本台帳の管理など18業務を担うもの。NEC製メインフレーム上にCOBOLプログラムで構築したシステムで、稼働後約30年が経過している。 福祉系のオンラインシ
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電子カルテを中核とする病院情報管理システムの開発が失敗した責任を巡り、旭川医科大学とNTT東日本が争っていた訴訟の控訴審判決は一審判決を覆す内容だった。 札幌高等裁判所は2017年8月31日、旭川医大に約14億1500万円を支払うように命じた。2016年3月の一審判決は旭川医大の過失割合が2割、NTT東が同8割として双方に賠償を命じていたが一転、旭川医大に100%の責任があるとした。同医大は2017年9月14日、判決を不服として最高裁に上告した。 なぜ判決が覆ったのか、裁判資料かと判決文から見ていく。旭川医大とNTT東は日経コンピュータの取材に﹁コメントできない﹂と回答した。 高裁もユーザーの義務違反を認定 旭川医大は2008年8月に病院情報管理システムの刷新を企画し、要求仕様書を基に入札を実施。NTT東が落札した。日本IBMと共同開発したパッケージソフトをカスタマイズし、6年リースで提供
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多重下請け構造が広がるIT業界で、ある異変が起きている。これまで下請けだった中堅中小のシステムインテグレーター︵SIer︶が、ユーザー企業と直接取引し始めているのだ。大手SIerとのコンペでも案件を勝ち取る例も珍しくない。理不尽な立場に追い込まれていた下請けSIerの“逆襲”と呼ベるが、ピンハネや丸投げを繰り返してきたような一部の元請けは窮地にさらされそうだ。 何もしないのに﹁4割﹂持っていく元請け 下請け時代に﹁死ぬまでやってくれる﹂と元請けから評され、約30年にわたって苦しみに耐えてきた中小SIerのシナプスイノベーション。同社は現在、下請けから元請けへと昇格し、ユーザー企業と直接取引できるようになった。同社の藤本繁夫社長はかつての元請けへの怒りをこうぶちまける。﹁︵元請けが手掛ける︶上流工程の遅れはすべて下請けがかぶらされる。料金をもらえない仕様変更も頻発。労働時間は全くコントロール
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日本のソフトウエア職は若者の関心を呼ばない。ITがビジネスの中核能力となっている今、この状況の放置は日本産業が自殺に向かうことに等しい。 これは米カリフォルニア大学バークレー校のRoberte E.Cole︵ロバート・コール︶名誉教授による指摘である。 コール氏はITpro読者の質問に答え、上記の指摘をした。経緯は以下の通りである。トヨタ自動車など日本企業の研究で知られるコール氏が﹃日本のリーダーはソフトウエアの本質を理解していない﹄という一文をITproに寄稿、読者から意見や質問が寄せられた。これに対し、コール氏から冒頭の指摘を含む回答が届いた。 回答の第一弾として﹃日本の経営者はソフトウエア人材を評価し、引き上げよ﹄を紹介した。続く回答の第二弾をお届けする。ITpro読者の質問ないし意見と英訳を、続いてコール氏の回答と日本語訳を掲載する。新谷ITコンサルティングの新谷勝利氏が英訳と日本
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ITには大いなる可能性と危険性があるが、結局はソフトウエアの問題に尽きる。ソフトウエアの構想、企画、設計、開発、保守のやり方をどう良くしていくのか。ソフトウエア人材の将来像はどのようなものになるのか。日本製ソフトウエアを輸出できないのか。 ソフトウエアについて様々な人が論じ合える場を用意し、多くの人に考えるきっかけを提供したい。そこで﹁ソフトウエア、それが問題だ~Software Matters﹂と題した本連載を始め、この中で、ソフトウエアの諸問題と対策を日本や世界の論客の方々、そしてITpro読者の皆様と考えていく。ソフトウエアに関するご意見をお寄せいただきたい。 第1回として米カリフォルニア大学バークレー校のRobert E.Cole︵ロバート・コール︶名誉教授に寄稿いただいた。コール氏は、日本の作業組織の研究で知られる。ミシガン大学社会学及び経営学の教授を務め、日米自動車の製品品質の
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ICリーダーライターを購入し、民間サイトを含む複数のサイトを巡ってソフトをインストールし、設定を完了させる。ITリテラシーの高いユーザーでも、ログイン成功まで至るのは相当な苦労を要する。 さらにJava実行環境は、2013~2014年にかけて、脆弱性を狙ったサイバー攻撃が多発した経緯がある。通常利用のブラウザーに組み込むにはセキュリティ面で不安が残る。 なぜ、マイナポータルはJava実行環境が必須となったのか。今後、改善の余地はあるのか。内閣官房 番号制度推進室 番号制度推進管理補佐官の楠正憲氏に聞いた︵取材は文章ベースのやり取りで実施し、表現は一部編集した︶。 Java実行環境を必須とする構成にした理由は。 楠氏 店頭で販売され、また実際に利用されている、できるだけ多くのPCとMacに対応しつつ、できるだけ端末ソフトウエアを共通化して開発および保守の工数を最適化するためだ。 e-Taxの
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セゾン情報システムズは2016年3月28日、クレディセゾンと同社子会社であるキュービタスから受注した大型システム開発案件の開発遅延のために2社から損害賠償を請求されていた問題で、条件付き和解を行う方針を決めたと発表した。 セゾン情報が支払う和解金はクレディセゾンに対して83億9700万円、キュービタスに対して65億7800万円の合計149億7500万円である。これは、開発業務にかかる契約に基づいてクレディセゾンとキュービタスのそれぞれからセゾン情報が受領した対価と同一である。クレディセゾンとキュービタスは、今回の紛争に関する他の請求を放棄する。 セゾン情報にとっては、受け取った金額を“全額返金”する格好になるが、﹁当社としては、合理的な和解案であると判断している﹂︵経営企画室︶という。 和解案は企業間交渉で策定した。今後、第三者機関であるソフトウエア専門のADR︵裁判外紛争解決︶機関の﹁ソ
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﹁プログラマーの地位を上げたい﹂。グーグルからベンチャー企業のIncrements︵インクリメンツ︶に転じた及川卓也プロダクトマネージャは、穏やかな表情の中にも力を込めて語る。情報共有サービス﹁Qiita︵キータ︶﹂を通じ、プログラマーをはじめとするITエンジニアの交流や情報発信を後押し。盛り上がりの気運を見せるプログラミング教育を歓迎しつつ、﹁学んだ子たちが将来がっかりしないためにも、プログラミングという仕事の魅力を高めたい﹂と強調する。
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